暗号資産の損失繰越はできない?FX・株との税制の違い
株式投資やFXで認められている「損失繰越控除」。暗号資産は雑所得のため2026年分・2027年分は損失繰越ができません。2028年1月1日以後は登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡だけ繰越可能になります。
執筆:しぐ ・ 更新日: 2026-08-21
「2023年に暗号資産で100万円の損失を出した。2024年の利益100万円と相殺できる?」——残念ながら、現行の日本の税制では暗号資産の損失を翌年に繰り越すことができません。
これは株式やFXと比べて著しく不利な扱いです。同じ金融商品の損失なのに、暗号資産だけなぜ繰越できないのか、そして現行税制でできる合法的な節税対策とは何か——この記事で詳しく解説します。
1. 損益通算・損失繰越の基本
投資の損失を税金に反映する仕組み
投資で損失が出た場合、その損失を「税金の計算に使える仕組み」が日本の税制には存在します。
損益通算: 同一年内の別の利益と損失を相殺する 損失繰越控除: 損失を翌年以降に持ち越し、その年の利益と相殺する
これらの制度を使うことで、複数年にわたる損益を合算した「実態に近い課税」を受けられます。
株式・FXと暗号資産の比較
| 項目 | 上場株式(申告分離課税) | FX(申告分離課税) | 暗号資産(雑所得・2027年分まで) |
|---|---|---|---|
| 税率 | 一律20.315% | 一律20.315% | 総合課税(累進課税・最大55%) |
| 損益通算 | 同種間で可能 | 可能 | 同種(雑所得)内のみ |
| 損失繰越 | 3年間 | 3年間 | 不可 |
| 損失の他所得との相殺 | 一部可能 | 不可 | 不可 |
2027年分までは、暗号資産が「雑所得(総合課税)」扱いであるため、損失の繰越控除が認められていません。この点が、株式・FXと比べて最も不利な点の一つです。
※令和8年度税制改正で特定暗号資産は3年間の繰越控除の導入が決定。2028年1月1日以後に行う譲渡から適用されます。現行(2026年分・2027年分)は不可です。
2. 暗号資産の損失繰越が2027年分までできない理由
雑所得という分類の問題
日本の所得税法では、所得を以下の10種類に分類しています: 給与所得、事業所得、利子所得、配当所得、不動産所得、山林所得、譲渡所得、退職所得、一時所得、雑所得
暗号資産の取引利益は現在「雑所得(総合課税)」として扱われます。雑所得は他の所得との損益通算が基本的に認められず、翌年への繰越控除も不可です。
2028年1月1日以後は、この区分が原則として譲渡所得に変わります(所得税法33条3項3号。営利を目的として継続的に行う譲渡による所得は、従来どおり事業所得または雑所得です)。ただし譲渡所得になっても、50万円の特別控除も、5年超保有の2分の1課税も、給与など他の所得との損益通算も、暗号資産には適用されません(同法33条4項2号・5項、22条2項1号、69条2項)。区分が変わっても、3年繰越(租税特別措置法38条の3)の対象になるのは、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡から生じた損失です。
なぜ株とFXは繰越できるのか
上場株式とFXには「申告分離課税」という特別な課税方式が適用されており、この方式では損失繰越が認められています。暗号資産もこの申告分離課税に移行すべきという議論が続いており、令和8年度税制改正で特定暗号資産を申告分離課税20.315%とし損失の3年繰越控除を導入することが決まりました。ただし適用は2028年1月1日以後に行う譲渡からのため、2026年現在はまだ繰越控除は使えません。
3. 「不合理」な課税の具体例
トータルでゼロなのに税金が発生する
最も理不尽に見える事例:
- 2023年:暗号資産で100万円の損失
- 2024年:暗号資産で100万円の利益
- 2年間のトータル:プラスマイナスゼロ
この場合、2023年の損失は翌年に繰り越せないため、2024年の100万円の利益に丸々課税されます。給与年収600万円の会社員(独身)なら、この100万円に約29万円の所得税・住民税がかかります。
トータルではゼロの成績なのに、約29万円の実質損失が生まれます。
損失が出た年も申告する必要があるか
年間を通じて利益よりも損失が大きく、雑所得がゼロ以下であれば、暗号資産については確定申告義務はありません(住宅ローン控除や医療費控除など、他に申告すべき事情がある場合を除く)。ただし「損失を記録しておく」ことは重要です。
同年内の損益通算(暗号資産同士) は可能であるため(2028年1月1日以後は同じ枠の中で相殺します):
- BTC:+100万円
- ETH:−60万円
- 課税対象:40万円(BTC利益からETH損失を差し引ける)
