仮想通貨の税金はなぜ高い?「最大55%」の悪夢と抜け道なき雑所得
ビットコインで億り人になっても半分は税金?累進課税の恐怖、DeFi・ステーキング・NFTの課税タイミング、移動平均法と総平均法のシミュレーションまで徹底解説。
執筆:しぐ ・ 更新日: 2026-09-15
株式投資なら一律20.315%の分離課税ですが、2027年分までは暗号資産(仮想通貨)の利益が原則「雑所得」として給与所得などと合算する総合課税の対象になります。所得が大きくなるほど税率が上がり、住民税と合わせると最大55%になります。
さらに、現金化した時だけでなくコイン同士の交換・決済・報酬受取でも課税が発生します。DeFiやステーキング・NFTなど取引形態が複雑化しており、知らないうちに申告漏れが発生するリスクもあります。
この記事では、税率の仕組み・課税が発生するタイミング・計算方法の選択・節税の余地・申告実務までを整理します。
1. 仮想通貨が「雑所得」になる理由と株との違い
暗号資産の課税区分が「雑所得」である理由は、現行の所得税法で株式のような分離課税の特例がないためです。
| 比較項目 | 暗号資産(2027年分まで) | 国内株式 |
|---|---|---|
| 所得区分 | 雑所得(総合課税) | 譲渡所得(分離課税) |
| 税率 | 累進課税(最大55%) | 一律20.315% |
| 損益通算 | 雑所得内のみ | 上場株式等のグループ内(株式・株式投信・申告分離の配当等)で通算可能(FX・先物とは別グループで不可) |
| 損失の繰越 | 不可 | 3年間繰越可能 |
| NISA適用 | 不可 | 可能 |
⚠️表の「一律20.315%」は2047年分〔令和29年分〕までの率です。内訳の0.315%は所得税15%にかかる上乗せ2.1%で、この2.1%が2048年分(令和30年分)以後は防衛特別所得税1.0%だけになるためです(復興財確法9条1項/防衛特措法5条の5第1項・5条の9)。これは株式・FX・暗号資産のどれでも同じで、2028年以後に登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡へ適用される20.315%だけが期間限定なのではありません。
2027年分までは、暗号資産は損益通算の範囲が狭く、損失の繰越もできないため、同規模の利益でも株式より実質的な税負担が重くなります。なお、こうした分離課税の特例は現行制度では暗号資産にありませんが、令和8年度税制改正で「特定暗号資産」の申告分離課税化が決まり、2028年1月1日以後に行う譲渡から適用されます(詳細は後述のCalloutを参照)。
上の表の「譲渡所得(分離課税)」は国内株式の欄の話です。2028年1月1日以後は暗号資産の売却益も原則として譲渡所得に区分されますが(所得税法33条3項3号)、区分が譲渡所得になることと、分離課税になることは別です。分離課税(20.315%=2047年分〔令和29年分〕までの率・3年繰越)になるのは登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡で、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡以外は、区分が変わっても総合課税(最大55%)のままです。また分離課税になる部分でも、損益を通算できるのは特定暗号資産の譲渡どうしの間で、上場株式等の損益とは通算できません。
なお、暗号資産の譲渡所得には、一般の総合課税の譲渡所得にある50万円の特別控除も、5年超保有の2分の1課税も付かず、損失を給与など他の所得と通算することもできません(同法33条4項2号・5項、22条2項1号、69条2項)。営利を目的として継続的に行う譲渡による所得は、従来どおり事業所得または雑所得です(同法33条2項1号)。
2. 税率の仕組み:累進課税と最大55.945%
暗号資産の利益は他の所得と合算されて累進課税が適用されます。
| 課税所得(合計) | 所得税率 | 復興特別所得税 | 住民税 | 合計税率 | 控除額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0.105% | 10% | 15.105% | 0円 |
| 195万〜330万円 | 10% | 0.21% | 10% | 20.21% | 97,500円 |
| 330万〜695万円 | 20% | 0.42% | 10% | 30.42% | 427,500円 |
| 695万〜900万円 | 23% | 0.483% | 10% | 33.483% | 636,000円 |
| 900万〜1,800万円 | 33% | 0.693% | 10% | 43.693% | 1,536,000円 |
