副業で確定申告が必要なケースと不要なケース:20万円ルールを解説

副業収入がある会社員が確定申告すべき条件を副業の種類別に解説。20万円ルールの正確な意味と申告漏れを防ぐための判断フローをまとめた記事です。

副業を始めた会社員が最初に直面するのが「確定申告が必要かどうか」という疑問です。「20万円以下は不要」という話は聞いたことがあっても、それが使える会社員に条件があることや、副業の種類によって扱いが変わること、住民税の申告は別軸の話であることを知らない人も多いです。

申告漏れは無申告加算税(15〜30%)の対象になるため、自分のケースに当てはまる基準を正確に把握することが重要です。


1. 確定申告の基本的な判断フロー

給与所得者(会社員)の確定申告義務は、以下の基準で判断します。表の「20万円」の基準が使えるのは、給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受け取り、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている会社員です。勤務先で年末調整を受けた会社員は当たります。年の途中で退職して年末調整を受けていない人も、給与から所得税が源泉徴収されていれば当たります。副業先からも給与を受けている人は、表の3・4行目(副業給与)の基準で判定します。年の途中で転職した人も、同じ時期に2か所から給与を受けていなければ「1か所」に当たります。

条件確定申告の要否
副業の所得(収入 − 経費)を含む給与以外の所得の合計が年間20万円超必要
副業が給与以外だけで、副業を含む給与以外の所得の合計が年間20万円以下給与収入が2,000万円以下で給与の全部が源泉徴収の対象なら、所得税申告は不要(住民税申告は原則として別途必要。所得割がかからない人のうち、市区町村の条例で申告不要とされている人を除く)
副業給与と給与以外の所得の合計が年20万円超必要(給与の合計額が少ない人向けの別の基準もある=所得税法121条1項2号ロ)
副業給与と給与以外の所得の合計が年20万円以下給与収入の合計が2,000万円以下で給与の全部が源泉徴収の対象なら、所得税申告は不要(給与以外の所得がなければ、住民税の申告も不要=地方税法317条の2第1項ただし書)
副業の不動産所得を含む給与以外の所得の合計が20万円超必要
医療費控除・住宅ローン控除等で申告する年副業収入の金額に関わらず申告書に記載が必要

重要な前提:「20万円」は所得(収入 − 経費)であり、収入金額ではありません。上の条件を満たす会社員なら、副業収入が30万円でも経費が15万円あれば、所得は15万円で申告不要です。源泉徴収ありの特定口座で確定申告をしないことを選んだ株の譲渡益や、確定申告をしないことを選んだ上場株式等の配当は、この合計に入れません。

次の人は、副業の所得が20万円以下でも所得税の確定申告が必要です。

  • 給与収入が2,000万円を超える人
  • 同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人

2. 副業の種類別:確定申告が必要なケース

①雑所得(ライター・アフィリエイト・コンサル等)

フリーランス・副業の多くはここに該当します。

状況申告要否
雑所得(収入 − 経費)を含む給与以外の所得の合計が20万円超申告必要
雑所得を含む給与以外の所得の合計が20万円以下§1の条件を満たす会社員なら所得税申告不要(住民税申告は原則として必要。所得割がかからない人のうち、市区町村の条例で申告不要とされている人を除く)
源泉徴収された収入がある20万円以下でも申告すれば還付を受けられる場合がある

雑所得は本業の給与所得と合算して累進税率で課税されます。所得が増えるほど税率が上がります。

②給与所得(他社でのアルバイト等)

副業収入が「給与」として支払われる場合(他社でのアルバイト・非常勤等)は、以下の基準になります。

状況申告要否
副業給与と給与以外の所得の合計が年20万円超申告必要(給与の合計額が少ない人向けの別の基準もある=所得税法121条1項2号ロ)
副業給与と給与以外の所得の合計が年20万円以下給与収入の合計が2,000万円以下で給与の全部が源泉徴収の対象なら所得税申告不要(給与以外の所得がなければ、住民税の申告も不要=地方税法317条の2第1項ただし書)

令和8年分・令和9年分は、給与収入220万円以下の年の給与所得控除額が74万円になります(租税特別措置法29条の4第1項。本則〔所得税法28条3項1号〕の額に代えて74万円とするもので、収入が74万円に満たないときはその収入と同額)。令和10年分は本則に戻り、最低保障は69万円になる見込みです。

