2026年(令和8年)税制改正まとめ|基礎控除・年収の壁・手取りはこう変わる

令和8年分から基礎控除・給与所得控除・年収の壁が引上げ。会社員と個人の手取りへの実額影響、住民税据え置きの落とし穴まで2026年時点の正確な情報でまとめます。

2026年(令和8年)分の所得税から、基礎控除・給与所得控除・年収の壁が大きく変わりました。会社員の多くにとっては実質的な減税ですが、得をする度合いは年収帯で大きく違います。

この記事では、何が・いくら変わったのかを旧→新の早見表で示し、自分の手取りがどう動くのかを年収別の実額で確認します。

さらに見落としがちな「住民税は据え置きのまま」という落とし穴と、所得税は令和8年分から・住民税は1年遅れという施行のズレまで、2026年時点の正確な情報で整理します。読み終えたら、自分の年収で実際の手取りを試算してみてください。

まず全体像:令和8年分から変わった3点+据え置きの住民税

変わったのは所得税の控除と年収の壁。住民税の基礎控除は据え置きです(合計所得2,400万円以下なら43万円)。

令和8年分から動いた主要ポイントを、旧(令和7年分)と新(令和8年分)で比較します。

項目令和7年分(旧)令和8年分(新)
所得税の基礎控除95/88/68/63/58万(5段階)104/67/62万(3段階)
給与所得控除の最低保障65万円74万円
配偶者・扶養の所得要件合計所得58万(給与123万)合計所得62万(給与136万)
配偶者特別控除 満額の上限(所得税)給与160万円給与169万円
配偶者特別控除 満額の上限(住民税)給与165万円給与174万円
配偶者本人の非課税ライン給与160万円給与178万円
勤労学生控除の所得要件合計所得85万(給与150万)合計所得89万(給与163万)
住民税の基礎控除(合計所得2,400万円以下)43万円43万円(据え置き)

このうち所得税の基礎控除(104万・67万)と給与所得控除の最低保障(74万)は令和8年分・令和9年分限りです(租税特別措置法41条の16の2第1項1号/同法29条の4第1項。⚠️この2つの条番号はいずれも2026年12月1日施行版以降のもので、それ以前の版とは中身が違います)。この記事で「合計所得のしきい値を給与年収に換算した壁」として書いている数字も、同じ74万円を使って出した値なので同じ2年分のものです(136万・163万・169万・174万・178万・約207万円)。令和10年分は最低保障が本則69万円に戻るぶん5万円ずつ下がり、⚠️本人の非課税ライン178万円だけは基礎控除の上乗せにも載っているので10万円下がって168万円になる見込みです。

⚠️表のうち残りは本則の額なので、この2年分限りではありません=住民税の基礎控除43万円(地方税法34条2項1号・314条の2第2項1号)・配偶者や扶養の所得要件(合計所得62万円=同一生計配偶者は所得税法2条1項33号、扶養親族は同項34号)・勤労学生の所得要件(合計所得89万円=同項32号)。⚠️扶養する側の給与年収約1,095万円も別=給与所得控除の上限195万円(改正なし)から出る値なので動きません。詳しくは各項目で説明します。

改正①:基礎控除が5段階→3段階に簡素化&引上げ

令和8年分から、所得税の基礎控除は合計所得に応じた3段階+時限の上乗せに簡素化されました。

令和7年分までは合計所得に応じて95/88/68/63/58万円の5段階でした。これが令和8年分から、よりシンプルで手厚い形に変わっています。

  • 合計所得 489万円以下 → 104万円
  • 489万円超 655万円以下 → 67万円
  • 655万円超 2,350万円以下 → 62万円
  • 2,350万円超は 48/32/16/0万円(令和7年分から不変)

ここで最重要の注意点があります。基礎控除の本則は62万円で、104万円・67万円は令和8年分・令和9年分のみの時限措置(本則62万に+42万・+5万を上乗せ)です。