ただしこれは「同年内」の話です。2027年分までは、ETHの損失を翌年に繰り越すことはできません。
4. 現行税制でできる合法的な節税策
節税策①:年内の「損出し(損失確定)」
年末までに含み損を抱えた暗号資産を実際に売却して損失を確定させ、その年の利益と相殺します。2028年1月1日以後は、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡(申告分離課税)と、DEX・無登録の海外取引所での譲渡(総合課税)は別枠で、一方の損失で他方の利益を減らすことはできません(租税特別措置法38条の2第1項・2項2号)。分かれ目は暗号資産をどこに置いているかではなくどの経路で売るかなので、損出しは利益を出したのと同じ経路で行う必要があります。
例:12月決算の損出し(2027年分まで。以下の相殺は同じ枠の中で行うものとします)
| 銘柄 | 含み損益 | 操作 | 課税への影響 |
|---|---|---|---|
| BTC | +200万円の利益確定済み | 売却済み | 課税対象200万円 |
| ETH | −80万円の含み損 | 12月に売却! | 課税対象200−80=120万円 |
ETHを年内に売ることで、同年のBTCの利益と相殺できます。給与年収600万円の会社員(独身)がこの表のとおり動いた場合、所得税と住民税の合計は約24万円減ります(計算エンジンで「相殺あり」「相殺なし」の税額を出した差)。
⚠️「80万円×30%」の掛け算では出ません。 暗号資産の利益は給与に上乗せして課税されるため、相殺で課税所得が税率の段(195万円・330万円・695万円…)や基礎控除の段(合計所得489万円・655万円)をまたぐと、1円あたりの効き方が変わるからです。この例の給与年収600万円がちょうど30%に近いのは、相殺の前後で段をひとつもまたいでいない(課税所得は約481万円→約401万円でどちらも20%帯、合計所得も636万円→556万円でどちらも基礎控除67万円)からで、偶然です。同じ80万円の相殺でも、給与年収500万円の人なら約29万円——課税所得が330万円の段を、合計所得が489万円の段を、それぞれまたぐため掛け算より大きくなります。自分の額は、源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」に暗号資産の利益を足した額から、相殺の前後で税額を出して差を取ると分かります。
注意点: 個人の所得税は原則「総平均法」(その年の購入をすべて平均して取得単価を出す方式)のため、同じ年内に売って同量を買い戻すと、確定できる損失が圧縮されます(買い直し分が平均取得単価に混ざるため)。損失を満額活かしたいなら、その年は買い戻さず、保有を続けたい場合は翌年に買い直すのが基本です。
節税策②:利益の分割(年をまたいだ利確)
年間の課税所得を意識して利確を複数年に分けると、税率ブラケットの上昇を抑えられる場合があります。所得税は課税所得が大きいほど税率が上がる累進課税だからです。
例:給与による課税所得が400万円の会社員が、含み益600万円を利確するケース
- 年内に一括利確:その年の課税所得は約1,000万円。900万円を超えた部分は所得税33%(復興特別所得税0.693%・住民税10%と合わせ43.693%)の帯に入ります。
- 2年に分割(年末と年始に300万円ずつ):各年の課税所得は約700万円にとどまり、所得税23%(復興特別所得税0.483%・住民税10%と合わせ33.483%)の帯に収まります。
ただし相場の変動リスクがあるため、税率だけで利確時期を決めるのは禁物です。なお令和8年分は、合計所得が489万円を超えると基礎控除が104万円→67万円、655万円超で62万円と段階的に縮みます。暗号資産の利益でこの段階を越えると、課税所得が「利益額」以上に増える(実際の税負担が大きくなる)点にも注意が必要です。
節税策③:収入が少ない年に利確する
育児休業、退職後の無収入期間、副業が減った年など、給与所得が少ない年は暗号資産の利益との合算で税率が低くなります。
例:育休で給与所得がゼロの年(合計所得は489万円以下とする)
- 暗号資産の利益:200万円
- 基礎控除(令和8年分・所得税):104万円
- 課税所得:約96万円 → 所得税率5%(復興特別所得税0.105%・住民税10%と合わせた限界税率15.105%)
- この年の税額:所得税 約4.9万円+住民税 約16.0万円=約20.9万円(利益200万円に対し実質約10%)
※計算エンジンで出した額です(育休中は社会保険料が免除される前提)。住民税は所得割のほかに調整控除2,500円が引かれ、均等割・森林環境税5,000円が加わるため、「課税所得×10%」ちょうどにはなりません。
通常の課税所得700万円の年(暗号資産分は所得税23%+復興特別所得税0.483%+住民税10%=33.483%の帯)に比べて、大幅に税負担を下げられます。