③事業所得(フリーランスとして本格的に活動)

帳簿作成や事業性が認められる活動の場合、「事業所得」として申告できます。

状況申告要否
事業所得(黒字)を含む給与以外の所得の合計が20万円超申告必要
事業所得が赤字申告推奨(給与所得との損益通算で税金が戻る可能性)

事業所得として認められると、赤字を本業の給与所得と損益通算できる点が大きなメリットです。ただし2022年の改正で、帳簿作成・継続性・事業性などの要件が以前より厳しくなっています。

④不動産収入

状況申告要否
不動産所得を含む給与以外の所得の合計が20万円超申告必要
不動産所得を含む給与以外の所得の合計が20万円以下§1の条件を満たす会社員なら所得税申告不要(住民税申告は原則として必要。所得割がかからない人のうち、市区町村の条例で申告不要とされている人を除く)

不動産所得は家賃収入から建物の減価償却・修繕費・管理費・ローン利息などを差し引いた金額です。経費が大きければ所得は20万円を下回る場合もあります。


3. 申告しなかった場合のペナルティ

意図的・無意識にかかわらず、申告義務があるのに申告しない場合にはペナルティが生じます。

ペナルティの種類概要
無申告加算税本来の税額に加えて15〜30%が上乗せ(50万円まで15%・50万円超300万円まで20%・300万円超30%。申告前に自主的に申告した場合は5%に軽減)
延滞税納付期限の翌日から2月以内は年2.8%、2月経過後は年9.1%(2026年)
重加算税意図的な隠蔽・偽造があった場合は35〜40%

税務署はクラウドソーシングや広告収入プラットフォームからの支払調書(マイナンバー付き)を通じて、副業収入を把握できる体制が整ってきています。「少額だからバレない」という判断は年々リスクが高まっています。


4. 確定申告の期限と手続きの流れ

確定申告の基本的な流れを把握しておくと、慌てずに対応できます。

ステップ時期内容
①収入・経費の記録副業開始〜12月領収書・請求書を保管。収入と経費を月次で集計する
②必要書類の準備1〜2月源泉徴収票、支払調書、経費明細
③申告書の作成2〜3月国税庁のe-Taxまたは確定申告書等作成コーナーを使う
④申告・納付3月15日までe-Tax(オンライン)または税務署窓口に提出
⑤住民税の処理6月〜確定申告の情報が住民税に自動反映(給与以外の副業なら、申告書で普通徴収・特別徴収を選択)

e-Taxはスマートフォンとマイナンバーカードがあれば自宅で完結できます。初めての申告でも、ガイドに沿って入力すれば作成できます。


5. よくある誤解を整理する

副業初心者が持ちやすい誤解と正確な理解をまとめます。

よくある誤解正確な理解
「収入が20万円以下なら問題ない」§1の条件を満たす会社員なら、収入でなく所得(収入 − 経費)が20万円以下で所得税申告不要
「確定申告したら会社にバレる」給与以外の副業なら、住民税を普通徴収にすると副業分は会社の天引きから外すのが法律上の扱い(副業が給与〔アルバイト等〕なら選べない)
「源泉徴収されていれば申告不要」源泉徴収されていても所得が20万円超なら申告必要。還付がある場合は20万円以下でも申告する価値がある
「少額だから税務調査が来ない」マイナンバー連携で収入把握の精度が上がっている

まとめ

  • 給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受け取り、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている会社員は、副業を含む給与以外の所得(収入 − 経費)が20万円超なら確定申告が必要で、20万円以下なら所得税の確定申告は不要
  • 副業先からも給与を受けている人は、副業先の給与の収入と給与以外の所得の合計で判定する
  • 給与以外の副業なら、20万円以下でも住民税の申告義務は原則として別途ある(所得割がかからない人のうち、市区町村の条例で申告不要とされている人を除く)
  • 副業の種類(雑所得・給与・事業所得・不動産)によって扱いが異なる
  • 事業所得の赤字は給与所得と損益通算できる(要件あり)
  • 無申告は加算税15〜30%のペナルティリスク
  • 確定申告期限は3月15日。e-Taxを使えばオンラインで完結

