暗号資産の節税対策ガイド:個人事業主化と経費計上

最大55%の税金に対抗するための節税テクニック。必要経費として認められる範囲、青色申告のメリット、そして法人化による税率の違いまで、合法的な節税方法を紹介します。

暗号資産の利益は最大55%(所得税45%+住民税10%。復興特別所得税まで含めると55.945%)の税率がかかる「雑所得(総合課税)」です。ただし最高税率が当たるのは課税所得が4,000万円を超えた部分だけ。給与年収600万円の会社員が1,000万円を利確した場合、増える所得税・住民税は約361万円が目安です(独身・扶養なしとして計算エンジンで試算)。

しかし、合法的な節税策を知っているかどうかで、手取り額は大きく変わります。この記事では、個人投資家が実践できる現実的な節税対策を、経費計上から法人化まで段階的に解説します。


1. 基本:雑所得の計算と節税の原理

課税の仕組み

暗号資産の利益(雑所得)の課税計算:

課税対象の雑所得 = 総収入 − 必要経費
課税所得 = 雑所得 + 給与所得等(各種控除後)
税額 = 課税所得 × 税率

節税の基本は「必要経費を漏れなく計上して課税対象の所得を減らす」ことです。また「利確タイミングを管理して、1年間の課税所得を適切な税率ブラケットに収める」ことも重要です。


2. 必要経費として計上できるもの

確実に経費になるもの

経費の種類計上可能範囲注意点
取引手数料全額取引所が発行するレポートで確認
送金手数料(ガス代等)全額DeFi利用時のガス代も含む
税務計算ソフト代全額Cryptact、Gtax等
税理士・会計士費用暗号資産分のみ全体の申告費用の一部
暗号資産専門書籍全額直接関連する場合

按分(あんぶん)が必要なもの

経費の種類按分の考え方注意点
インターネット通信費取引に使う時間・割合例:50%業務使用なら50%経費
スマートフォン代暗号資産取引専用割合私的利用と明確に区分できることが必要
パソコン・タブレット専用使用割合10万円以上は減価償却が必要
セミナー参加費原則全額(関連性が明確な場合)観光目的と混在するものは不可

経費として認めにくいもの(注意)

  • 家賃・光熱費:専用トレードルームがある場合のみ按分可能。税務調査で否認されるリスクが高い
  • 食事代:「情報収集のための食事」は原則不可
  • 交際費:投資仲間との飲食代は基本的に不可

3. 損出し(損益通算)による節税

年内の損失確定で税金を下げる

含み損を抱えた暗号資産を年内に売却して損失を確定させ、その年の利益と相殺する方法です。2028年1月1日以後は、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡(申告分離課税)と、DEX・無登録の海外取引所での譲渡(総合課税)は別枠で、一方の損失で他方の利益を減らすことはできません(租税特別措置法38条の2第1項・2項2号)。分かれ目は暗号資産をどこに置いているかではなくどの経路で売るかなので、損出しは利益と同じ経路で行う必要があります。

例:BTCで200万円の利益、ETHで80万円の含み損の場合

対応暗号資産の所得給与と合算した税負担の増加
何もしない200万円596,000円
ETHを年内に売却(損出し)120万円352,600円
節税効果—243,400円の節税

※給与年収600万円の会社員(独身・扶養なし)が、暗号資産の所得を上乗せした場合の増加分を計算エンジンで出した値です。⚠️この243,400円は、税率を掛けて出した額ではありません——暗号資産の利益は給与に上乗せして課税されるので、給与でどこまで課税所得を使っているかで当たる税率が決まります。この例は損出しの前後がどちらも課税所得330〜695万円の帯に収まるので結果的に「80万円×30.42%=243,360円」に近い値になりますが、給与年収500万円の人なら同じ80万円の損出しで約29万円です(合計所得489万円の段をまたいで基礎控除が戻るため、どの帯の税率を掛けても出ない額になります)。

損出し後の買い直しと「取得費リセット」の誤解

「損失を確定した後すぐ同じ銘柄を買い直せば取得費をリセットできる」と紹介されることがありますが、これは移動平均法を前提とした考え方です。個人の所得税は原則「総平均法」(その年の購入をすべて平均して取得単価を出す方式)のため、同じ年内に売って買い戻すと、確定できる損失が圧縮されます。