節税策④:ふるさと納税の活用
暗号資産の利益で雑所得が増えても、ふるさと納税の控除上限は住民税所得割額に連動しています。雑所得が大きくなるほど控除上限も上がります。
大きな利益が出た年は、ふるさと納税を最大限活用することで住民税の一部を「好きな自治体への寄付」に振り替えられます。
5. 申告分離課税への移行(2028年1月1日から)
業界団体の要望と改正の成立
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)を含む業界団体が長年要望してきたのが:
- 申告分離課税20.315%への変更(株・FXと同等)
- 損失の3年繰越控除の許可
- 暗号資産同士の交換を非課税扱いに
このうち①②は令和8年度税制改正で決まり、改正法も公布済みです(③の暗号資産同士の交換の非課税化は引き続き措置されていません)。適用が始まると暗号資産投資家の税負担は大幅に軽減され、特に高収入者にとって55%から20.315%への引き下げは劇的な変化です。
適用が始まるまでの流れ
税制改正は毎年12月に「与党税制改正大綱」として発表され、翌年3月の国会審議を経て法律になります。令和8年度税制改正では、金融商品取引業者が扱う「特定暗号資産」の譲渡益を申告分離課税20.315%とし、損失の3年繰越控除を導入することが決まりました(改正法=令和8年法律第12号は2026年4月1日に施行。施行日は規定ごとに分かれており、暗号資産の規定は未施行です)。損失を使えるのは特定暗号資産の譲渡益に対してだけで、給与など他の所得との損益通算はできません。暗号資産のデリバティブ取引は同じ20.315%でも別枠(先物取引に係る雑所得等)で、現物とは通算できません。適用は2028年1月1日以後に行う譲渡からです(金融商品取引法の改正法の本体の施行日が2027年4月1日〜7月22日の間と決まっているため、その翌年1月1日で確定します)。対象は登録を受けた暗号資産取引業者を通じた譲渡に限られ、DEXや無登録の海外取引所は対象外です。2026年分・2027年分の取引は引き続き雑所得・総合課税・繰越不可です。
6. よくある質問
Q. 暗号資産の損失を株の利益と相殺できますか?
できません。2027年分までは暗号資産の損失を「雑所得内」でのみ通算でき、株式(申告分離課税)の利益との相殺は認められていません。2028年1月1日以後も、暗号資産と上場株式等は別の枠なので相殺できません。
Q. 専業トレーダーなら損失繰越できますか?
「事業所得」として認められれば、損失繰越や他所得との通算が一部可能になります。ただし事業所得として認定されるには、継続・反復・独立した事業活動という実態が必要で、税務署への相談・確認が必須です。単純に「専業」というだけでは認められません。
Q. 確定申告で「損失申告」はするべきですか?
年内の損益通算で損失額を記録しておくことは重要です。2027年分までは翌年への繰越ができませんが、同年内の他の雑所得(他の暗号資産の利益や副業の収入など)との相殺に使えます。2028年1月1日以後は、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡なら3年間の繰越控除が使えます。いずれの年分でも、年次の申告書と損益計算書は保存しておくことをおすすめします。
まとめ
暗号資産の税制は現行(2026年分・2027年分)では株式・FXと比べて不利な状況です。
- 損失繰越控除:現行(2026年分・2027年分)は不可(株・FXは3年間可能。ただし令和8年度税制改正で3年繰越控除の導入が決定=登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡が対象で、2028年1月1日以後の譲渡から適用)
- 同年内の損益通算:可能(2027年分までは同種の雑所得内のみ。2028年1月1日以後は分離課税と総合課税が別枠で、またいでの相殺は不可)
- 他所得との損益通算:不可(給与所得等とは相殺できない)
現行税制でできる節税策:
- 損出し:年末までに含み損を確定させて同年の利益と相殺
- 利確タイミングの分割:年をまたいで税率ブラケットを管理
- 収入が少ない年に利確:ライフイベントを活かした節税
- ふるさと納税の最大活用:雑所得増加分の控除上限を使い切る
申告分離課税への移行は令和8年度税制改正で決まり、損失の3年繰越控除も2028年1月1日以後に行う譲渡から導入されます。それまでは現行ルール(雑所得・総合課税・繰越不可)が続くので、当面はこちらを前提に計画を立てることが重要です。
暗号資産の課税タイミング全般については暗号資産の税金:いつ課税されるのかで解説しています。
損失が出た年の確定申告と記録管理の実務
損失繰越ができない現行制度のもとでも、損失が出た年の確定申告と記録管理は重要な意味を持ちます。実務上の注意点を整理しておきましょう。
損失が出た年も取引記録を残す理由