| 1,800万〜4,000万円 | 40% | 0.84% | 10% | 50.84% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 0.945% | 10% | 55.945% | 4,796,000円 |
※復興特別所得税は課税所得ではなく所得税額に対して2.1%かかるため、上乗せ幅は税率帯ごとに変わります(5%の帯なら0.105%、45%の帯なら0.945%)。2027年分(令和9年分)から2047年分(令和29年分)までは、この2.1%が復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1.0%に分かれます(令和8年法律第12号)。合計2.1%は変わらないので、上表の合計税率は2026年分・2027年分のどちらでも同じです(上乗せの合計2.1%自体は2047年分まで変わりません)。
給与所得との合算シミュレーション
| 給与年収 | 暗号資産利益 | 給与年収+利益(合算) | 暗号資産部分の実効税率 | 税額(概算) |
|---|---|---|---|---|
| 300万円 | 100万円 | 400万円 | 約15% | 約15万円 |
| 500万円 | 500万円 | 1,000万円 | 約29% | 約145万円 |
| 500万円 | 1,000万円 | 1,500万円 | 約35% | 約346万円 |
| 500万円 | 5,000万円 | 5,500万円 | 約49% | 約2,433万円 |
※税額は、暗号資産の利益を足したことで増える所得税(復興特別所得税を含む)と住民税の合計です。独身・扶養なし・賞与なし、社会保険料は給与分だけ(協会けんぽ東京・40歳未満)、令和8年分の控除で、当サイトの計算エンジンで試算しました。
暗号資産利益は給与所得の「上乗せ分」として課税されるため、利益の一部が高い税率帯にまたがります。さらに利益が大きいと、合計所得が489万円・655万円を超えるたびに所得税の基礎控除が104万円→67万円→62万円と縮む「崖」が重なり、税負担が一段と増えます(例:給与年収500万円〔給与所得356万円〕+暗号資産利益1,000万円なら、合計所得1,356万円で基礎控除は62万円。利益部分は所得税の10〜33%の帯に住民税10%が加わり、基礎控除の縮小も含めて実効では約35%=約346万円)。利益が大きいほど最高税率(合計55.945%)に近づきます。
3. 課税が発生する4つのタイミング
暗号資産の課税は「日本円に出金した時」ではなく「利益が確定した瞬間」に発生します。
タイミング1:法定通貨(円・ドル)への売却
1BTCを100万円で取得し、500万円で売却した場合:差額400万円が課税対象。
タイミング2:他の暗号資産との交換
1BTC(取得価額100万円)が500万円に値上がりした状態で、その1BTCを100ETH(500万円相当)と交換した場合:手元に現金は入っていないが、「1BTCを500万円で売却」とみなされ400万円の利益が確定し課税対象になります。
タイミング3:商品・サービスの購入(決済)
1BTC(取得価額100万円)が500万円の時に、500万円の商品をBTC決済で購入した場合:400万円の利益として課税対象になります。
タイミング4:マイニング・ステーキング・報酬の受取
報酬としてコインを受け取った時点での時価が「収入」になります。受取時価が取得価額となり、後日さらに値上がりしてから売却した場合は売却益が追加で課税されます。
4. DeFi・NFT・エアドロップの課税ルール
ステーキング・レンディング報酬
| 状況 | 課税タイミング | 課税方法 |
|---|---|---|
| 報酬を受け取った時 | 権利が確定した時点の時価 | 雑所得(収入として計上) |
| ロック期間中(引き出し不可) | 原則として課税されない | 引き出し可能になった時点で課税 |
| 売却時 | 受取時価と売却価格の差額 | 追加で雑所得に加算 |
DeFi(分散型金融)
| 行為 | 課税の有無 | 課税内容 |
|---|---|---|
| 流動性プール(LP)への預入 | 原則として課税なし | 所有権が移転していないため |
| ガバナンストークン等の報酬受取 | 課税あり | 受取時の時価が収入 |
| LP解除(引き出し)時 | 差額が確定 | トークン数量増減が損益として確定 |
NFT
| 取引の種類 | 所得区分 | 課税のタイミング |
|---|---|---|
| クリエイターの一次販売 | 雑所得または事業所得 | 販売完了時 |
| 投資目的の転売 | 雑所得(継続的な場合) | 売却時 |
