年収手取り計算のロジック・計算式を完全解説
給与所得控除、社会保険料、所得税、住民税の計算式を具体例付きで解説。自分の給与明細と照らし合わせて検算できるよう、計算プロセスをすべて公開します。
執筆:しぐ ・ 更新日: 2026-05-29
「シミュレーターの結果が実際の給与と合わない」「どの計算式が使われているか知りたい」
そんな方のために、当サイトの年収手取りシミュレーターで使っている計算ロジックをすべて公開します。年収600万円(独身・40歳未満)を軸に段階計算を示し、年収300万・500万・800万・1,000万の結果も並べて比較します。
手取り計算の全体像
手取りは以下の5ステップで算出されます。
① 額面年収 − 給与所得控除 = 給与所得
② 給与所得 − 各種所得控除(基礎控除・社会保険料控除等)= 課税所得
③ 課税所得 × 所得税率 − 税額控除 = 所得税
④ 課税所得(住民税用)× 10% + 均等割(約5,000円)= 住民税
⑤ 額面年収 − 社会保険料 − 所得税 − 住民税 = 手取り
ステップ1:給与所得控除の計算
給与所得控除は「会社員のみなし経費」として、年収から自動的に差し引かれる控除です。令和7年改正で最低保障額が65万円から74万円へ引き上げられ、2026年(令和8年分)以降の計算式は以下の通りです。なお令和8・9年分は時限措置として、年収220万円までは控除額が74万円を下回らないよう据え置かれます。
| 年収(額面) | 給与所得控除額 |
|---|---|
| 220万円以下 | 74万円(最低保障) |
| 220万〜360万円 | 年収 × 30% + 8万円 |
| 360万〜660万円 | 年収 × 20% + 44万円 |
| 660万〜850万円 | 年収 × 10% + 110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) |
各年収の給与所得控除額と給与所得:
| 年収 | 計算式 | 控除額 | 給与所得 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 300万×30%+8万 | 98万円 | 202万円 |
| 500万円 | 500万×20%+44万 | 144万円 | 356万円 |
| 600万円 | 600万×20%+44万 | 164万円 | 436万円 |
| 800万円 | 800万×10%+110万 | 190万円 | 610万円 |
| 1,000万円 | 上限適用 | 195万円 | 805万円 |
850万円超から控除は195万円で固定されます。年収が増えても控除が増えない(逓減する)ため、年収1,000万円以上では実効的な税負担率が上昇します。
ステップ2:社会保険料の計算
2-1. 標準報酬月額の決定
社会保険料(健康保険・厚生年金)は、実際の月給をそのまま使うのではなく、標準報酬月額(等級表に基づく固定値)を基に計算します。
標準報酬月額は月給(基本給+残業代+各種手当など)を約50の等級に区分したものです。
例:月給50万円(年収600万円)→ 標準報酬月額50万円
2-2. 各保険料率(令和8年度/2026・東京・協会けんぽ)
| 保険の種類 | 全体の保険料率 | 労使折半後の本人負担率 |
|---|---|---|
| 健康保険(40歳未満) | 9.85% | 4.925% |
| 健康保険(40〜64歳:介護含む) | 11.47% | 5.735% |
| 厚生年金保険 | 18.3% | 9.15% |
| 雇用保険(一般の事業) | 1.35% | 0.5% |
| 子ども・子育て支援金(令和8年度新設) | 0.23% | 0.115% |
40〜64歳(介護保険第2号被保険者)では介護保険料(令和8年度の率1.62%・本人約0.81%)が追加になります(上の「40〜64歳:介護含む」行に算入済みで、別途足すものではありません)。 子ども・子育て支援金は令和8年4月新設で、健康保険料に合算して徴収されます(本人負担0.115%)。
2-3. 厚生年金の上限
厚生年金の標準報酬月額には上限があります(65万円)。年収が高くても厚生年金の本人負担は月約5.9万円が上限です。健康保険は上限が高く(139万円/月)、一般的な年収帯では上限未達が多いです。
2-4. 各年収の社会保険料(概算・40歳未満)
シミュレーターは標準報酬月額テーブルを使いますが、概算では以下のように計算します。
| 年収 | 標準報酬(月額・概算) | 健康保険(年) | 厚生年金(年) | 雇用保険(年) | 社会保険料合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 25万円 | 約151,200円 | 約274,500円 | 約15,000円 | 約441,000円 |