2027年分までは暗号資産の損失を翌年に繰り越せませんが、「いつ・いくらで購入し・いつ・いくらで売却したか」という取引記録は、どの年分でも必ず保存しておく必要があります。理由は主に2つあります。
1つ目は、同年内の損益通算のためです。複数の暗号資産を保有している場合、ある銘柄の損失と別の銘柄の利益は同年内であれば相殺できます(2028年1月1日以後は、同じ枠=分離課税どうし・総合課税どうしの中で相殺します)。この計算には正確な取引記録が必要です。
2つ目は、取得価額の引き継ぎのためです。申告分離課税への移行と損失の3年繰越控除は令和8年度税制改正で決定済みですが(2028年1月1日以後の譲渡から適用)、移行前(2027年分以前)の損失を新制度に持ち込んで繰り越すことはできません。3年繰越の対象は2028年1月1日以後に行う譲渡から生じた損失に限られ、持ち込みを認める経過措置は置かれていないためです。一方で、移行後に売却したときの譲渡益は「いくらで買ったか」から計算するため、購入時の記録は制度が変わっても必要になります。
取引所ごとの損益計算の注意点
複数の取引所を利用している場合、損益計算が複雑になります。各取引所の年間損益報告書をダウンロードして合算する必要がありますが、「取引所Aでは利益、取引所Bでは損失」という状況でも、同年内であれば合算して申告できます。
取引所の年間損益報告書の発行時期は業者によって異なります(多くは翌年1〜3月)。確定申告の期限(3月15日)に間に合うよう、早めに書類を入手する計画を立てておきましょう。
損出し後の「取得単価リセット」は買い直すタイミング次第
損出し(含み損の確定)後に同じ銘柄を買い直すと取得単価が下がるイメージがありますが、個人の所得税は原則「総平均法」のため、買い戻すタイミングで結果が変わります。
- 同じ年内に売って買い戻す場合:買い直し分がその年の平均取得単価に混ざり、確定できる損失が圧縮されます。たとえば100万円で買ったコインを40万円で損出しし、同じ年に40万円で買い直すと、その年の取得単価は平均70万円((100万+40万)÷2)となり、確定損失は60万円ではなく30万円に目減りします。
- 翌年以降に買い直す場合:その年は損失60万円を満額確定でき、翌年に40万円で買い直せば取得単価は40万円になります。その後100万円に戻ると「60万円の利益」として課税される可能性があります。
いずれにせよ損出しには「将来の課税を前倒しする」側面があることを念頭に置いておきましょう。
税制改正を先読みした保有戦略
令和8年度税制改正で決まった申告分離課税へ移行すると、利益に対する税率が最大55%から20.315%に下がり、損失の3年繰越控除も使えるようになります(2028年1月1日以後の譲渡から適用)。このため「税制改正を見越して今は利確を抑える」という判断をする投資家もいます。
ただし、適用が始まるのは2028年1月1日以後の譲渡からで、2026年分・2027年分の2年分は現行の総合課税が続きます。その間に相場が大きく下落するリスクもあります。税制の変化のみに基づいた投資判断は慎重に行う必要があります。投資の基本は「相場の状況」に基づく判断を優先し、税制の変化は「追加的な考慮要素」として位置づけることが安全です。
暗号資産の税金を試算する
損出しやタイミング別の税額を比較する機能はありません。暗号資産以外の年収と最終年の利確割合を入れて、税引後の金額がどう変わるかを見る使い方になります(税率を入力する欄はなく、入れた年収と利確額から累進税率が自動で当たります)。この金額は利確割合が100%なら「税引後の想定受取額」、100%未満なら売っていない分を含むので「税引後の想定評価額」という名前で出ます。
この記事の根拠(出典)
本記事の損益通算・繰越控除の可否と改正内容は、以下の一次情報(2026年8月時点)で確認しています。2028年1月1日から適用される規定は、e-Gov法令検索の「2028年1月1日施行」版の条文を直接参照しています(現行版にはまだ載っていないため)。
- 雑所得の損失を給与など他の所得と相殺できないこと:国税庁「No.2250 損益通算」/国税庁「No.1500 雑所得」
- その損失を翌年に繰り越せないこと:e-Gov法令検索「所得税法」(第69条第1項が損益通算の対象を不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失に限り、第2条第1項第25号が「純損失の金額」をその第69条第1項の損失のうち控除しきれない部分と定め、繰越控除〔第70条第1項〕の対象を純損失に限っているため、雑所得の損失は繰越の対象になりません)
- 暗号資産取引による所得が原則「その他雑所得」に区分されること、総平均法が原則で移動平均法は届出制であること(=同じ年に買い戻すと確定できる損失が圧縮される理由):国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月)(2-2/2-4〜2-6/2-11)