  • 損出し前:ETH 100万円で取得 → 現在価値60万円(含み損40万円)
  • 同年内に60万円で売却し、すぐ60万円で同量を買い直した場合
    • その年のETH購入合計:100万円+60万円=160万円(2単位)→ 総平均単価80万円
    • 売却損:60万円 −(80万円×1単位)= −20万円(40万円ではなく20万円に圧縮)
    • 買い直したETHの取得費も60万円ではなく80万円(その年の平均)になる

つまり「即買い戻しで取得費を60万円にリセット」というイメージは、総平均法が原則の個人には当てはまりません。損失を満額(40万円)確定したいなら、その年は買い戻さず、保有を続けたい場合は翌年に買い直すのが基本です。

注意: 日本には米国の「ウォッシュセール」のような規制はありませんが、上記のとおり総平均法では同年内の買い戻しで損失が目減りします。買い直しの手数料コストもかかります。


4. 利確タイミングの管理

年内の課税所得を意識する

雑所得が大きくなると税率ブラケットが上がります。年内の利確額をコントロールして、税率が上がる閾値を超えないよう管理することが有効です。

総課税所得所得税復興特別所得税住民税合計
〜195万円5%0.105%10%15.105%
195〜330万円10%0.21%10%20.21%
330〜695万円20%0.42%10%30.42%
695〜900万円23%0.483%10%33.483%
900〜1,800万円33%0.693%10%43.693%
1,800〜4,000万円40%0.84%10%50.84%
4,000万円超45%0.945%10%55.945%

※復興特別所得税は課税所得ではなく所得税額に対して2.1%かかるため、上乗せ幅は税率帯ごとに変わります(5%の帯なら0.105%、45%の帯なら0.945%)。2027年分(令和9年分)から2047年分(令和29年分)までは、この2.1%が復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1.0%に分かれます(令和8年法律第12号)。合計2.1%は変わらないので、上表の合計税率は2026年分・2027年分のどちらでも同じです(上乗せの合計2.1%自体は2047年分まで変わりません)。各行は「所得税+復興特別所得税+住民税」で合計と一致します。

例:給与所得500万円(給与年収なら約678万円)の会社員

  • 現状の課税所得(各種控除後):約334万円(330〜695万円の帯=合計30.42%)
  • 暗号資産を100万円利確する場合:課税所得約434万円(同じ帯のまま)
  • 暗号資産を500万円利確する場合:課税所得約839万円(695〜900万円の帯=合計33.483%へ)

※500万円利確の行が「334万+500万」より大きいのは、合計所得が655万円を超えて基礎控除が67万円から62万円に縮むためです。

同じ利確額でも年収・他の控除によって税率が変わるため、事前のシミュレーションが重要です。なお令和8年分は、合計所得が489万円を超えると基礎控除が104万円→67万円、655万円超で62万円と段階的に縮みます。暗号資産の利益でこの段階を越えると課税所得が想定より上振れしやすい点にも注意してください。

年をまたいだ分割利確

一度に大量利確せず、12月と1月に分けることで、1年あたりの課税所得を下げられる場合があります。

なお、上記の冒頭でふれた申告分離課税化(2028年1月1日以後の譲渡から)では、税率は利益額にかかわらず一律20.315%(2047年分〔令和29年分〕までの率)となるため、累進を避ける利確分散の意義は薄れる見込みです。現行(2026年分・2027年分)は総合課税のため、引き続き有効な手法です。


5. ふるさと納税の最大活用

暗号資産利益で控除上限が上がる

ふるさと納税の控除上限額は住民税所得割額に連動します。暗号資産の利益が大きい年は、通常より多くふるさと納税を使えます。

例:給与所得500万円(給与年収なら約678万円)・暗号資産利益300万円の年

  • 通常の上限:約10.4万円(給与所得500万円のみ)
  • 今年の上限:約19万円(暗号資産の利益300万円も加算した場合)

