【2026年版】住宅ローン控除の借入限度額と「省エネ基準」の罠

「その他の住宅」は控除ゼロ!?借入限度額の引き下げ、リフォーム減税との違い、転勤や賃貸に出した場合のルールまで最新情報を完全解説。

住宅ローン控除は、年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税・住民税から直接差し引かれる強力な減税制度です。4,000万円借入なら年間最大28万円、13年間で最大約364万円(残高が借入限度額のまま続いた場合の理論上限。実際は残高逓減でこれより少ない)の節税効果があります。

ただし2024・2025年入居分からルールが大きく変わり、省エネ基準を満たさない新築住宅は控除が一切受けられません。また借入限度額の縮小、子育て世帯の特例継続など、変更点が多いため、購入前の確認が重要です。

この記事では、借入限度額と控除期間の一覧、省エネ基準の確認方法、ペアローンの活用とリスク、リフォーム減税との比較、転勤・賃貸時の注意点を整理します。


1. 2024・2025年の主な変更点

2024年以降の住宅ローン控除の主な変更点は次の3点です。

変更内容内容
省エネ基準の必須化2024年以降に建築確認を受けた新築住宅は、省エネ基準適合でないと控除対象外(控除額ゼロ)
借入限度額の縮小全体的に上限額が2023年以前より引き下げられた
子育て・若者夫婦世帯の特例継続19歳未満の子がいる世帯、または夫婦どちらかが40歳未満の世帯は2024年の高い限度額が維持される(2025年・2026年以降も同水準で継続)

2. 住宅の性能区分と借入限度額一覧

新築住宅・買取再販住宅(2024・2025年入居)

住宅の性能区分借入限度額(一般)借入限度額(子育て・若者夫婦)控除期間年間最大控除額(一般)
長期優良住宅・低炭素住宅4,500万円5,000万円13年間31.5万円
ZEH水準省エネ住宅3,500万円4,500万円13年間24.5万円
省エネ基準適合住宅3,000万円4,000万円13年間21万円
その他の住宅(省エネなし)0円(控除なし)0円(控除なし)0円

「その他の住宅」は2023年末までに建築確認を受けた場合のみ2,000万円(期間10年)の経過措置があります。

中古住宅(既存住宅・2024〜2025年入居分)

住宅の性能区分借入限度額控除期間年間最大控除額
長期優良・低炭素・ZEH・省エネ基準適合3,000万円10年間21万円
その他の住宅2,000万円10年間14万円

中古住宅の「その他の住宅」区分でも2,000万円の控除枠は残ります。ただし耐震基準を満たさない物件は対象外です。1981年6月以前の旧耐震基準物件は、耐震基準適合証明書の取得が別途必要です。

2026年(令和8年)入居からの改正点

令和8年度税制改正で適用期限が5年延長され、2026年1月1日〜2030年12月31日入居分まで対象になりました。あわせて次の見直しが行われています(国土交通省・令和8年度税制改正大綱)。

改正項目内容
中古(既存)住宅の拡充認定長期優良・低炭素・ZEH水準の中古住宅は借入限度額が3,000万円→3,500万円(子育て・若者夫婦世帯は4,500万円)、省エネ基準適合の中古住宅は2,000万円(同3,000万円)に。これら省エネ性能が高い中古住宅は控除期間が10年→13年に拡充。「その他の住宅」は従来どおり2,000万円・10年
床面積要件の緩和40㎡以上の特例が既存住宅にも拡大(合計所得1,000万円超の人、および子育て世帯等の上乗せ措置利用者は50㎡以上)
省エネ基準適合住宅(新築・一般世帯)の縮小借入限度額が段階的に引き下げられ、2028年以降の新築は経過措置を除き原則対象外となる方向

子育て・若者夫婦世帯の新築の上乗せ(長期優良5,000・ZEH4,500・省エネ4,000万円)と、控除率0.7%・合計所得2,000万円以下の要件は2026年以降も維持されます。


3. 住宅性能区分の具体的な判定基準

「どの性能区分に当てはまるか」は証明書で確認します。

性能区分主な認定基準確認書類
長期優良住宅耐震等級2以上・断熱等級5以上・維持管理対策等長期優良住宅認定通知書
低炭素住宅省エネ基準比で一次エネルギー消費量▲10%以上等低炭素建築物新築等計画認定通知書
ZEH水準省エネ住宅断熱等性能等級5以上+一次エネルギー消費量等級6ZEH水準省エネ基準適合証明書
省エネ基準適合住宅断熱等性能等級4以上+一次エネルギー消費量等級4以上省エネ基準適合証明書