つまり、中所得帯(合計所得489万円以下)が令和8・9年で最も手厚くなるのがこの改正の核心です。後半の手取り表でその恩恵額を具体的に確認します。

改正②:給与所得控除の最低保障が65万→74万円

給与収入が低めの人に効くのが、給与所得控除の最低保障の引上げです。

給与所得控除には「最低でもこの額は引ける」という下限(最低保障)があります。これが令和7年分の65万円から、令和8年分は74万円に上がりました。

  • 本則の最低保障は69万円(所得税法28条3項1号)。令和8・9年分はこれに代えて74万円(租税特別措置法29条の4第1項)
  • 給与収入220万円までは控除74万円を維持
  • 220万円超の区分や上限195万円は改正なし

この74万円は時限です。令和10年分は本則に戻り、最低保障は69万円になる見込みです。

基礎控除104万円と給与所得控除74万円が重なることで、後述する「年収の壁」や本人の非課税ラインが大きく動きました。

改正③:年収の壁が「123万円」→「136万円」へ

扶養に入れる/入れないの基準となる所得要件が引上げられました。

配偶者や扶養親族の合計所得の要件が、令和7年分の58万円から令和8年分は62万円に上がりました。給与収入に換算すると、給与所得控除の74万円化を反映して「123万円の壁」→「136万円の壁」に移動します。

関連して、配偶者まわりのラインも次のように動きます。

  • 配偶者特別控除の満額:所得税38万は配偶者の給与年収 169万円まで(旧160万)、住民税33万は 174万円まで(旧165万)=満額が終わる年収は税目で1段ずれる(所得税は配偶者の合計所得95万円、住民税は100万円が境目)。169万〜174万円の帯で減るのは所得税だけで、扶養する側の住民税もふるさと納税の上限も動きません。ただし満額は納税者本人の合計所得900万円以下(給与年収約1,095万円以下)が前提で、本人がそれを超えると控除は逓減し、合計所得1,000万円超で適用外になります(この本人側の要件は今回の改正でも変わりません)
  • 満額がゼロになるライン:合計所得133万円超=給与約207万円(旧201.6万)
  • 配偶者本人(給与のみ)の所得税ゼロライン:給与控除74万+基礎控除104万=令和8年分・令和9年分は年収178万円まで非課税(旧160万)。社会保険料控除が加わればさらに上がる
  • 勤労学生控除の所得要件:合計所得89万円/給与収入163万円まで(旧150万)

「働きすぎると損をする」と気にしていたパート・アルバイトや学生にとって、目安として働ける幅が広がった改正です。ただし社会保険の基準(勤務先の社会保険に入る基準・130万円の扶養の基準)は税の壁とは別の制度で、ここでの引上げとは連動しません。社会保険の扶養の基準は、配偶者以外の19〜22歳(暦年ごとに、その年の12月31日時点の年齢で判定)なら、学生かどうかにかかわらず150万円未満です(令和7年10月1日から)。なお、障害者(おおむね障害厚生年金の受給要件に当たる程度の障害がある人)の基準は180万円未満です。19〜22歳でこれに当たる人は、厚生労働省の通知が150万円に置き換える対象を「130万円未満」の基準に限っているので180万円未満のままと読めます。ただし同省のQ&Aは19〜22歳の基準を150万円未満とだけ書き、障害者には触れていないため、加入している健康保険に確認してください。

むしろ社会保険側では、「106万円の壁」の賃金要件(月額8.8万円以上)が2026年10月1日から撤廃です(2026年9月11日公布の政令で施行日が確定)。同日からは原則として年収に関係なく週20時間以上などで勤務先の社会保険に加入するので、短時間労働者の社会保険加入はむしろ広がる方向です。税の壁(136万円)と社保の壁(週20時間・130万円)は分けて考えてください。詳しくは「106万円の壁」撤廃はいつから?にまとめています。

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★最大の落とし穴:住民税は引き上がっていない

所得税の基礎控除が104万円になっても、住民税の基礎控除は据え置きです(合計所得2,400万円以下なら43万円)。

ここを混同すると手取り予測を大きく外します。令和8改正で引上げられたのは所得税側であり、住民税の基礎控除は段の位置も額も改正前と同じです(合計所得2,400万円以下は43万円、2,400万円超は29万円、2,450万円超は15万円、2,500万円超はゼロ=地方税法34条2項・314条の2第2項)。結果として、低中所得帯では所得税の基礎控除104万円と住民税の43万円の差が拡大しています。

