年収の壁は令和8年でこう動いた|103万・130万・150万の壁を改正前と比較【図解】
令和8年(2026年)の税制改正で「年収の壁」がどう変わったかを改正前と一覧比較。所得税は103万→178万、配偶者控除は103万→136万に。動かない社会保険(130万)の壁との違いも図と表で整理します。
執筆:しぐ ・ 更新日: 2026-09-30
「年収の壁」は令和8年(2026年)の税制改正で大きく動きました。特に本人に所得税がかかり始める壁は103万円から178万円へと大きく上がり、配偶者控除・配偶者特別控除の壁もそれぞれ右にずれています。一方で、社会保険の130万円の壁は健康保険の取扱いで決まるため、税制改正そのものでは動きません(配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)だけは、令和7年度税制改正に合わせて健康保険の取扱いが変わり、令和7年10月から150万円になりました)。
この記事では、改正前(令和6年以前)と令和8年分を一覧で比較し、どの壁がどこへ動いたかを図と表で整理します。
1. 「年収の壁」には2種類ある
年収の壁は、性質の違う2つのグループに分かれます。この区別を押さえると混乱しません。
- 税の壁(所得税・住民税・配偶者控除など)=税制改正で動く。令和8年分で軒並み右にずれた。
- 社保の壁(106万円・130万円)=健康保険・年金の制度で、税制改正そのものでは動かない(106万円の壁は税制改正ではなく年金制度改正で2026年10月1日から撤廃=第4章。配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)の扶養の基準だけは、令和7年度税制改正に合わせて健康保険の取扱いが変わった=第4章)。
まずは、動いた「税の壁」から見ていきます。
2. 図で見る:税の壁は令和8で「右」に動いた
改正前(令和6年以前)と令和8年分を、給与年収ベースで比べたものです。給与所得控除や基礎控除が引き上げられたことで、税の壁はいずれも高い方へ移動しました(どの控除が効くかは壁ごとに違います。たとえば住民税の壁は住民税の基礎控除が据え置きのため、給与所得控除の引き上げだけで動いています)。比較のため、税制改正では動かない社会保険の「130万円の壁」も一番下に入れています(改正前と令和8で同じ長さ=据え置き。配偶者以外の19〜22歳の例外は第4章)。
伸びが大きいのが「本人に所得税がかかる壁」で、103万円から178万円へと75万円も上がりました。一番下の「130万円の壁」は改正前と令和8で同じ長さ=130万円という社会保険の基準は税制改正では動かないことを表しています(配偶者以外の19〜22歳の例外は第4章)。
3. 税の壁:改正前 → 令和8 → 令和10 早見比較
図の数値を表でも示します。令和7年分(2025年)は2段階改正の途中の値です。
| 壁(給与年収ベース・単身/給与のみ) | 種別 | 改正前(令和6以前) | 令和7年分 | 令和8・9年分 | 令和10年分(見込み) |
|---|---|---|---|---|---|
| 住民税がかかり始める | 税 | 100万円 | 110万円 | 119万円 | 114万円 |
| 本人に所得税がかかり始める | 税 | 103万円 | 160万円 | 178万円 | 168万円 |
| 配偶者控除が満額(配偶者の年収) | 税 | 103万円 | 123万円 | 136万円 | 131万円 |
| 配偶者特別控除が満額(配偶者の年収・所得税) | 税 | 150万円 | 160万円 | 169万円 | 164万円 |
| 同上(配偶者の年収・住民税) | 税 | 155万円 | 165万円 | 174万円 | 169万円 |
| 配偶者特別控除が消える(配偶者の年収) | 税 | 約201万円 | 約201万円 | 約207万円 | 202万円 |
| 社保に加入(106万の壁) | 社保 | 106万円 | 106万円 | 2026年9月30日までは106万円。2026年10月1日に賃金要件を撤廃(同日からは年収でなく、原則として週20時間以上などで加入) | 撤廃済み(週20時間以上などで加入) |
| 被扶養から外れる(130万の壁)※ | 社保 | 130万円 | 130万円 | 130万円(不変) | 税制改正では動かない |
