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ボリンジャーバンドの標準偏差(σ)と確率論:バンドウォークの正体
「バンドの中に95%収まる」は本当か?統計学を用いたボリンジャーバンドの計算式、標準偏差(シグマ)の意味、そして順張り・逆張りの使い分けを解説します。
更新日: 2026-02-27
チャート上に表示される、価格を包み込むような帯(バンド)。 それが「ボリンジャーバンド」です。
開発者のジョン・ボリンジャー氏が考案したこの指標は、単なる移動平均線の乖離(エンベロープ)ではありません。 統計学の「標準偏差(Standard Deviation:σ)」を取り入れた、非常に論理的なテクニカル指標です。
「±2σの範囲内に価格が収まる確率は95%」 この言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。 しかし、この言葉には大きな誤解が含まれています。
この記事では、ボリンジャーバンドの計算式、標準偏差の意味、そして「バンドウォーク」と呼ばれる強力なトレンド発生のメカニズムについて解説します。
ボリンジャーバンドの構成要素
ボリンジャーバンドは、以下の3本の線(または5本、7本)で構成されています。
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ミッドバンド(中心線) 単純移動平均線(SMA)。一般的に20日SMA(または21日)が使われます。
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アッパーバンド(+1σ, +2σ, +3σ) ミッドバンドに「標準偏差のN倍」を足した線。
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ロワーバンド(-1σ, -2σ, -3σ) ミッドバンドから「標準偏差のN倍」を引いた線。
標準偏差(σ:シグマ)とは?
標準偏差とは、データの「ばらつき具合」を表す数値です。
- 値動きが小さい時(レンジ相場):ばらつきが小さい → 標準偏差も小さい → バンド幅が狭くなる(スクイーズ)。
- 値動きが大きい時(トレンド相場):ばらつきが大きい → 標準偏差も大きい → バンド幅が広がる(エクスパンション)。
つまり、ボリンジャーバンドの幅は「相場のボラティリティ(変動率)」そのものを可視化したものです。
統計学的確率と「95%」の誤解
正規分布(ベルカーブ)の理論では、データが平均値から標準偏差の範囲内に収まる確率は以下の通りです。
- ±1σ(シグマ)の範囲内:約 68.26%
- ±2σ(シグマ)の範囲内:約 95.44%
- ±3σ(シグマ)の範囲内:約 99.73%
ここから、「価格が±2σを超える確率は約4.5%しかない」→「だから±2σにタッチしたら逆張り(売り/買い)だ」という手法が生まれました。
なぜ逆張りは危険なのか?
為替相場の価格変動は、必ずしも「正規分布」に従いません。 特にトレンド発生時は、価格がバンドの上限(+2σ)に張り付いたまま上昇し続けることがあります。 これを「バンドウォーク」と呼びます。
この時、もし「95%収まるはずだから売りだ」と逆張りし続けると、残りの「4.5%」の例外的な大相場に巻き込まれ、破産します。 ボリンジャーバンド本来の使い方は、むしろ順張り(トレンドフォロー)にあると言えます。
トレンドの3段階:スクイーズ・エクスパンション・バンドウォーク
ボリンジャーバンドを見ると、相場の状態を一目で判断できます。
1. スクイーズ(収縮)
バンド幅が極端に狭くなっている状態です。 これは「エネルギーを溜めている」期間であり、次の大相場の前兆です。 この時期は無理にトレードせず、どちらかにブレイクするのを待つのが賢明です。
2. エクスパンション(拡散)
価格がバンドを突き破り、バンド幅が上下に大きく広がる状態です。 スクイーズからエクスパンションに移行した瞬間が、トレンド発生のサインです。
- 上にブレイクした場合:上昇トレンド開始(買い)
- 下にブレイクした場合:下降トレンド開始(売り)
3. バンドウォーク(巡航)
強いトレンドが発生すると、価格が+1σと+2σの間(または-1σと-2σの間)を行ったり来たりしながら推移します。 これがバンドウォークです。 この状態が続いている間は、トレンド継続と判断してポジションを保有し続けます。
終了のサインは、価格がミッドバンド(中心線)を割り込んだ時や、反対側のバンドが縮小(閉じる動き)を始めた時です。
計算式:標準偏差の算出
少し複雑ですが、標準偏差 は以下の式で求められます。
- 過去N日間の終値 と、その平均 の差(偏差)を求める。
- それぞれを2乗する(マイナスを消すため)。
- その合計をNで割る(分散)。
- 平方根(ルート)をとる(単位を合わせるため)。
エクセルなどでは STDEV.P 関数で一発で計算できます。
例えば、
- 20日移動平均:100.00円
- 標準偏差:0.50円 の場合、
- +1σバンド:100.50円
- +2σバンド:101.00円
- -1σバンド:99.50円
- -2σバンド:99.00円 となります。
もし価格が102円(+4σ相当)になれば、「異常なほどの急騰」と判断できます。
まとめ:順張りと逆張りの使い分け
ボリンジャーバンドは、相場の状況に合わせて使い分けるのが正解です。
- バンドが横ばい(レンジ相場) → ±2σタッチでの逆張りが有効。
- バンドが拡大中(トレンド発生) → ±2σブレイクでの順張りが有効。
「今がスクイーズなのか、エクスパンションなのか」を見極めることが、ボリンジャーバンド使いの第一歩です。 まずはチャートに表示させ、バンド幅の変化(ボラティリティの推移)を観察してみましょう。
ボリンジャーバンド判定ツール
現在のレートが±何σの位置にあるかを計算し、スクイーズ・エクスパンションの状態を判定します。