さらに施行タイミングにもズレがあります。

  • 所得税:基礎控除・給与所得控除・年収の壁の引上げは令和8年分から先行適用
  • 住民税:配偶者・扶養の所得要件62万円や給与所得控除の引上げは、令和9年度分住民税(=令和8年所得に対する住民税)から適用

このため、減税の実感は所得税で先に出て、住民税では限定的になります。

自分の手取りはどう変わる?(年収別の実額)

得をする度合いは年収帯でまったく違います。最も恩恵が大きいのは年収476万〜665万円帯です。

以下は当サイトの /tax 手取り計算ツール本体(令和8エンジン) の出力です。独身・東京・協会けんぽを前提とした年額(万円)の手取りです。

年収社会保険料所得税住民税手取り(年)月手取り手取り率
300万45.82.711.6240.020.080.0%
400万59.95.717.6316.826.479.2%
500万72.39.224.3394.232.978.8%
600万88.114.930.7466.238.977.7%
700万104.027.637.6530.944.275.8%
800万116.543.445.3594.849.674.3%
1000万126.682.263.8727.460.672.7%

なぜこの帯が一番得なのか。 この層は令和7年分の基礎控除が68万円で、令和8年分の104万円へ+36万円と最も大きく拡大するからです(令和7年分で68万円だったのは合計所得336万円超489万円以下=給与年収でおおむね476万〜665万円の層)。

注意点として、年収475万円以下では令和7年分の基礎控除がすでに88万円だったため、拡大幅は+16万円にとどまります。「年収が低いほど得」ではなく、中堅層が一番伸びる改正です。

具体例として年収600万円を見ると、所得税は令和7年分の約18.6万円から令和8年分は約14.9万円へ、約3.7万円の減税になります。

一方、年収700万円以上は基礎控除の上乗せが+4万円程度と小さく、改正の恩恵は限定的です。手取り率が72〜76%まで下がる高所得帯では、減税の体感は薄くなります。

自分の年収・家族構成での正確な手取りは、下のツールで試算するのが確実です。ここに載せた額は独身・東京の前提なので、扶養家族や地域によって変わります。

その他の2026年(令和8年)の変更点

控除以外にも、2026年は手取りや税まわりの細かい数字がいくつか動いています。

子ども・子育て支援金が新設(2026年4月〜)

令和8年(2026年)4月から、子ども・子育て支援金が公的医療保険料に上乗せして徴収され始めました。会社員(協会けんぽ)の場合、本人負担は給与・賞与に対して0.115%が目安です。

年収500万円なら年6,000円前後の負担増で、上の手取り表の社会保険料にもすでに反映済みです。料率は段階的に引上げられる予定なので、今後の改定にも注意してください。

雇用保険料率は引下げ

令和8年度・一般の事業で、労働者負担0.5%・総料率1.35%です。令和7年度の総料率1.45%から引下げられ、前年度より労働者の負担はわずかに軽くなります。

延滞税の率が上昇(2026年時点)

税金の納付が遅れたときの延滞税は、2026年時点で納期限の翌日から2か月以内=年2.8%/2か月経過後=年9.1%です。令和4〜7年の2.4%/8.7%から、平均貸付割合の上昇により+0.4pt上がりました。延滞税は年度依存なので、毎年最新の率を確認してください。

賞与の源泉徴収税率の表が変わった

令和8年分から賞与算出率表の階級境界が上方シフトし、同じ前月給与でも率が1段下がるケースがあります。目安として、甲・扶養0で前月(社保控除後)給与30万円→6.126%、40万円→12.252%です。旧年度の表を引くと過大計算になるので注意してください。

iDeCoの「5年ルール→10年ルール」

iDeCo一時金を先に受け取り、後で退職金を受け取る場合の退職所得控除の重複排除の調整期間が、令和7改正で前年以前4年内→9年内(実質5年→10年)に延びました。2026年(令和8年)1月1日以降に受け取るDC一時金から適用です。逆方向(退職金が先・19年内)は改正対象外で据え置きです。