| 個人的な創作物の単発販売 | 譲渡所得の可能性あり | 売却時 |
エアドロップ・ハードフォーク
| 種類 | 課税タイミング | 課税の内容 |
|---|---|---|
| エアドロップ(市場価値あり) | 受取時点 | 受取時の時価が雑所得 |
| エアドロップ(価値ゼロ) | 課税なし | 市場価値がない場合は0円 |
| ハードフォーク | 売却時まで課税なし | 分岐時点では経済的価値がないとみなす |
5. 計算方法:移動平均法と総平均法
取得価額の計算方法には2種類あり、利益額(税額)が変わります。原則は「総平均法」ですが、届出を出せば「移動平均法」を選択できます。
比較:同じ取引での計算例
取引履歴:1BTC(100万円)購入→1BTC(200万円)購入→1BTC(300万円)売却
総平均法:
- 平均取得単価:(100万+200万) ÷ 2 = 150万円
- 売却益:300万 − 150万 = 150万円
移動平均法(この例では同一結果):
- 平均取得単価:150万円
- 売却益:300万 − 150万 = 150万円
途中に売買が入る場合の差異
取引履歴:1BTC(100万円)購入→0.5BTC(120万円)売却→0.5BTC(200万円)購入→1BTC(300万円)売却
総平均法:
- 年間購入合計:1.5BTCで300万円(1BTCあたり200万円の平均)
- 売却①:120万 − (200万×0.5) = 20万円の利益
- 売却②:300万 − (200万×1.0) = 100万円の利益
- 年間合計利益:120万円
移動平均法:
- 購入①後:単価100万円
- 売却①:120万 − (100万×0.5) = 70万円の利益(残0.5BTC、単価100万円)
- 購入②後:(50万+200万)÷1BTC = 単価250万円
- 売却②:300万 − (250万×1.0) = 50万円の利益
- 年間合計利益:120万円
この例のように保有分を年内にすべて売り切る場合は、総平均法・移動平均法のどちらでも年間利益は同じ120万円になります。両者で差が出るのは、年末に一部を保有したまま持ち越す場合(在庫の評価額が変わるため)です。
6. 損益の特殊ルール:通算と繰越が制限される
株式投資と異なり、暗号資産には損益の救済措置が少ないです。
損益通算できる範囲
| 損益の種類 | 暗号資産の損失との通算 |
|---|---|
| 同じ年の暗号資産の利益・損失 | 相殺可能(2028年1月1日以後は同じ枠の中に限る) |
| 総合課税の雑所得(副業・海外FX等) | 2027年分までは相殺可能。2028年1月1日以後、暗号資産の売却損益が譲渡所得に区分される場合は不可 |
| 給与所得・事業所得 | 不可 |
| 国内株式の損益 | 不可 |
同じ「雑所得」区分同士であれば損益通算できます。2027年分までは暗号資産も副業収入(アフィリエイト等)も同じ雑所得なので、相殺することは可能です。2028年1月1日以後は、暗号資産の売却損益が譲渡所得に区分されると、副業などの雑所得とは相殺できなくなります(暗号資産の損失側は所得税法69条2項、副業などの雑所得の損失側は同法69条1項が列挙する損失に雑所得が入っていないためで、どちら向きにもできません)。
損失の翌年繰越
2027年分までは、暗号資産の損失を翌年に繰り越せません。今年1,000万円の損失が出ても、翌年1,000万円の利益には全額課税されます。2028年1月1日以後は、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡なら分離課税で3年間の繰越控除が使えます。
7. 個人でできる節税策
暗号資産で個人ができる節税の余地は限られています。
方法1:含み損コインの年内売却(損出し)
年内に含み損のあるコインを一度売却して、その年の利益と相殺します。売却後すぐ買い直せばポートフォリオを維持できますが、スプレッド(手数料)分の実損が出ます。2028年1月1日以後は、登録業者を通じた特定暗号資産の譲渡(申告分離課税)と、DEX・無登録の海外取引所での譲渡(総合課税)が別枠になるため、損出しは利益を出したのと同じ経路で行う必要があります(租税特別措置法38条の2第1項・2項2号)。
例: BTC利益500万円 + ETH含み損100万円がある場合
- ETHを年内に売却して100万円の損失を確定
- BTC利益500万円 − ETH損失100万円 = 課税対象400万円に圧縮
方法2:経費の計上
暗号資産投資・取引に直接関連する費用は経費として計上できます。
| 経費として認められやすいもの | 注意点 |
|---|---|
| セミナー・勉強費用 | 投資知識取得に直結する場合 |