住宅会社やハウスメーカーから証明書を受け取る必要があります。証明書の発行費用が別途かかる場合(数万円〜十数万円)があるため、見積もり段階で確認してください。


4. 控除額の計算方法

計算式

年間控除額 = 年末ローン残高(借入限度額が上限)× 0.7%

借入額別の年間控除額シミュレーション

年末ローン残高年間控除額13年間の最大総額(理論上限)
2,000万円14万円約182万円
3,000万円21万円約273万円
4,000万円28万円約364万円
4,500万円(上限)31.5万円約409.5万円

「13年間の最大総額」は年末残高が借入限度額のまま13年間続いたと仮定した場合の理論上限です。実際には毎年の元本返済で残高が減るため、総額はこれより少なくなります。

所得税だけでは控除しきれない場合

年間控除額が所得税を超える場合、差額を翌年の住民税から控除できます。住民税からの控除上限は「所得税の課税総所得金額等×5%」で、最大9.75万円です(課税所得が低い年収帯では9.75万円より小さくなります)。

年収所得税の目安住民税からの控除上限控除額28万円のうち活用できる額
400万円約5.8万円約5.7万円約11.5万円(差額の約16.5万円は消滅)
500万円約9.1万円約8.9万円約18.0万円(差額の約10万円は消滅)
600万円約14.9万円9.75万円(上限)約24.7万円(差額の約3.3万円は消滅)
800万円約43.6万円9.75万円(上限)28万円全額(所得税の範囲内で控除)

※所得税・住民税は令和8年分(2026年)の単身・社会保険料控除のみを前提とした概算です。年収が低い場合、控除枠の一部が使い切れず無駄になる「捨て枠」が発生することがあります。


5. 所得要件と共通適用条件

住宅ローン控除には収入上限があります。

条件内容
合計所得金額2,000万円以下(超えた年は適用外。2022年以降入居分)
専有部分の床面積40平方メートル以上(合計所得1,000万円超の人、および子育て世帯等の上乗せ措置利用者は50平方メートル以上)
居住の継続取得後6ヶ月以内に入居し、以後毎年12月31日時点で居住
ローン期間10年以上の住宅ローン(親子間ローンは対象外)
生計を一にする者からの購入親や配偶者からの購入は対象外

住宅ローン控除と手取りを試算する

年収と借入額を入力して、所得税・住民税の負担と控除の効果を確認できます。


6. ペアローンで控除枠を2倍にする方法

借入額が1人の限度額を超える場合(5,000万円以上など)、夫婦でそれぞれローンを組む「ペアローン」で控除枠を2人分に増やせます。

項目ペアローン(夫婦各4,500万円)単独ローン(夫のみ4,500万円)
年間最大控除額合計63万円(31.5万円×2)31.5万円
13年間の最大総額(理論上限)約819万円約409.5万円
借入可能額世帯年収で審査(高め)本人年収のみ(低め)
団信の適用それぞれの持ち分が保障1人のみ

ペアローンのリスクと注意点

リスク具体的な内容
事務手数料が2倍契約が2本になるため、手数料・保証料が2人分かかる
育休・産休中の控除ロス育児休業給付金は非課税のため、育休中は引く税金がなく控除が無効になる
退職・収入減の影響妻が退職すると妻側の控除枠が全て無効になる
離婚時の複雑化物件の売却・名義変更に両方の同意が必要

7. 長期優良住宅の認定コストとトータル効果

最大の控除額(借入限度額4,500万円)を受けるために必要な長期優良住宅の認定には費用がかかります。

費用項目目安
申請手数料数万円(自治体による)
ハウスメーカーへの代行費用10〜30万円程度
断熱・耐震基準のための建築費増数十〜数百万円(仕様による)

ただし住宅ローン控除以外の優遇も多く、トータルコストと比較する必要があります。

長期優良住宅の優遇内容
住宅ローン控除借入限度額4,500万円(省エネ基準適合より1,500万円多い)
登録免許税の軽減保存登記0.4%→0.1%、移転登記2%→0.1%
不動産取得税の軽減控除額が1,200万円→1,300万円に拡大
固定資産税の減税期間延長一般住宅の新築減税(3年)→長期優良住宅(5年)
地震保険料の割引耐震等級2:30%割引、耐震等級3:50%割引

長期優良住宅の認定コスト(仮に100万円)と比較して、住宅ローン控除の差額だけでも13年間で最大約136.5万円(4,500万円と3,000万円の借入限度額差1,500万円×0.7%×13年。実際は残高逓減でこれより少ない)になります。