※表の130万円は原則の基準です。60歳以上・障害者は180万円、配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)は150万円で、この年収以上になる見込みだと扶養から外れます(150万円は令和7年10月1日からで、それより前から扶養に入っている人も同日以降は150万円で判定されます)。ここでの障害者は、おおむね障害厚生年金の受給要件に当たる程度の障害がある人です。19〜22歳でこれに当たる人は、厚生労働省の通知が150万円に置き換える対象を「130万円未満」の基準に限っているので180万円未満のままと読めます。ただし同省のQ&Aは19〜22歳の基準を150万円未満とだけ書き、障害者には触れていないため、加入している健康保険に確認してください。また、令和8年4月1日以降に扶養に入る人で収入が給与だけの場合は、労働条件通知書などに書かれた賃金(諸手当や賞与を含む)から見込まれる年間収入で判定する取扱いもあり、従来の判定方法では基準を超える人でも、労働契約の段階で基準を下回っていれば扶養に認定される可能性があります(第4章)。それより前から扶養に入っている人の毎年の確認でこの取扱いが使えるかは、加入している健康保険(保険者)に確認してください。
税の壁(上6つ)は令和8で右に動きましたが、社会保険の壁(106万・130万)は税制改正そのものでは動きません(106万円の壁は、税制改正とは別の年金制度改正で2026年10月1日から撤廃)。配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)の例外を含め、詳細は下の第4章で解説します。
配偶者特別控除の「満額」の壁だけは所得税と住民税で1段ずれ、令和8・9年分では所得税が169万円・住民税が174万円です(控除額の刻みが所得税は合計所得95万円で1段下がるのに対し、住民税は100万円まで満額のまま)。169万〜174万円の配偶者は、扶養する側の住民税もふるさと納税の上限も変わりません。
住民税がかかる壁:100万 → 119万
住民税(均等割・所得割とも非課税)の上限は、単身者で「合計所得45万円+給与所得控除の最低保障」です。給与所得控除の最低保障が55万→65万→74万と上がったため、令和8年分・令和9年分は45万+74万=119万円まで非課税になりました。
なお74万円が使えるのは令和8年分と令和9年分の2年間だけです。令和10年分からは本則が適用され、この年収帯では最低保障の69万円が効くため、壁は45万+69万=約114万円に下がる見込みです(69万円は令和8年改正で65万円から引き上げられた新しい本則で、過去に適用されていた額ではありません。また令和10年分以後の最低保障額は物価の動きに応じて2年ごとに見直すことが基本とされているため、確定値ではありません)。
本人に所得税がかかる壁:103万 → 178万
令和8年分・令和9年分は、給与所得控除の最低保障(74万円)と基礎控除(104万円)を合わせた金額まで、本人の所得税はゼロです。給与年収178万円なら、給与所得は178万−74万=104万円。ここから基礎控除104万円を引くと課税所得は0円になります。
配偶者控除が満額の壁:103万 → 136万
配偶者(扶養される側)の年収がこの金額以下なら、納税者側が配偶者控除を満額受けられます。配偶者の合計所得要件が48万→58万→62万に引き上げられ、給与換算で103万→123万(令和7)→136万(令和8)と動きました。「127万円」という数字を見かけますが、これは給与所得控除を65万円で計算した誤りで、令和8年分は136万円が正しい値です。
配偶者特別控除が満額・消える壁:150万→169万(住民税は155万→174万)/約201万→約207万
配偶者特別控除が満額になる配偶者の合計所得は、所得税が95万円以下・住民税が100万円以下と、税目で1段違います(所得税法83条の2第1項第1号イ/地方税法314条の2第1項第10号の2イ)。ゼロになるのはどちらも合計所得133万円超です。この所得の条件自体は改正で変わりませんが、給与所得控除が上がったため、給与換算した「壁」が右に動きました(満額の上限は所得税150万→169万・住民税155万→174万、消失の目安 約201万→約207万)。
つまり配偶者の年収が169万円を超えても、174万円までは扶養する側の住民税は1円も増えません。増えるのは所得税だけで、当サイトのシミュレーターで試すと年4,700円までにとどまります。
4. 税制改正では動かない壁:社会保険の106万(2026年10月撤廃)・130万
社会保険の壁は税制改正とは別の制度なので、上の税の壁とは動き方が違います。
| 社保の壁 | 内容 | 令和8での扱い |
|---|---|---|
| 106万円の壁 | 特定適用事業所(従業員51人以上)で週20時間以上働くと社保加入(2026年9月30日までは月8.8万円以上も条件) | 賃金要件(月8.8万円)は2026年10月1日から撤廃(2026年9月11日公布の政令で施行日が確定)。同日からは原則として年収に関係なく、週20時間などの要件で判定。企業規模要件(51人以上→36→21→11人以上→全企業)は法律の附則に具体的な暦日が定められており段階縮小の日程は確定済み |
| 130万円の壁 | 被扶養者から外れて自分で社保に加入するライン(60歳以上・障害者は180万円) | 130万円のまま据え置き(税制改正そのものでは動かない)。ただし配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)は、令和7年度税制改正で特定扶養控除の要件が見直されたのに合わせて健康保険の取扱いが変わり、令和7年10月1日から150万円になった(それより前から扶養に入っている人も同日以降は150万円で判定) |