| 専門書・情報サービス代 | 業務関連性が明確なもの |
| マイニング機器・PCの減価償却 | 仕事専用部分のみ |
| スマートフォン代の一部 | 家事按分(業務利用割合) |
| 会計ソフト・ツール代 | 暗号資産計算ツール等 |
家賃・光熱費の按分は否認リスクが高いため、専用スペースを確保した場合のみ慎重に計上します。
方法3:ふるさと納税の活用
課税所得が大きくなるほどふるさと納税の限度額が上がります。暗号資産で大きな利益が出た年は、通常より多くの寄付が可能です。実質2,000円負担で食品・旅行券等の返礼品を受け取れます。
方法4:iDeCoの活用
暗号資産利益の課税所得を下げるために、iDeCoの掛け金を増やすことで所得控除を増加させられます。ただし、iDeCoの上限は職業・勤務先によって異なります(会社員は企業年金がなければ月2.3万円、企業型DCや確定給付企業年金に加入していれば月2.0万円で、事業主の掛金等が月3.5万円を超えると2.0万円から減っていきます。自営業は月6.8万円が上限)。
8. 海外取引所の申告義務
Bybit・Binance等の海外取引所での利益も日本の税務申告が必要です。
「海外口座だからバレない」は正確ではありません。CRS(共通報告基準)という国際的な枠組みにより、多くの国の金融機関が口座情報を国税庁に報告する仕組みがあります。
| 無申告が発覚した場合の追加負担 | 金額・割合 |
|---|---|
| 無申告加算税 | 納税額の15〜30%(50万円まで15%・50万円超300万円まで20%・300万円超30%。故意の場合40%) |
| 重加算税 | 納税額の35〜40%(仮装・隠蔽があった場合) |
| 延滞税 | 法定納期限の翌日から2月以内は年2.8%、2月経過後は年9.1%(2026年) |
| 刑事罰(悪質な場合) | 5年以下の懲役または500万円以下の罰金 |
9. 確定申告の実務
必要な記録の種類
| 記録の種類 | 保存期間 | 具体的な内容 |
|---|---|---|
| 取引履歴(全取引所・ウォレット) | 7年 | 購入・売却・交換の日付・数量・価格 |
| 取引所の年間取引報告書 | 7年 | 各取引所からダウンロード |
| 受取報酬の記録 | 7年 | ステーキング・マイニング・エアドロップの日時と時価 |
| 経費の領収書 | 7年 | 計上した経費の証憑 |
計算ツールの活用
DeFi・複数取引所・NFTの取引が多い場合、手作業での計算は困難です。専用の計算ツールを使うことで申告作業を大幅に簡略化できます。
| ツール | 対応取引所・ウォレット | 月額目安 |
|---|---|---|
| Gtax | 主要国内外取引所・主要ウォレット | 有料(取引数により変動) |
| Cryptact | 主要国内外取引所 | 有料(プランによる) |
| コインタックス | 国内主要取引所中心 | 有料 |
ツールは取引所のCSVデータを読み込んで自動計算するため、移動平均法・総平均法どちらでも一括処理が可能です。
10. よくある質問
Q. ハードウェアウォレットに移すだけで税金はかかりますか?
同一人の管理の下でのウォレット間移動(売買を伴わない)は課税イベントではありません。
Q. 仮想通貨を家族に贈与するとどうなりますか?
贈与を受けた側に贈与税が発生します。贈与した時点の時価で計算します。また贈与した人側では、贈与時点での時価と取得価額の差額が利益として確定し、雑所得として課税されます。
Q. 法人化すると税金は安くなりますか?
資本金1億円以下の中小法人なら、法人税・地方税を合わせた実効税率は約21〜34%(標準税率。所得800万円を超える部分で約34%)で、個人の最大55%(所得税45%+住民税10%。所得税額への2.1%の上乗せを含めると55.945%)より低くなります。一方で、法人が事業年度の終わりに持っている暗号資産のうち、活発な市場がある暗号資産は、原則として期末の時価で評価され、売っていない含み益にも法人税がかかります(法人税法61条2項。譲渡制限などの条件が付いた一定の暗号資産は除きます)。ただし2026年4月1日以後に始まる事業年度から、法人税額が年500万円を超える部分(所得がおよそ2,400万円を超える部分)には防衛特別法人税(4%)も加わります。法人化で得をするかどうかは、税率だけでなく法人の維持コスト(年間数十万円)や役員報酬・社会保険料で決まり、分かれ目は所得や前提によって変わります。前提を置いて個人と法人の手元に残る額を比べた試算は、資産管理会社(マイクロ法人)はいくらから得?にまとめています(事業所得の例で、暗号資産の利益にそのまま当てはまるわけではありません)。