| 500万円 | 42万円 | 約254,016円 | 約461,160円 | 約25,000円 | 約740,000円 |
| 600万円 | 50万円 | 約302,400円 | 約549,000円 | 約30,000円 | 約881,000円 |
| 800万円 | 67万円(厚年は65万で上限) | 約405,216円 | 約713,700円 | 約40,000円 | 約1,159,000円 |
| 1,000万円 | 83万円(厚年は65万で上限) | 約501,984円 | 約713,700円 | 約50,000円 | 約1,266,000円 |
※健康保険は実際の月給全額にかかる(上限まで)。厚生年金は65万円の上限等級で固定(合計には子ども・子育て拠出金等を含む)。
ステップ3:課税所得の計算
所得税の課税所得
課税所得(所得税)= 給与所得 − 基礎控除 − 社会保険料控除 − その他控除
令和8年分の所得税の基礎控除は合計所得(給与所得)に応じた段階制です(合計所得489万円以下104万円/489万円超655万円以下67万円/655万円超2,350万円以下62万円)。本則62万円に令和8・9年分の時限上乗せ(489万円以下は+42万円、489万円超655万円以下は+5万円)が加わった額です。旧来の一律48万円や、令和7年分の段階制(95/88/68/63/58万円)ではありません。
| 年収 | 給与所得 | 社会保険料控除 | 基礎控除 | 課税所得(所得税) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 202万円 | 44.1万円 | 104万円 | 約53.9万円 |
| 500万円 | 356万円 | 74.0万円 | 104万円 | 約178万円 |
| 600万円 | 436万円 | 88.1万円 | 104万円 | 約243.9万円 |
| 800万円 | 610万円 | 115.9万円 | 67万円 | 約427.1万円 |
| 1,000万円 | 805万円 | 126.6万円 | 62万円 | 約616.4万円 |
住民税の課税所得
住民税の基礎控除は令和8年改正後も43万円で据え置きです(所得税側だけ段階制で62〜104万円に引き上げられたため、所得税との差が拡大しています)。社会保険料控除は同額。
課税所得(住民税)= 給与所得 − 基礎控除(43万円)− 社会保険料控除
住民税の基礎控除は所得税より小さいため、住民税の課税所得は所得税の課税所得より大きくなります(基礎控除の差。年収帯によって差は十数万〜数十万円)。
ステップ4:所得税の計算
所得税は「超過累進課税」です。課税所得を税率区間に分けて各区間に税率を適用します。
| 課税所得 | 税率 | 税額控除額(速算控除) |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 195万〜330万円 | 10% | 9.75万円 |
| 330万〜695万円 | 20% | 42.75万円 |
| 695万〜900万円 | 23% | 63.6万円 |
| 900万〜1,800万円 | 33% | 153.6万円 |
| 1,800万〜4,000万円 | 40% | 279.6万円 |
| 4,000万円超 | 45% | 479.6万円 |
速算式(最も簡単な計算方法):
所得税 = 課税所得 × 税率 − 税額控除額
さらに、算出された所得税額に対して**復興特別所得税(2.1%)**が加算されます。
所得税(確定)= 所得税額 × 1.021
各年収の所得税計算:
| 年収 | 課税所得(所得税) | 計算式 | 復興税込み所得税 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約53.9万円 | 53.9万×5%=2.695万 | 約27,500円 |
| 500万円 | 約178万円 | 178万×5%=8.9万 | 約90,900円 |
| 600万円 | 約243.9万円 | 243.9万×10%−9.75万=14.64万 | 約149,500円 |
| 800万円 | 約427.1万円 | 427.1万×20%−42.75万=42.67万 | 約435,700円 |
| 1,000万円 | 約616.4万円 | 616.4万×20%−42.75万=80.53万 | 約822,200円 |
ステップ5:住民税の計算
住民税 = 課税所得(住民税)× 10% + 均等割・森林環境税(約5,000円)
住民税の均等割は自治体によって異なりますが、均等割4,000円+森林環境税1,000円=年5,000円が標準です(2023年度までの復興特別税1,000円が森林環境税に置き換わり総額は据え置き)。