まとめ
- 令和8年の税制改正で、税の壁は軒並み右に動いた(給与所得控除や基礎控除の引き上げが理由。どの控除が効くかは壁ごとに異なる)
- 本人の所得税:103万 → 178万/配偶者控除:103万 → 136万/配偶者特別控除は満額150万 → 169万(住民税は155万 → 174万)・消失は約201万 → 約207万
- 税の壁6つは令和8・9年分限りの水準(6つとも給与所得控除の最低保障74万円に載っており、所得税の壁はさらに基礎控除の加算にも載っているため)。令和10年分は 住民税114万/所得税168万/配偶者控除131万/配特満額164万(住民税169万)/配特消失202万に下がる見込み
- 住民税は課税が1年遅れるため、119万円の壁が効くのは令和9年度分と令和10年度分の住民税(=令和8年分・令和9年分の所得)
- 社会保険の130万円の壁は税制改正そのものでは動かない(60歳以上・障害者は180万円のまま)。配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)だけは、令和7年度税制改正に合わせて健康保険の取扱いが変わり、令和7年10月1日から150万円になった(それより前から扶養に入っている人も含む)。106万円の壁(賃金要件・月8.8万円)は、税制改正とは別の年金制度改正で2026年10月1日から撤廃(2026年9月11日公布の政令で施行日が確定)。同日からは原則として年収に関係なく週20時間以上などで加入が決まる
- 税の壁と社保の壁は別物。手取り設計では両方を分けて確認する
あなたの手取りを年収・控除から試算する
年収・配偶者・扶養・iDeCoなどの条件を入力して、令和8年分の手取りと税・社保を確認できます。
参考(出典)
各壁の数値は、以下の公的な一次情報に基づいています(2026年9月時点)。制度は改正されることがあるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(PDF) ※給与所得控除の最低保障額74万円が令和8・9年分限りである点と、令和10年分以後の見直し方針の出典
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 厚生労働省「短時間労働者の社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入拡大のポイント」(令和8年1月作成)(企業規模要件の段階縮小スケジュールの出典。賃金要件の撤廃時期は、このPDFでは「令和8(2026)年10月に撤廃予定」と書かれており、その後の政令で2026年10月1日に確定=次の項目)
- 106万円の壁(短時間労働者の賃金要件)の撤廃の施行日が2026年10月1日であること(2026年9月11日公布の政令)と、2026年10月1日施行版の健康保険法第3条第1項第9号・厚生年金保険法第12条第5号で、短時間労働者を被保険者としない要件が週の所定労働時間20時間未満と学生の2つになり、報酬が「八万八千円未満」の要件が削られていること:厚生労働省(法令等データベース)「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の一部の施行期日を定める政令」(令和8年9月11日 政令第275号)(PDF)/e-Gov法令API v2で取得した健康保険法(law_revision_id 211AC0000000070_20261001_507AC0000000074)・厚生年金保険法(329AC0000000115_20261001_507AC0000000074)/厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和8年10月)について」(2026年9月30日確認)
- e-Gov法令検索APIで厚生年金保険法附則第17条の3の2を確認(2026年9月17日):企業規模要件(附則17条12項の「五十人」の読み替え)は、2027年10月〜2029年9月=35人、2029年10月〜2032年9月=20人、2032年10月〜2035年9月=10人という具体的な暦日が法律本文(2027年10月1日施行版=law_revision_id 329AC0000000115_20271001_507AC0000000074 に収録の平成24年法律第62号附則。2026年9月30日にも同じ内容を確認)に書き込まれており、賃金要件のような「政令で定める日」への委任はない。附則17条12項は「特定労働者の総数が常時五十人を超えるもの」を適用対象と定めており、読み替え後は「三十五人を超える」「二十人を超える」「十人を超える」となるため、この35人・20人・10人という読み替え値は、本文表の36人以上・21人以上・11人以上という表記にそれぞれ対応する