暗号資産の利益で確定申告をする年は、ワンストップ特例は使えないので、ふるさと納税も確定申告書に記載します。上限内なら、自己負担は原則2,000円で返礼品をもらいながら、寄付額の大部分が、その年の所得税と翌年度の住民税から控除されます。ただし確定申告では、所得税から実際に戻る分の税率が住民税の特例分の計算に入る所得税率より低いと、上限内でも自己負担が2,000円を超えることがあります。たとえば寄付で課税所得が所得税の税率帯の境目(195万・330万・695万・900万・1,800万・4,000万円)を割り込むと、割り込んだ分は1つ下の税率でしか戻りません。上の例の「通常の年」は課税所得が約334万円で330万円のすぐ上なので、その年に確定申告をして上限(104,299円)まで寄付すると、自己負担は約7,900円になります(独身・40歳未満・賞与なしで試算)。利益が20万円以下で確定申告の義務がない会社員も、住民税の申告が必要なためワンストップ特例は使えません(確定申告か住民税の申告で申告します。どちらが得かはワンストップ特例の記事の§5)。住民税の申告だけにすると所得税からの控除(寄附金控除)は受けられないので、自己負担は2,000円より大きくなります。利益が大きい年ほど活用効果が高まります(上限額は住民税所得割に連動するため、正確な額は控除上限シミュレーションで確認してください)。


6. 青色申告のメリット(事業所得として認定される場合)

事業所得と雑所得の違い

暗号資産取引が「事業所得」と認められれば、雑所得よりも有利な税制適用を受けられます。

比較項目雑所得事業所得
損失繰越不可3年間(青色申告の場合)
他所得との損益通算不可給与所得等と通算可能
青色申告特別控除対象外最大65万円控除(注)
経費計上の幅限定的幅広い

(注)65万円控除はe-Taxによる申告または優良な電子帳簿の保存が要件です。書面申告では55万円、簡易簿記では10万円になります。

事業所得として認定されるハードル

暗号資産取引が事業所得と認定されるには:

  • 反復継続・独立した商業活動であること
  • 一定の規模・頻度の取引があること
  • 税務署への個人事業主届け出

一つの目安として、副業収入が年間300万円を超え帳簿書類を保存している場合は事業所得と扱われやすくなります(令和4年の国税庁通達)。ただし2027年分までは暗号資産取引が原則として雑所得とされ、事業所得が認められるのは事業に付随する場合など限られたケースです。自己判断で事業所得として申告するのはリスクが伴い、税理士への相談が強く推奨されます。


7. 法人化の検討

法人化のメリット

暗号資産の利益が大きい場合は、法人化も選択肢になります。

法人化のメリット:

  • 法人の実効税率は、資本金1億円以下の中小法人で約21〜34%(所得の規模による。標準税率で計算。個人の最大55%より低い)
  • 役員報酬として自分に支払い、給与所得控除を活用できる
  • 損失の繰越控除が10年間
  • 家族を役員・従業員にして所得を分散できる
  • 経費計上の幅が広い

法人化のデメリット:

  • 設立費用(株式会社:約20〜30万円)
  • 維持費用(社会保険料・税理士費用など年50〜100万円以上)
  • 事務作業の増加(決算申告・帳簿管理等)
  • 赤字でも法人住民税の均等割(年7万円〜)が発生
  • 期末時価評価課税:法人が保有する暗号資産(活発な市場のあるもの)は、原則として期末に時価評価され、売却していない含み益にも法人税が課されます(個人は売却するまで課税されません)。令和5・6年度改正で自社発行や一定の譲渡制限付きトークンは対象外になりましたが、取引所で購入した一般的なBTC・ETH等は引き続き対象です

8. よくある質問

Q. 確定申告しない(脱税)と節税は違いますか?

根本的に違います。脱税は犯罪であり、発覚した場合は無申告加算税(15〜30%)・延滞税・場合によっては刑事罰が科されます。節税は「合法的な制度の範囲内で税負担を最小化すること」です。この記事で紹介している方法はすべて合法的な節税です。

Q. 損出しを毎年やると税務署に目を付けられますか?

合法的な取引であるため問題ありません。ただし「損出しして即買い戻し」を繰り返す場合、経済的実態が伴っているかを税務署から確認される可能性はゼロではありません。正当な理由(損失確定・取得費管理)として説明できる記録を残しておくと安心です。

Q. 税理士に相談する必要がある場面はどこですか?

以下の場合は税理士への相談を検討してください:

  • 年間の利益が数百万円以上になった場合
  • DeFi・ステーキング等で複雑な取引がある場合
  • 法人化を検討している場合
  • 事業所得として申告したい場合