調整控除(所得税との基礎控除の差2,500円を調整するもの)を考慮すると、実際の住民税は若干低くなることがあります。
各年収の住民税計算:
| 年収 | 課税所得(住民税) | 所得割 | 均等割 | 住民税合計 |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約115万円 | 約115,000円 | 5,000円 | 約120,000円 |
| 500万円 | 約239万円 | 約239,000円 | 5,000円 | 約244,000円 |
| 600万円 | 約305万円 | 約305,000円 | 5,000円 | 約310,000円 |
| 800万円 | 約451万円 | 約451,000円 | 5,000円 | 約456,000円 |
| 1,000万円 | 約635万円 | 約635,000円 | 5,000円 | 約640,000円 |
この計算ロジックを自分の年収で試す
ここまでの計算ステップを、あなたの年収・控除でまとめて自動計算できます。
最終計算:手取り額の確定
年収600万円(独身・40歳未満)の例:
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 額面年収 | 6,000,000円 |
| ▲ 社会保険料 | ▲881,000円 |
| ▲ 所得税(復興税込み) | ▲149,500円 |
| ▲ 住民税 | ▲310,000円 |
| 手取り年収 | 4,659,500円(約466万円) |
| 月額換算 | 約38.8万円 |
| 手取り率 | 約77.7% |
各年収の手取りまとめ:
| 年収 | 社会保険料 | 所得税 | 住民税 | 手取り | 手取り率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 約44.1万円 | 約2.8万円 | 約12.0万円 | 約241万円 | 80% |
| 500万円 | 約74.0万円 | 約9.1万円 | 約24.4万円 | 約393万円 | 78% |
| 600万円 | 約88.1万円 | 約14.9万円 | 約31.0万円 | 約466万円 | 78% |
| 800万円 | 約115.9万円 | 約43.6万円 | 約45.6万円 | 約595万円 | 74% |
| 1,000万円 | 約126.6万円 | 約82.2万円 | 約64.0万円 | 約727万円 | 73% |
ボーナスの計算ロジック
ボーナス(賞与)は月給の計算と異なるロジックが適用されます。
社会保険料(賞与分)
賞与に対しても健康保険・厚生年金・雇用保険がかかります。
賞与の社会保険料 = 賞与額(千円未満切り捨て)× 保険料率
ただし上限があります(厚生年金:1回の賞与につき150万円、健康保険:年間573万円)。
所得税(賞与分):源泉徴収税率
賞与の所得税は「前月の月給(賞与を除く)から導き出した賞与の源泉徴収税率表」に基づきます。
| 前月の社会保険料控除後の給与(扶養0人・令和8年分) | 賞与の金額に乗ずべき率 |
|---|---|
| 82,000円未満 | 0% |
| 82,000〜93,999円 | 2.042% |
| 94,000〜259,999円 | 4.084% |
| 260,000〜308,999円 | 6.126% |
| 309,000〜341,999円 | 8.168% |
| 342,000〜371,999円 | 10.210% |
| 372,000〜401,999円 | 12.252% |
| 402,000〜432,999円 | 14.294% |
| 433,000〜519,999円 | 16.336% |
| 520,000〜604,999円 | 18.378% |
| 605,000〜683,999円 | 20.420% |
賞与の源泉徴収率は、賞与額や倍率ではなく「前月の社会保険料控除後の給与の金額」と「扶養親族等の数」の組み合わせだけで決まります(国税庁『賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表』)。上の表は扶養0人の場合で、前月の給与水準が高いほど率も上がります。例えば前月給与30万円(扶養0人)なら6.126%が適用され、賞与の手取り率は約8割が目安です。
シミュレーターと給与明細の差異が出る理由
計算上の手取りと実際の給与明細に差が出る主な原因です。
| 差異の原因 | 説明 |
|---|---|
| 住民税の天引きタイミング | 住民税は6月〜翌年5月の年度課税のため、年度初めと末の給与で金額が変わる |
| 標準報酬月額の等級 | 4〜6月の平均月給で年1回見直される(9月〜翌年8月適用) |
| 年末調整 | 年の途中で源泉徴収した税が年末に精算されるため、12月の給与で調整額が加算・減額される |