- 厚生労働省「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案の概要」(衆議院修正反映版)(改正の概要Ⅰ1①に「企業規模要件を令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間に段階的に撤廃する」と明記。施行期日欄も「Ⅰ1①(企業規模要件)は令和9年10月1日」という単一の期日を法律案自体に定めており、「Ⅰ1①(賃金要件)は…政令で定める日」と明確に書き分けている=2035年10月の完全撤廃を含む企業規模要件のスケジュール全体は、賃金要件と異なり政令委任ではなく法律で確定している)
- e-Gov法令検索APIで厚生年金保険法附則第17条第1項・健康保険法附則第46条第1項を確認(law_revision_id=329AC0000000115_20291001_507AC0000000074/211AC0000000070_20291001_507AC0000000074・2026年9月17日):企業規模で加入対象外とする適用除外の規定はいずれも「令和十七年九月三十日までの間」と期限つきで定められており、令和17年10月1日以降はこの適用除外自体が失効して企業規模を問わず加入対象になる仕組みが、厚生年金保険・健康保険どちらの法律本文にも書き込まれている(政令への委任なし。2035年10月の完全撤廃の直接的な条文根拠)
- 社会保険の扶養(健康保険の被扶養者)の年間収入の基準は130万円未満で、60歳以上または障害者は180万円未満であること:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」(2026年9月29日確認)/厚生労働省年金局「第3号被保険者制度について」(第7回社会保障審議会年金部会 資料1・2023年9月21日)(PDF)(5ページの被扶養者認定の通知の抜粋に「60歳以上の者である場合又は概ね厚生年金保険法による障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者である場合にあつては180万円未満」)
- 19歳以上23歳未満(被保険者の配偶者を除く。年齢は扶養認定日が属する年の12月31日時点で判定し、各暦年の基準もその年の12月31日時点の年齢で決まる)は令和7年10月1日以降は150万円未満(令和7年9月30日以前に認定済みの人も、同日以降は150万円以上見込まれると扶養から外れる)に変わったこと。この変更は、令和7年度税制改正で特定扶養控除の要件が見直されたのを踏まえたものであること:日本年金機構「19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります」/日本年金機構「年齢要件(19歳以上23歳未満)は、いつの時点で判定するのですか。」
- 令和8年4月1日以降の扶養の認定では、収入が給与だけの人は、労働条件通知書などに書かれた賃金(諸手当・賞与を含む)から見込まれる年間収入で判定する取扱いがあり、従来の判定方法では基準額を超えていても、労働契約の段階で基準額を超えていなければ認定できる可能性があること。この取扱いは認定日が令和8年4月1日以降の認定に適用されること:日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」/厚生労働省「労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定における年間収入の取扱いに係るQ&A(第2版)について」(令和8年3月9日事務連絡)(PDF)(Q10「本通知による取扱いは、認定日が4月1日以降となるものについて適用されます」)(2026年9月29日確認)
- 健康保険の被扶養者の年間収入の基準のうち「130万円未満」とされているものを、配偶者以外の19歳以上23歳未満の人については150万円未満として扱うこと(通知の記の1。Q&AのQ3の冒頭も同じ文言。Q3の続きとQ4は19〜22歳の基準を150万円未満とだけ書き、障害者には触れていない)/もとの基準は130万円未満で、60歳以上または概ね障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者は180万円未満であること(同じページの参考に載っている昭和52年通知):厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定について」(令和7年7月4日 保発0704第1号・年管発0704第1号)/厚生労働省「19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定に関するQ&A」(2026年9月30日確認)
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