所得税への上乗せ2.1%が、2027年分から2つの名前に分かれる

同じ令和8年法律第12号で、所得税額への上乗せ2.1%の内訳が変わりました。2026年分(令和8年分)は復興特別所得税2.1%の1本ですが、2027年分(令和9年分)から2047年分(令和29年分)までは復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1.0%になります(復興財確法13条/防衛特措法5条の5第1項・5条の9)。あわせて復興特別所得税の課税期間の終わりが、令和19年分(2037年分)から令和29年分(2047年分)へ10年延長されました(復興財確法9条1項。始まりは平成25年分=2013年分のままです)。

合計2.1%は変わらないので、この内訳の変更では手取りも税額も動きません。変わるのは名前で、2027年分からは同じ2.1%が2つの税目に分かれて計算されます。現行の条文では、2048年分(令和30年分)以後は復興特別所得税が終わり、終期の定めがない防衛特別所得税1.0%だけが残ります。

暗号資産の分離課税化は「決定済み・2028年1月1日から」

令和8年度税制改正で、一定の暗号資産を申告分離課税20.315%(2047年分〔令和29年分〕までの率)・損失の3年繰越の対象とすることが決まりました(改正法=令和8年法律第12号は2026年4月1日に施行。施行日は規定ごとに分かれており、暗号資産の規定は未施行です)。損失を使えるのは特定暗号資産の譲渡益に対してだけで、給与など他の所得との損益通算はできません。2028年1月1日以後は、暗号資産の売却益が原則として雑所得ではなく譲渡所得に区分されます(所得税法33条3項3号。営利を目的として継続的に行う譲渡による所得は、従来どおり事業所得または雑所得です)。ただし譲渡所得になっても、50万円の特別控除も、5年超保有の2分の1課税も、給与など他の所得との損益通算も、暗号資産には適用されません(同法33条4項2号・5項、22条2項1号、69条2項)。

まとめ

2026年(令和8年)税制改正のポイントを整理します。

  • 所得税の基礎控除:5段階→3段階に簡素化。合計所得489万円以下は104万円、655万円以下67万円、2,350万円以下62万円
  • 104万円・67万円は令和8・9年分のみの時限措置。令和10年分以降は本則62万円ベースに戻る予定
  • 給与所得控除の最低保障:65万→74万円(令和8・9年分限定。令和10年分は本則の69万円に戻る見込み)
  • 年収の壁:扶養の所得要件が引上げられ「123万円」→「136万円」。配偶者特別控除満額は給与169万円まで(住民税分は174万円まで・本人の合計所得900万円以下が前提)、本人の所得税は年収178万円まで非課税。これらの給与年収の線(約207万円も含む)は令和8年分・令和9年分のもので、給与所得控除74万円が令和10年分に本則69万円へ戻るぶん5万円ずつ下がる見込み。本人の178万円だけは基礎控除の上乗せにも載っているので10万円下がって168万円になります
  • 住民税の基礎控除は据え置き(合計所得2,400万円以下なら43万円)。さらに住民税側の要件引上げは令和9年度分から=所得税は先行・住民税は1年遅れの施行ズレに注意
  • 手取りの恩恵は年収476〜665万円帯が最大(年収600万円で約3.7万円の所得税減税)。年収475万円以下は基礎控除の拡大幅が+16万円どまり(減税額そのものではない点に注意)、700万円以上も恩恵は限定的
  • その他、子ども・子育て支援金(2026年4月新設・本人0.115%)、雇用保険料率(労働者0.5%に引下げ)、延滞税(2026年は2.8%/9.1%)、賞与源泉率の表改定、iDeCoの10年ルール、社会保険「106万円の壁」の賃金要件撤廃(2026年10月1日施行)、暗号資産の分離課税化(対象は特定暗号資産・2028年1月1日以後の譲渡から・未施行)も押さえておく

最後に、自分の年収・家族構成での手取りは下のツールで試算するのが確実です。改正後(令和8年分)の値で計算できます。

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この記事の根拠(出典)

本記事の制度・数値は、以下の一次情報(2026年9月時点)にもとづいて作成しています。時限措置や施行時期は予定を含むため、最新情報は各公式ページでご確認ください。

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