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不動産投資のキャッシュフローシミュレーション:表面利回りの罠

「利回り8%」の物件でも手残りがマイナスになる?不動産投資で失敗しないための、税引後キャッシュフロー(CF)計算方法。

更新日: 2026-02-27

不動産投資の営業マンから「利回り10%!毎月の家賃収入でローンを払ってもお釣りが来ます!」という言葉を聞いたことはありませんか? しかし、実際に物件を購入してみると、「固定資産税」「修繕費」「空室」「管理費」...次々と経費がかかり、手元に残るお金(キャッシュフロー)がほとんどない、あるいはマイナスになっているケースが後を絶ちません。

この記事では、投資判断を誤らせる「表面利回り」の嘘を暴き、本当に儲かるかどうかを見極めるための「税引後キャッシュフロー」の計算手順を解説します。

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利回りの種類を理解する

1. 表面利回り(グロス利回り)

最もよく使われる指標ですが、最もあてにならない数字です。 年間家賃収入 ÷ 物件価格 × 100 例:家賃100万円 ÷ 物件1000万円 = 10% 経費やローン返済を一切考慮していません。

2. 実質利回り(ネット利回り)

運営経費(管理費、修繕積立金、固定資産税など)を引いたもの。 (年間家賃収入 - 運営経費) ÷ (物件価格 + 購入諸費用) × 100 例:(100万円 - 20万円) ÷ (1000万円 + 100万円) = 7.2% これでもまだ「ローン返済」と「税金」が入っていません。

3. 税引後キャッシュフロー(CF)

最終的にあなたの銀行口座に残るお金です。これがプラスでなければ、投資の意味がありません。 家賃収入 - 運営経費 - ローン返済額 - 所得税・住民税

シミュレーション:表面利回り10%の真実

以下の条件で、実際のキャッシュフローを計算してみましょう。

  • 物件: 中古アパート 3,000万円
  • 家賃収入: 年間300万円(表面利回り10%)
  • ローン: 借入2,700万円(9割)、金利2.5%、期間25年
  • 空室率: 10%と仮定(現実は満室経営とは限らない)
  • 運営経費率: 家賃の20%

計算ステップ

  1. 実効総収入(EGI): 300万円 × 90%(空室考慮) = 270万円
  2. 運営経費(Opex): 300万円 × 20% = 60万円
  3. 純営業収益(NOI): 270万円 - 60万円 = 210万円
    • この時点ではまだ200万円以上残っています。
  4. 年間ローン返済額(ADS):
    • 月額約12.1万円 × 12ヶ月 = 約145万円
  5. 税引前キャッシュフロー(BTCF):
    • 210万円 - 145万円 = 65万円
    • 年間65万円の手残り。月5万円ちょっとです。悪くはないように見えますが...
  6. 税金(所得税・住民税):
    • 減価償却費などの計算が必要ですが、仮に利益の30%が税金だとすると...
    • 課税所得が100万円なら、約30万円の税金。
  7. 税引後キャッシュフロー(ATCF):
    • 65万円 - 30万円 = 35万円

結論: 表面利回り10%の物件でも、最終的な手残りは年間35万円(月3万円弱)まで減ってしまいました。 ここに「突発的な修繕(給湯器の故障など)」や「金利上昇(変動金利の場合)」のリスクが加わると、一気に赤字転落です。

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デッドクロス(黒字倒産)の恐怖

不動産投資には「デッドクロス」という恐ろしい現象があります。 これは、ローンの返済が進むにつれて「利息(経費になる)」が減り、「元金(経費にならない)」が増えること、そして「減価償却費(お金が出ていかない経費)」が期間満了でなくなることによって起こります。

その結果、**「帳簿上は黒字なので税金が高い」のに「ローン返済でお金がない」**という状態になります。これがデッドクロスです。 多くの投資家が、購入から10年〜15年後にこの罠にかかり、物件を手放すことになります。

長期シミュレーションをしていないと、この将来のリスクに気づけません。

まとめ:数字は嘘をつかない

「将来の年金代わりに」「節税になりますよ」といった甘い言葉に乗せられてはいけません。不動産投資は事業です。 どんぶり勘定ではなく、厳密なシミュレーションを行い、空室率や金利上昇などのストレスをかけても黒字が維持できる物件だけを購入対象にすべきです。

投資は感情ではなく、数字で判断しましょう。

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