8. リフォーム減税との比較

新築・中古購入だけでなく、リフォームでも住宅ローン控除が使えるケースがあります。

リフォームで住宅ローン控除を使う条件

条件内容
工事費100万円以上
ローン期間10年以上
工事内容大規模修繕・耐震改修・バリアフリー改修・省エネ改修など
床面積50平方メートル以上

ローンなしリフォームには「投資型減税」

ローンを組まずキャッシュで払う場合は「リフォーム促進税制(投資型減税)」が使えます。

制度控除方法控除率控除対象
住宅ローン控除(リフォーム版)年末残高×0.7%0.7%ローン残高
リフォーム促進税制(投資型)標準工事費用×10%10%標準的な工事費用

控除率だけ見ると投資型減税の10%が高く見えますが、対象は「標準的な費用」として国が定めた金額であり、実際の工事費とは異なります。ローン残高が多い場合は住宅ローン控除、一括払いの場合は投資型減税が有利になるケースが多いです。


9. 初年度の確定申告手順

入居した翌年の確定申告(2〜3月)が必須です。会社員でも初年度は自分で申告する必要があります。

必要書類一覧

書類入手先備考
確定申告書国税庁のウェブサイト・税務署e-Taxなら画面上で作成
住宅借入金等特別控除額の計算明細書国税庁のウェブサイト
登記事項証明書(土地・建物)法務局(窓口・オンライン)登記後に取得
不動産売買契約書のコピー手元に保管土地・建物両方
住宅ローンの年末残高証明書銀行から郵送(10〜11月頃)入居翌年以降毎年届く
省エネ基準適合証明書・認定通知書住宅会社・ハウスメーカー性能区分ごとに異なる書類
源泉徴収票勤務先
給与所得等に係る住民税の申告書の住宅ローン特別控除確定申告書に含まれる

10. 転勤・賃貸・売却時のルール

転勤・引越し時の取り扱い

状況控除の扱い
単身赴任(家族は住み続ける)生計を一にする家族が住んでいれば控除継続
家族全員で転居(空き家になる)住んでいない期間は控除不可。戻れば再開可(残り期間)
転勤先で新たに住宅取得旧住宅と新住宅の双方で条件を満たせば適用可能な場合がある

賃貸に出す場合

賃貸に出すと控除は受けられません。また、住宅ローンの融資条件(居住用)に違反する可能性があるため、賃貸を検討する場合は銀行への相談が必要です。賃貸に出した物件を自宅に戻した場合、残り期間の控除再開ができる場合がありますが、要件確認が必要です。


11. よくある質問

Q. 省エネ基準の証明書はいつもらえますか?

引き渡し時に住宅会社から受け取るのが一般的です。忘れずに受け取ること、および証明書の種類が自分の住宅の性能区分と一致しているかを確認してください。

Q. 建売住宅は省エネ基準に適合していますか?

建売でも申請していない物件があります。契約前に「省エネ基準適合証明書が出るか、何の証明書が発行されるか」を確認してください。

Q. 年末残高が借入限度額を超えた場合は?

控除計算の基礎となる残高は借入限度額が上限です。例えば年末残高5,000万円でも長期優良住宅の限度額4,500万円が上限となり、4,500万円×0.7%=31.5万円が年間控除額になります。

Q. 土地だけ先に購入し、後で建物を建てる場合は?

土地取得から2年以内に住宅を取得することが条件のため、土地購入のローンは控除の対象外です。建物完成後の住宅ローンが対象です。

Q. 2棟目(2軒目)の住宅は対象になりますか?

実際に居住する主たる住宅のみが対象です。別荘・投資用物件・2軒目は対象外です。

Q. 繰り上げ返済でローン残高が大幅に減った場合は?

年末残高が下がった分だけ控除額も下がります。控除期間中に大きな繰り上げ返済をすると節税効果が減少します。


まとめ

  • 2024年以降建築確認の新築は省エネ基準非適合だと控除ゼロ(「その他の住宅」区分)
  • 長期優良住宅は借入限度額4,500万円・13年間で最大約409.5万円(理論上限。実際は残高逓減でこれより少ない)の控除
  • 合計所得2,000万円超の年は控除が受けられない(毎年確認が必要)
  • ペアローンで控除枠は2倍になるが、育休・退職・離婚リスクを事前に検討する
  • 控除期間中の繰り上げ返済は節税効果を下げるため、13年後に検討する方が合理的
  • 初年度は確定申告が必須、2年目以降は年末調整だけで完了

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