年収の壁は令和8年でこう動いた|103万・130万・150万の壁を改正前と比較【図解】
令和8年(2026年)の税制改正で「年収の壁」がどう変わったかを改正前と一覧比較。所得税は103万→178万、配偶者控除は103万→136万に。動かない社会保険(130万)の壁との違いも図と表で整理します。
執筆:しぐ ・ 更新日: 2026-07-08
「年収の壁」は令和8年(2026年)の税制改正で大きく動きました。特に本人に所得税がかかり始める壁は103万円から178万円へと大きく上がり、配偶者控除・配偶者特別控除の壁もそれぞれ右にずれています。一方で、社会保険の130万円の壁は税制改正では動きません。
この記事では、改正前(令和6年以前)と令和8年分を一覧で比較し、どの壁がどこへ動いたかを図と表で整理します。
1. 「年収の壁」には2種類ある
年収の壁は、性質の違う2つのグループに分かれます。この区別を押さえると混乱しません。
- 税の壁(所得税・住民税・配偶者控除など)=税制改正で動く。令和8年分で軒並み右にずれた。
- 社保の壁(106万円・130万円)=健康保険・年金の制度で、税制改正では原則動かない。
まずは、動いた「税の壁」から見ていきます。
2. 図で見る:税の壁は令和8で「右」に動いた
改正前(令和6年以前)と令和8年分を、給与年収ベースで比べたものです。給与所得控除や基礎控除が引き上げられたことで、税の壁はいずれも高い方へ移動しました(どの控除が効くかは壁ごとに違います。たとえば住民税の壁は住民税の基礎控除が据え置きのため、給与所得控除の引き上げだけで動いています)。比較のため、税制改正では動かない社会保険の「130万円の壁」も一番下に入れています(改正前と令和8で同じ長さ=据え置き)。
伸びが大きいのが「本人に所得税がかかる壁」で、103万円から178万円へと75万円も上がりました。一番下の「130万円の壁」は改正前と令和8で同じ長さ=社会保険の壁は税制改正では動かないことを表しています。
3. 税の壁:改正前 → 令和8 早見比較
図の数値を表でも示します。令和7年分(2025年)は2段階改正の途中の値です。
| 壁(給与年収ベース・単身/給与のみ) | 種別 | 改正前(令和6以前) | 令和7年分 | 令和8年分 |
|---|---|---|---|---|
| 住民税がかかり始める | 税 | 100万円 | 110万円 | 119万円 |
| 本人に所得税がかかり始める | 税 | 103万円 | 160万円 | 178万円 |
| 配偶者控除が満額(配偶者の年収) | 税 | 103万円 | 123万円 | 136万円 |
| 配偶者特別控除が満額(配偶者の年収) | 税 | 150万円 | 160万円 | 169万円 |
| 配偶者特別控除が消える(配偶者の年収) | 税 | 約201万円 | 約201万円 | 約207万円 |
| 社保に加入(106万の壁) | 社保 | 106万円 | 106万円 | 2026年10月に賃金要件撤廃 |
| 被扶養から外れる(130万の壁) | 社保 | 130万円 | 130万円 | 130万円(不変) |
税の壁(上5つ)は令和8で右に動きましたが、社会保険の壁(106万・130万)は税制改正では動きません。詳細は下の第4章で解説します。
住民税がかかる壁:100万 → 119万
住民税(均等割・所得割とも非課税)の上限は、単身者で「合計所得45万円+給与所得控除の最低保障」です。給与所得控除の最低保障が55万→65万→74万と上がったため、45万+74万=119万円まで非課税になりました。
本人に所得税がかかる壁:103万 → 178万
給与所得控除の最低保障(74万円)と基礎控除(104万円)を合わせた金額まで、本人の所得税はゼロです。給与年収178万円なら、給与所得は178万−74万=104万円。ここから基礎控除104万円を引くと課税所得は0円になります。
配偶者控除が満額の壁:103万 → 136万
配偶者(扶養される側)の年収がこの金額以下なら、納税者側が配偶者控除を満額受けられます。配偶者の合計所得要件が48万→58万→62万に引き上げられ、給与換算で103万→123万(令和7)→136万(令和8)と動きました。「127万円」という数字を見かけますが、これは給与所得控除を65万円で計算した誤りで、令和8年分は136万円が正しい値です。
配偶者特別控除が満額・消える壁:150万→169万/約201万→約207万
配偶者特別控除は、配偶者の合計所得が95万円以下なら満額(所得税38万円)、133万円超でゼロになります。この所得の条件自体は改正で変わりませんが、給与所得控除が上がったため、給与換算した「壁」が右に動きました(満額の上限150万→169万、消失の目安 約201万→約207万)。
4. 動かない壁:社会保険の106万・130万
社会保険の壁は税制改正とは別の制度なので、上の税の壁とは動き方が違います。
| 社保の壁 | 内容 | 令和8での扱い |
|---|---|---|
| 106万円の壁 | 特定適用事業所(従業員51人以上)で週20時間以上働くと社保加入 | 2026年10月に賃金要件(月8.8万円)が撤廃。以後は週20時間などの要件で判定。企業規模の対象も段階的に拡大予定 |
| 130万円の壁 | 被扶養者から外れて自分で社保に加入するライン | 130万円のまま据え置き(税制改正では動かない) |
まとめ
- 令和8年の税制改正で、税の壁は軒並み右に動いた(給与所得控除や基礎控除の引き上げが理由。どの控除が効くかは壁ごとに異なる)
- 本人の所得税:103万 → 178万/配偶者控除:103万 → 136万/配偶者特別控除は満額150万 → 169万・消失は約201万 → 約207万
- 住民税は課税が1年遅れるため、119万円の壁が効くのは令和9年度分の住民税から
- 社会保険の130万円の壁は動かない。106万円の壁は2026年10月に賃金要件が撤廃される
- 税の壁と社保の壁は別物。手取り設計では両方を分けて確認する
あなたの手取りを年収・控除から試算する
年収・配偶者・扶養・iDeCoなどの条件を入力して、令和8年分の手取りと税・社保を確認できます。
参考(出典)
各壁の数値は、以下の公的な一次情報に基づいています(2026年7月時点)。制度は改正されることがあるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。
- 国税庁「令和8年度税制改正による所得税の基礎控除の引上げ等について」
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
- 国税庁 タックスアンサー No.1195「配偶者特別控除」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
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