まとめ

暗号資産の節税は「知識があるかどうか」で手取りが大きく変わります。

  • 経費計上:手数料・ソフト代・書籍代を漏れなく計上
  • 損出し:年内の含み損を確定して利益と相殺
  • 利確タイミング:税率ブラケットを意識して1年間の課税所得を管理
  • ふるさと納税:利益が大きい年の控除上限を最大活用
  • 法人化:効果が出る利益の水準は、ほかの所得や維持コストで変わる(要税理士相談)

「脱税はリスクだが節税は権利」——正しい知識を身につけて、合法的に手取りを最大化しましょう。

2027年分までは損失繰越ができない理由と、年内の損益通算については暗号資産の損失繰越はできない?で詳しく解説しています。


節税対策を実践する上での注意点と優先順位

節税は合法的な権利ですが、実践する際には優先順位と限界を理解しておくことが重要です。

節税対策の優先順位

複数の節税手法がある場合、効果が高く手間が少ないものから着手するのが現実的です。

優先度節税手法効果難易度
高取引手数料・ソフト代の経費計上数万円程度の節税低(記録するだけ)
高ふるさと納税(利益が大きい年)数万〜十数万円の節税低(サイトで申込み)
高利確タイミングの管理(年内の課税所得の調整)税率ブラケットに応じて大きく変わる中(計算が必要)
中損出し(年内の含み損の確定)損失額×税率分の節税中(タイミングが重要)
低法人化高利益時に大きな効果高(設立・維持コストあり)

「グレーゾーン経費」への警戒

自宅の家賃・光熱費・食事代などを「暗号資産取引のための経費」として計上するケースがありますが、税務調査で否認されるリスクがあります。特に「専用作業部屋がある」「作業時間の割合を帳簿で管理している」などの証拠がなければ認められない可能性が高いです。

節税と申告の「タイミング」を押さえる

節税は年末の数週間だけ気にすればよいわけではありません。以下の時期ごとにアクションが必要です。

時期やること
1〜12月(年間)全取引の記録・経費のレシート保管・納税資金の積立
10〜11月(年末前)年間利益の概算・損出しの検討・ふるさと納税の上限確認
12月必要に応じて損出しの実行・来年への利確の繰り越し判断
翌年1〜2月取引履歴のまとめ・税務ソフトでの計算・ふるさと納税の受領証明書の整理(暗号資産の利益がある年はワンストップ特例は使えず、確定申告書か住民税の申告書に記載)
翌年2〜3月15日確定申告・納税

年間を通じた「節税カレンダー」を意識することで、申告直前に慌てるリスクを大幅に減らせます。


暗号資産の税金を試算する

扶養・生命保険料・ふるさと納税などの控除を入力する欄はありません(社会保険料控除は入力した年収から自動で入ります)。暗号資産以外の年収と最終年の利確割合を入れると、累進税率が自動で当たって税引後の金額が出るので、それ以外の控除の効果は本記事の考え方で上乗せしてください。この金額は利確割合が100%なら「税引後の想定受取額」、100%未満なら売っていない分を含むので「税引後の想定評価額」という名前で出ます。


この記事の根拠(出典)

本記事の経費・控除・所得区分・法人課税・改正内容は、以下の一次情報(2026年8月時点)で確認しています。2028年1月1日から適用される規定は、e-Gov法令検索の「2028年1月1日施行」版の条文を直接参照しています(現行版にはまだ載っていないため)。

