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相続税はいくらからかかる?「3000万円+600万円×人数」の基礎控除と節税策

「うちは普通の家庭だから関係ない」は危険。不動産高騰で増える課税対象者、小規模宅地等の特例、生命保険の非課税枠、養子縁組による節税テクニックまで徹底解説。

更新日: 2026-02-27

相続税はいくらからかかる?「3000万円+600万円×人数」の基礎控除と節税策

「相続税なんて、一部のお金持ちだけの話でしょ?」 そう思っていませんか?

かつては確かにそうでしたが、2015年の税制改正で基礎控除額が大幅に引き下げられ、**「普通のサラリーマン家庭」**でも相続税の対象になるケースが急増しています。 特に都市部に持ち家がある場合、土地の評価額だけで基礎控除を超えてしまい、残された家族が納税資金に苦しむことがあります。

この記事では、

  • 相続税がかかるかどうかのボーダーライン(基礎控除)
  • 土地の評価額を8割減らす**「小規模宅地等の特例」**
  • 生命保険を使った非課税枠の活用術
  • **「養子縁組」**で法定相続人を増やして節税する方法
  • 借金がある場合の対処法(相続放棄・限定承認)

について、詳細に解説します。


✅ 結論:基礎控除を超えたら申告が必要

結論 相続財産の総額が**「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」**を超えた場合、相続税の申告と納税が必要です。 超えない場合は、申告すら不要です。

基礎控除額の早見表

法定相続人の数基礎控除額(非課税枠)
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円

【例:父が亡くなり、母と子供2人が相続する場合】 法定相続人は3人(母・子・子)です。 基礎控除額は 3,000万円 + 600万円 × 3 = 4,800万円 です。

父の遺産(自宅不動産+預貯金+株など)が4,800万円以下なら税金ゼロ。 これを超えると、超えた部分に対して相続税がかかります。


1. 相続財産に含まれるもの・含まれないもの

何が遺産に含まれるのか、正しく把握しましょう。 特に「見えない財産(名義預金など)」は見落としがちで、税務調査で指摘されるNo.1項目です。

⭕ 含まれるもの(課税対象)

  • 現金・預貯金
  • 不動産(土地・建物):固定資産税評価額や路線価で評価
  • 有価証券(株式・投資信託):死亡日の時価
  • 生命保険金・退職金:みなし相続財産(※非課税枠あり)
  • 借地権、著作権、ゴルフ会員権など
  • 死亡前3年〜7年以内の贈与財産(生前贈与加算)
  • 名義預金:妻や子供名義の口座でも、実質的に亡くなった人のお金なら課税対象
  • デジタル遺産:ネット銀行、仮想通貨、ポイントなど

❌ 含まれないもの(非課税)

  • 墓地・仏壇・祭具(祭祀財産)
  • 国や地方公共団体への寄付金
  • 生命保険金・退職金のうち非課税枠内の金額

2. 土地の評価額を80%減らす「小規模宅地等の特例」

日本の相続財産で最も大きな割合を占めるのが**「自宅の土地」**です。 しかし、自宅に住み続けたい家族にとって、土地の評価額そのままで課税されると、納税のために家を売らざるを得なくなります。

これを防ぐのが**「小規模宅地等の特例」**です。 一定の条件(配偶者や同居親族が相続するなど)を満たせば、自宅の土地(330㎡まで)の評価額を80%減額できます。

【例:土地の評価額が5,000万円の場合】

  • 特例なし:5,000万円として計算 → 基礎控除(4,800万円)を超えてしまう!
  • 特例あり:5,000万円 × 20% = 1,000万円 として計算 → 基礎控除内なので税金ゼロ!

この特例を使うためには、相続税の申告書を提出することが必須条件です(税金がゼロになる場合でも申告が必要)。 「特例を使えば税金ゼロだから申告しなくていいや」と放置すると、特例が使えなくなり、後で高額な税金がかかります。

土地の評価方法(路線価 vs 固定資産税評価額)

  • 路線価方式:市街地にある土地。道路ごとに値段が決まっており、「路線価 × 面積」で計算します。実勢価格(売買価格)の8割程度です。
  • 倍率方式:郊外など路線価がない地域。「固定資産税評価額 × 倍率」で計算します。

3. 生命保険の「500万円 × 人数」非課税枠

現金で残すより、生命保険で残した方が節税になります。 死亡保険金には、**「500万円 × 法定相続人の数」**という非課税枠があります。

【例:相続人3人の場合】

  • 預金1,500万円で残す → 全額が課税対象
  • 死亡保険金1,500万円で残す → 500万×3=1,500万円まで非課税 → 課税対象ゼロ

1,500万円の財産評価を圧縮できるため、基礎控除ギリギリの家庭では非常に有効な対策です。 また、保険金は受取人固有の財産となるため、遺産分割協議(誰が何をもらうかの話し合い)の対象外となり、確実に特定の子供にお金を渡せるメリットもあります。


4. 養子縁組で「法定相続人」を増やす裏ワザ

法定相続人が1人増えると、基礎控除が600万円増えます。 さらに、生命保険の非課税枠も500万円増えます。 合計で1,100万円の非課税枠を作ることができます。

この仕組みを利用して、**「孫を養子にする」**という節税策があります。

  • 実子がいる場合:養子は1人までカウント可能。
  • 実子がいない場合:養子は2人までカウント可能。

ただし、安易な養子縁組は家族間のトラブル(遺産分割での揉め事)の元になるため、慎重に行う必要があります。 また、明らかに税金逃れと判断されると、税務署に否認されるリスクもあります。


5. 借金があったら?「相続放棄」と「限定承認」

プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も相続されます。 もし借金の方が多い場合は、家庭裁判所で手続きをすることで回避できます。

① 単純承認(通常)

プラスもマイナスも全て引き継ぐ。手続き不要(3ヶ月経過で自動承認)。

② 相続放棄

初めから相続人でなかったことになる。借金はゼロになるが、預金や家も一切もらえない。 期限:相続開始を知った日から3ヶ月以内。

③ 限定承認

プラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産(借金)を引き継ぐ。 (例:預金1,000万、借金2,000万の場合、1,000万だけ返して終わり) 全員の同意が必要で手続きが複雑なため、あまり使われません。


まとめ:まずは財産目録を作ろう

相続対策の第一歩は、**「今いくら持っているか」**を把握することです。

  1. 不動産の固定資産税評価額を調べる(納税通知書を見る)。
  2. 預貯金・株の残高を合計する。
  3. 基礎控除額(3,000万+600万×人数)と比較する。

もし超えそうなら、生前贈与(年110万円非課税)や生命保険の加入を検討しましょう。 元気なうちに対策すれば、税金は確実に減らせます。

相続税の概算額をシミュレーション

遺産総額と相続人の人数を入力して、相続税がかかるかどうか、いくらかかるか計算してみましょう。