Q. 損失が出た年も申告は必要ですか?
損益通算で所得が減る場合は申告することで還付が受けられます。また雑所得の損失は他の雑所得と通算できるため、副業利益がある場合は申告することで節税になります。
まとめ
- 2027年分までは、暗号資産の利益は雑所得の総合課税で、住民税と合わせると最大55%の税率
- 課税タイミングは「現金化」だけでなく、コイン交換・決済・報酬受取も含む
- コイン交換での課税が最大の落とし穴で、納税資金の確保が重要
- 移動平均法と総平均法で税額が変わるため、投資スタイルに合わせた選択が必要
- 個人で使える節税策は限られているが、損出し・経費計上・ふるさと納税・iDeCoが有効
- 海外取引所も申告義務がある。CRSで口座情報は税務当局に報告される
- DeFi・NFT・ステーキングの取引が多い場合は計算ツールの活用を検討する
- 令和8年度税制改正で「特定暗号資産」の申告分離課税20.315%(2047年分〔令和29年分〕までの率)・損失3年繰越が決定(2028年1月1日以後に行う譲渡から適用。給与など他の所得との損益通算は不可)。ただし2026年分・2027年分は引き続き総合課税(最大55%)が適用される
給与側の限界税率を確認する
このツールは給与収入向けで、仮想通貨の利益を入力する欄はありません。ただし雑所得は給与と合算して累進課税されるため、年収を入れて出る「限界税率(税+住民税+復興税)」に利益額を掛ければ、増える税額の目安を自分で出せます(利益が加わって上の税率帯に乗る場合は、超えた分だけ税率が上がります)。
この記事の根拠(出典)
本記事の所得区分・税率・計算方法・申告実務・改正内容は、以下の一次情報(2026年8月時点)で確認しています。2028年1月1日から適用される規定は、e-Gov法令検索の「2028年1月1日施行」版の条文を直接参照しています(現行版にはまだ載っていないため)。
- 暗号資産の利益が「その他雑所得」に区分され総合課税になること、現金化していない交換・決済でも課税されること:国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」(令和7年12月)(1-1 売却/1-2 商品購入/1-3 暗号資産同士の交換/1-7 マイニング等/2-2 所得区分)
- 証拠金取引に申告分離課税の適用がないこと、取得価額は総平均法が原則で移動平均法は届出制(変更には承認が必要で、原則3年は変えられない)であること、個人へ贈与した側にも贈与時の時価を総収入金額に算入する形で課税されること(相続人への死因贈与・包括遺贈等は除く)、相続・贈与で取得した暗号資産の取り扱い:同FAQ(2-4〜2-6 譲渡原価・評価方法の届出/2-10 低額(無償)譲渡等〔末尾の「なお」書き。根拠条文は所得税法40条〕/2-12 暗号資産の証拠金取引/4-1 相続や贈与により取得した場合)
- 所得税の速算表(税率と控除額):国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 所得税額(基準所得税額)に対する2.1%の上乗せが全ての税率帯に加算されること、2026年分は復興特別所得税2.1%・2027年分(令和9年分)から2047年分(令和29年分)までは復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1.0%で合計2.1%が変わらないこと:e-Gov法令検索「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(2027年1月1日施行版)(第13条「基準所得税額に百分の一・一の税率を乗じて計算した金額」、第9条第1項「平成二十五年から令和二十九年までの各年分」)/e-Gov法令検索「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」(2027年1月1日施行版)(第5条の9「基準所得税額に百分の一の税率」、第5条の5第1項「令和九年分以後の各年分…当分の間」、第5条の6が基準所得税額を復興財確法10条と同じ文言で定義)。適用年分は令和8年法律第12号 附則第88条第1項「令和九年分以後の所得税について適用し、令和八年分以前の所得税については、なお従前の例による」、施行日は同附則第1条第5号ニ・ホが「令和九年一月一日」と定めています。⚠️国税庁「No.2260」は令和7年4月1日現在の法令等にもとづくため、この改正は反映されていません
- 国内株式の譲渡益が申告分離課税20%(所得税15%+住民税5%。これに復興特別所得税が加わって20.315%になります)で、譲渡損失を3年間繰り越せること(暗号資産との対比):国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」/国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
- 雑所得の損失を給与所得・事業所得などと相殺できないこと:国税庁「No.2250 損益通算」(上記FAQ 2-11も同じ内容)