  • ワンストップ特例を使えるのは、所得税の確定申告の義務がない(または給与所得者などが確定申告を要しない規定の適用を受ける)と見込まれ、ふるさと納税の控除を受ける目的以外に住民税の申告書を出す必要もないと見込まれる人であること/住民税の申告書を出すと、ワンストップ特例の申請はなかったものとみなされること:e-Gov法令検索「地方税法」附則第7条第8項・第13項第2号
  • 給与以外の所得がある人は3月15日までに住民税の申告書を出すこと(1月1日現在で給与または公的年金等の支払を受けていて、前年に給与所得以外の所得または公的年金等に係る所得以外の所得がなかった人などは除く):e-Gov法令検索「地方税法」第317条の2第1項
  • 住民税の申告書には寄附金税額控除の事項を書くので、確定申告をしなくても住民税の申告でふるさと納税の住民税の控除を受けられること:e-Gov法令検索「地方税法」第317条の2第1項第6号・第3項
  • 所得税の寄附金控除は年末調整では受けられないこと(年末調整で差し引く控除に寄附金控除〔第78条〕が入っていない):e-Gov法令検索「所得税法」第190条
  • 暗号資産の利益が「その他雑所得」に区分され総合課税になること、売却・暗号資産同士の交換・商品購入のそれぞれで利益が確定すること:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月)(1-1 売却/1-2 商品購入/1-3 暗号資産同士の交換/2-2 所得区分)
  • 家賃・通信費などの家事関連費を経費にできるのは、業務上必要だったことが記録で明らかに区分できる部分に限られること(=按分が必要な理由):国税庁「No.2210 必要経費の知識」
  • 雑所得の損失は翌年に繰り越せず、事業所得の純損失は青色申告なら3年間繰り越せること(§6の比較表):e-Gov法令検索「所得税法」(第69条第1項が損益通算の対象を不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失に限り、第2条第1項第25号が「純損失の金額」をその第69条第1項の損失のうち控除しきれない部分と定めているため雑所得の損失は繰越の対象にならず、第70条第1項は繰越を「その年分の所得税につき青色申告書を提出している年」の純損失に限っています)
  • 暗号資産の必要経費の考え方、所得区分、総平均法が原則で移動平均法は届出制であること(=同じ年に買い戻すと確定できる損失が圧縮される理由)、法人が保有する暗号資産の期末時価評価と、その対象から外れる暗号資産(特定自己発行・特定譲渡制限付)があること:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月)(2-2〜2-6/3-1-3/3-1-9/3-1-11)
  • 所得税の税率区分(5%〜45%の7段と速算表の控除額):国税庁「No.2260 所得税の税率」
  • 復興特別所得税が「課税所得」ではなく「基準所得税額」に対して2.1%かかること(=上乗せ幅が税率帯ごとに変わる理由)と、2026年分は復興特別所得税2.1%・2027年分(令和9年分)から2047年分(令和29年分)までは復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1.0%で合計2.1%が変わらないこと:e-Gov法令検索「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(2027年1月1日施行版)(第13条「基準所得税額に百分の一・一の税率を乗じて計算した金額」、第9条第1項「平成二十五年から令和二十九年までの各年分」、第10条第1号が基準所得税額を「所得税の税額の計算に関する法令の規定…により計算した所得税の額」と定義)/e-Gov法令検索「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(2027年1月1日施行版)(第5条の9「基準所得税額に百分の一の税率」、第5条の5第1項「令和九年分以後の各年分の所得税に係る基準所得税額には…当分の間、防衛特別所得税を課する」、第5条の6が基準所得税額を復興財確法10条と同じ文言で定義=同じ課税ベース)。適用年分は令和8年法律第12号 附則第88条第1項「令和九年分以後の所得税について適用し、令和八年分以前の所得税については、なお従前の例による」、施行日は同附則第1条第5号ニ・ホが「令和九年一月一日」と法律本体で定めています。⚠️国税庁「No.2260 所得税の税率」(令和8年4月1日現在の法令等)は、源泉徴収についての注記でこの改正に触れていますが、確定申告の説明には改正前の期間の記載も残っているため、年分ごとの率は上の条文によります
  • 令和8年分の基礎控除が合計所得489万円超で104万円→67万円、655万円超で62万円と縮むこと:国税庁「令和8年4月源泉所得税の改正のあらまし」(PDF)(1ページ目の基礎控除額の表に、合計所得489万円・655万円の区分と104万円・67万円・62万円が載っています)/国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
  • ふるさと納税の控除額が住民税所得割額に連動すること:総務省「ふるさと納税のしくみ:税金の控除について」
  • ふるさと納税の寄附金控除は、所得税では総所得金額などから引く所得控除であること/所得税の税率は課税所得195万・330万・695万・900万・1,800万・4,000万円を境目に上がること(=寄付で境目を割り込むと、割り込んだ分は1つ下の税率でしか所得税が戻らない理由):e-Gov法令検索「所得税法」第78条第1項・第89条第1項(2026年9月30日確認)
  • 住民税の特例分の割合は、住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額(5万円に配偶者・扶養などに応じた額を足した額と、所得税の基礎控除から48万円を引いた額の合計)を引いた額で決まり、住民税ではふるさと納税は所得控除でない(税額控除)ため、寄付をしてもこの額は減らないこと(=所得税の戻りが下がっても住民税側は埋めない理由):e-Gov法令検索「地方税法」市町村民税=第314条の2(所得控除の列挙に寄附金が無い)・第314条の3第2項・第314条の6第1号イ・第314条の7第1項・第11項/道府県民税=第34条・第35条第2項・第37条の2第1項・第11項/割合の読み替え=附則第5条の6第1項・第2項(2026年9月30日確認)
  • 事業所得と雑所得の区分が帳簿書類の保存で判断され、収入金額300万円超という目安が置かれていること:国税庁「所得税基本通達 法第35条《雑所得》関係」(35-2)
  • 青色申告特別控除が65万円・55万円・10万円の3段階で、65万円にはe-Taxまたは優良な電子帳簿の要件があること:国税庁「No.2072 青色申告特別控除」
  • 個人事業税の標準税率(第一種事業は5%)と事業主控除290万円:e-Gov法令検索「地方税法」(第72条の49の17「個人の事業税の標準税率等」第1項第1号「所得に百分の五の標準税率によつて定めた率を乗じて得た金額」/事業主控除は第72条の49の14「二百九十万円を控除する」)/業種ごとに実際に適用される税率は東京都主税局「個人事業税」
  • 2028年1月1日以後の譲渡について、特定暗号資産が申告分離課税になること(そのうち所得税分は15%)と損失の3年繰越、対象が登録を受けた暗号資産取引業者を通じた譲渡に限られること:e-Gov法令検索「租税特別措置法」(2028年1月1日施行版)(第38条の2第1項「百分の十五」、第38条の3)
  • 合計20.315%(2047年分〔令和29年分〕までの率)のうち住民税分5%(道府県民税2%+市町村民税3%。指定都市は1%+4%で合計は同じ)と、住民税側の損失の3年繰越:e-Gov法令検索「地方税法」(2029年1月1日施行版)(本則ではなく附則第35条の3の6・第35条の3の7)。残る0.315%は所得税額への2.1%の上乗せで、所得税15%×2.1%=0.315%です(この上乗せ2.1%は2047年分〔令和29年分〕まで。2028年分の内訳は復興特別所得税0.165%+防衛特別所得税0.15%)