| 会社独自の控除 | 財形貯蓄・組合費・積立金等が引かれる場合がある |
| 都道府県・健保組合の差 | 健康保険料率は協会けんぽの都道府県別料率か健保組合の独自料率かで異なる |
| 40歳以上の介護保険 | 40歳を超えると介護保険料が追加される(年収600万で約4.8万円/年) |
各種控除の追加計算
標準ケース以外の控除が加わった場合の計算です。
配偶者控除(所得税38万円・住民税33万円)
配偶者の合計所得が62万円以下(給与収入136万円以下が目安)の場合に、本人の合計所得900万円以下で所得税38万円・住民税33万円が控除されます(令和8年改正で要件が合計所得58万→62万=給与123万→136万に引き上げられました)。
| 年収 | 所得税軽減(限界税率) | 住民税軽減(10%) | 合計節税額 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 38万×5%=約1.9万円 | 33万×10%=3.3万円 | 約52,000円 |
| 500万円 | 38万×5%=約1.9万円 | 33万×10%=3.3万円 | 約52,000円 |
| 600万円 | 38万×10%=約3.8万円 | 33万×10%=3.3万円 | 約72,000円 |
| 800万円 | 38万×20%=約7.6万円※ | 33万×10%=3.3万円 | 約111,000円 |
※年収500万円帯は課税所得が178万円(所得税5%帯)で、配偶者控除を引いても5%帯のままのため、所得税の軽減は38万×5%です。800万円帯は課税所得が20%帯にあり、合計節税額はエンジン実測で約11.1万円です。
iDeCo(掛金全額所得控除)
掛金が課税所得から控除されます。上限は月23,000円(企業型DC非加入の会社員)。
年間掛金27.6万円の場合の節税額:
| 年収 | 所得税軽減(限界税率) | 住民税軽減 | 節税合計 |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 27.6万×5%=1.38万 | 27.6万×10%=2.76万 | 約41,400円 |
| 500万円 | 27.6万×5%=1.38万 | 27.6万×10%=2.76万 | 約41,400円 |
| 600万円 | 27.6万×10%=2.76万 | 27.6万×10%=2.76万 | 約55,200円 |
| 800万円 | 27.6万×20%=5.52万 | 27.6万×10%=2.76万 | 約82,800円 |
よくある疑問
Q. シミュレーターの結果が給与明細と数千円〜数万円違う
主な原因は標準報酬月額の等級差・住民税の月割り差・年末調整前後の差です。年間合計で照合すると差が小さくなります。
Q. 所得税は源泉徴収と確定申告でどう違う?
給与から毎月天引きされる所得税は「概算(源泉徴収)」です。年末調整で正確な金額に精算されます。控除の漏れがあれば確定申告で取り戻せます。
Q. 年収が同じでも手取りが人によって違う
扶養人数・住宅ローン控除・iDeCo・生命保険料控除・ふるさと納税などの控除が異なれば、課税所得が変わり税額も変わります。また健保組合の種類や都道府県によって健康保険料率が異なります。
Q. ボーナスが別支給の場合の年収計算は?
年収=月給×12+賞与総額で計算します。シミュレーターでは年収を入力して計算するため、ボーナスを含めた年収合計を入力してください。
まとめ
- 手取りは5ステップで計算:給与所得控除→課税所得→所得税・住民税→社会保険料を差し引く
- 給与所得控除は850万円で上限(195万円)に達し、高年収ほど実効税率が上がる
- 社会保険料は年収の約13〜15%が本人負担(厚生年金は標準報酬月額65万円で上限あり)
- 住民税は課税所得×10%(前年課税のため昇給は翌年度に影響)
- 年末調整で最終精算されるため、年間の手取りは12月時点で確定する
手取り計算シミュレーターで試算する
年収・扶養・各種控除を入力して、正確な手取り額と税負担の内訳を確認できます。
年収別の手取り(各年収の詳細記事)
各年収帯の手取り・控除の内訳はこちらで詳しく試算できます。
- 年収300万円の手取り
- 年収400万円の手取り
- 年収450万円の手取り
- 年収500万円の手取り
- 年収550万円の手取り
- 年収600万円の手取り
- 年収650万円の手取り
- 年収700万円の手取り
- 年収750万円の手取り
- 年収800万円の手取り
- 年収850万円の手取り
- 年収900万円の手取り
- 年収950万円の手取り
- 年収1000万円の手取り
- 年収1100万円の手取り
- 年収1200万円の手取り
- 年収1300万円の手取り
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