- その損失を翌年に繰り越せないこと:e-Gov法令検索「所得税法」(第69条第1項が損益通算の対象を不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の損失に限り、第2条第1項第25号が「純損失の金額」をその第69条第1項の損失のうち控除しきれない部分と定め、繰越控除〔第70条第1項〕の対象を純損失に限っているため、雑所得の損失は繰越の対象になりません)
- iDeCoの拠出限度額(自営業は月6.8万円、会社員は企業年金がなければ月2.3万円・企業型DCや他制度に加入していれば月2.0万円で、事業主掛金等が月3.5万円を超えると逓減):e-Gov法令検索「確定拠出年金法施行令」(第36条第1号〜第5号)
- 無申告加算税・延滞税の割合:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」/国税庁「No.9205 延滞税について」
- 海外口座の情報が共通報告基準(CRS)で国税庁に共有されること:国税庁「共通報告基準(CRS)に基づく自動的情報交換」
- 総合課税の譲渡所得に本来ある50万円の特別控除と5年超保有の2分の1課税(暗号資産にはこれが付かないことの対比):国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」
- 2028年1月1日以後の譲渡について、特定暗号資産が申告分離課税になること(そのうち所得税分は15%)と損失の3年繰越、対象が登録を受けた暗号資産取引業者を通じた譲渡に限られること:e-Gov法令検索「租税特別措置法」(2028年1月1日施行版)(第38条の2第1項「百分の十五」、第38条の3)
- 合計20.315%(2047年分〔令和29年分〕までの率)のうち住民税分5%(道府県民税2%+市町村民税3%。指定都市は1%+4%で合計は同じ)と、住民税側の損失の3年繰越:e-Gov法令検索「地方税法」(2029年1月1日施行版)(本則ではなく附則第35条の3の6・第35条の3の7)。残る0.315%は所得税額への2.1%の上乗せで、所得税15%×2.1%=0.315%です(この上乗せ2.1%は2047年分〔令和29年分〕まで。2028年分の内訳は復興特別所得税0.165%+防衛特別所得税0.15%)
- 2028年1月1日以後は売却益が譲渡所得に区分されること、50万円の特別控除・2分の1課税・他の所得との損益通算が使えないこと、副業などの雑所得とも相殺できなくなること:e-Gov法令検索「所得税法」(2028年1月1日施行版)(第33条第2項第1号・第3項第3号・第4項第2号・第5項、第22条第2項第1号、第69条第1項・第2項)
「2028年1月1日」という日付は、単一の条文や告示に書かれているものではありません。次の4段をたどって決まります。
- 分離課税の規定は「附則第一条第十号に定める日以後に行う…譲渡」から適用されます(e-Gov法令検索「租税特別措置法」(2028年1月1日施行版) 附則第39条第1項)。
- その第10号の日は「次号に掲げる規定の施行の日の属する年の翌年の一月一日」です(同 附則第1条第10号)。ここから、開始日が必ず1月1日になることが決まります。
- その「次号」=第11号の日は「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律…の施行の日」です(e-Gov法令検索「所得税法」(2028年1月1日施行版) 附則第1条第11号。条文では法律番号が空欄のまま置かれていますが、この改正法が令和8年法律第64号です。同じ改正法の附則ですが、租税特別措置法側では号の本文が省略されているため、こちらで読めます)。
- その令和8年法律第64号は、附則第1条本文で「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」から施行すると定め、同条第4号で第一条の規定(一部を除く)の施行日を「令和九年四月一日」と定めています(e-Gov法令検索「金融商品取引法」 附則〔令和8年7月23日法律第64号〕第1条)。暗号資産を金融商品取引法へ移すのは第二条で、これは第一条が新設する規定を書き換える構造のため、政令が定められる日は2027年4月1日から2027年7月22日までに収まります。したがって施行年は2027年で動かず、その翌年の1月1日=2028年1月1日になります。
施行日を定める政令は2026年8月時点で未公布です。同じ改正法のうち「20日後施行」の部分が2026年8月12日から施行されたこと(=公布日が2026年7月23日で、政令の期限が2027年7月22日になること)は金融庁「令和8年金融商品取引法等改正(20日後施行)に係る政令の公布について」で確認できます。ただしこの公表資料は罰則規定の施行に関するもので、暗号資産や税制には触れていません。
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