「2028年1月1日」という日付は、単一の条文や告示に書かれているものではありません。次の4段をたどって決まります。

  1. 分離課税の規定は「附則第一条第十号に定める日以後に行う…譲渡」から適用されます(e-Gov法令検索「租税特別措置法」(2028年1月1日施行版) 附則第39条第1項)。
  2. その第10号の日は「次号に掲げる規定の施行の日の属する年の翌年の一月一日」です(同 附則第1条第10号)。ここから、開始日が必ず1月1日になることが決まります。
  3. その「次号」=第11号の日は「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律…の施行の日」です(e-Gov法令検索「所得税法」(2028年1月1日施行版) 附則第1条第11号。条文では法律番号が空欄のまま置かれていますが、この改正法が令和8年法律第64号です。同じ改正法の附則ですが、租税特別措置法側では号の本文が省略されているため、こちらで読めます)。
  4. その令和8年法律第64号は、附則第1条本文で「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行すると定め、同条第4号で第一条の規定(一部を除く)の施行日を「令和九年四月一日」と定めています(e-Gov法令検索「金融商品取引法」 附則〔令和8年7月23日法律第64号〕第1条)。暗号資産を金融商品取引法へ移すのは第二条で、これは第一条が新設する規定を書き換える構造のため、政令が定められる日は2027年4月1日から2027年7月22日までに収まります。したがって施行年は2027年で動かず、その翌年の1月1日=2028年1月1日になります。

施行日を定める政令は2026年8月時点で未公布です。同じ改正法のうち「20日後施行」の部分が2026年8月12日から施行されたこと(=公布日が2026年7月23日で、政令の期限が2027年7月22日になること)は金融庁「令和8年金融商品取引法等改正(20日後施行)に係る政令の公布について」で確認できます。ただしこの公表資料は罰則規定の施行に関するもので、暗号資産や税制には触れていません。


関連記事

本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・投資・法律などの専門的助言ではありません。内容は公的機関などの信頼できる情報をもとに作成していますが、制度や数値は変わる場合があります。実際の判断は公式情報や専門家でご確認ください(運営者情報・免責事項)。