- 上場株式等の譲渡損失が3年間繰り越せること:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
- 国内FX・先物取引の損失が3年間繰り越せること:国税庁「No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例」
- 事業所得と雑所得の区分が帳簿書類の保存で判断され、収入金額300万円超という目安が置かれていること:国税庁「所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係」(35-2)
- ふるさと納税の控除額が住民税所得割額に連動すること:総務省「ふるさと納税のしくみ:税金の控除について」
- 2028年1月1日以後の譲渡について、特定暗号資産が申告分離課税になること(そのうち所得税分は15%)と損失の3年繰越、対象が登録を受けた暗号資産取引業者を通じた譲渡に限られること、給与など他の所得と通算できないこと:e-Gov法令検索「租税特別措置法」(2028年1月1日施行版)(第38条の2第1項「百分の十五」、第38条の3、附則第39条第1項)
- 合計20.315%のうち住民税分5%(道府県民税2%+市町村民税3%。指定都市は1%+4%で合計は同じ)と、住民税側の損失の3年繰越:e-Gov法令検索「地方税法」(2029年1月1日施行版)(本則ではなく附則第35条の3の6・第35条の3の7)。残る0.315%は所得税額への2.1%の上乗せ(国税庁「No.2260 所得税の税率」)で、所得税15%×2.1%=0.315%です(2028年分の内訳は復興特別所得税0.165%+防衛特別所得税0.15%)。⚠️国税庁「No.2260 所得税の税率」は令和7年4月1日現在の法令等にもとづくため、この改正は反映されていません
- 2028年1月1日以後は売却益が譲渡所得に区分されること、それでも50万円の特別控除・5年超保有の2分の1課税・他の所得との損益通算が使えないこと:e-Gov法令検索「所得税法」(2028年1月1日施行版)(第33条第2項第1号・第3項第3号・第4項第2号・第5項、第22条第2項第1号、第69条第2項)
「2028年1月1日」という日付は、単一の条文や告示に書かれているものではありません。次の4段をたどって決まります。
- 分離課税と3年繰越の規定は「附則第一条第十号に定める日以後に行う…譲渡」から適用されます(e-Gov法令検索「租税特別措置法」(2028年1月1日施行版) 附則第39条第1項)。
- その第10号の日は「次号に掲げる規定の施行の日の属する年の翌年の一月一日」です(同 附則第1条第10号)。ここから、開始日が必ず1月1日になることが決まります。
- その「次号」=第11号の日は「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律…の施行の日」です(e-Gov法令検索「所得税法」(2028年1月1日施行版) 附則第1条第11号。条文では法律番号が空欄のまま置かれていますが、この改正法が令和8年法律第64号です。同じ改正法の附則ですが、租税特別措置法側では号の本文が省略されているため、こちらで読めます)。
- その令和8年法律第64号は、附則第1条本文で「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行すると定め、同条第4号で第一条の規定(一部を除く)の施行日を「令和九年四月一日」と定めています(e-Gov法令検索「金融商品取引法」 附則〔令和8年7月23日法律第64号〕第1条)。暗号資産を金融商品取引法へ移すのは第二条で、これは第一条が新設する規定を書き換える構造のため、政令が定められる日は2027年4月1日から2027年7月22日までに収まります。したがって施行年は2027年で動かず、その翌年の1月1日=2028年1月1日になります。
施行日を定める政令は2026年8月時点で未公布です。同じ改正法のうち「20日後施行」の部分が2026年8月12日から施行されたこと(=公布日が2026年7月23日で、政令の期限が2027年7月22日になること)は金融庁「令和8年金融商品取引法等改正(20日後施行)に係る政令の公布について」で確認できます。ただしこの公表資料は罰則規定の施行に関するもので、暗号資産や税制には触れていません。
なお「2027年分以前の損失を新制度に持ち込めない」と書いているのは、上記1の附則第39条第1項が適用対象を「附則第一条第十号に定める日以後に行う…譲渡」と定めており、それ以前に生じた損失の持ち込みを認める経過措置が置かれていないことによります。
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