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「副業→手取り」タブで副業収入と経費を入れると、副業で増える所得税・住民税が出ます。本業の年収は副業タブの「本業年収」欄に入れます(「年収→手取り」タブの年収と共通の値です)。申告の要否そのものを判定する機能はないため、本記事の条件と照らして判断してください。


副業の確定申告に関するよくある質問

Q. 副業を始めた年に確定申告が必要かどうか、いつ判断すればいいですか?

判断のタイミングは「その年の12月末(または事業年度末)に年間の副業所得を確定した時点」です。年の途中では所得が20万円を超えるかどうかわからないため、継続的に収支を記録しておき、12月末の時点で年間所得が20万円を超えていれば翌年2〜3月に確定申告が必要と判断します。月次で収支を記録しておくと、11〜12月には見通しが立ちやすくなります。

Q. 申告書の作成が難しくて不安な場合、どうすればいいですか?

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」はガイドに沿って入力するだけで申告書を作成できるため、初めての申告でも対応可能です。また、e-Taxを利用すればスマートフォンとマイナンバーカードで自宅から申告・提出まで完結します。難しい箇所でつまずいた場合は、確定申告期間中(2〜3月)に税務署が開設する相談窓口を利用できます。税理士への依頼は費用がかかりますが、副業の規模が大きくなった場合や節税対策を検討する場合には有効な選択肢です。

Q. 複数の副業がある場合、それぞれ別々に申告しますか?

複数の副業がある場合、それぞれの所得を合算して1回の確定申告にまとめて申告します。副業A(雑所得10万円)と副業B(雑所得15万円)があれば、合計25万円の雑所得として申告します。それぞれが別の所得区分(雑所得・事業所得・不動産所得等)に該当する場合でも、1枚の確定申告書にすべて記載します。申告書の作成コーナーでは各所得区分の入力欄が用意されています。

Q. 確定申告書の「提出」と「納付」は別々ですか?

申告書の提出と税金の納付は別の手続きです。申告書は3月15日までに提出しますが、追加納付が必要な場合は同じく3月15日までに納付が必要です。e-Taxではダイレクト納付(銀行口座から引落し)やインターネットバンキング、クレジットカード納付、コンビニ納付などの方法が使えます。還付がある場合は、申告書を提出してから1〜2ヶ月以内に指定口座に振り込まれます。


注意点:確定申告で見落としやすいポイント

「所得税申告不要」と「住民税申告不要」は別

副業所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、給与以外の副業なら住民税の申告義務は原則として残ります(所得割がかからない人のうち、市区町村の条例で申告不要とされている人を除く)。住民税の申告先は市区町村の窓口で、申告期限は3月15日が目安になります。確定申告をすれば住民税への反映は自動的に行われますが、確定申告をしない場合は原則として別途住民税申告が必要です。正当な理由なく住民税の申告書を出さないと、市区町村の条例で10万円以下の過料が定められていることがあります(地方税法317条の5)。

e-Taxで申告した場合も証拠書類の保管は必要

e-Taxで確定申告を完了させても、収入の証明(支払調書・売上明細)や経費の根拠(領収書・レシート)は5年間の保管が必要です(事業所得・雑所得の場合)。税務調査が入った場合に証拠書類を提示できないと、経費が否認されることがあります。デジタルデータ(電子帳簿保存法に基づく保存)も認められていますが、適切な形式での保管が必要です。

事業所得として申告するための要件変化

2022年の国税庁の通達改正後、副業を「事業所得」として申告するには帳簿の作成・保存が求められるようになりました。帳簿なしで事業所得の申告をすると、税務署から雑所得への修正を求められることがあります。損益通算(赤字を給与所得と相殺)の恩恵を受けたい場合は、帳簿作成が前提条件です。会計ソフト(クラウド会計等)を使えば帳簿作成のハードルは大幅に下がります。


ポイントまとめ:副業の確定申告フロー

副業がある会社員が確定申告に向けて準備する手順を整理します。

時期やること
副業開始時収支記録の仕組みを作る(家計簿アプリ・スプレッドシート)
毎月収入・経費を記録し、領収書を保管する
11〜12月年間の副業所得が20万円を超えそうか確認する
12月末年間所得を確定・給与以外の副業なら住民税の徴収方法(普通徴収か特別徴収か)を決める
1〜2月必要書類(源泉徴収票・支払調書・経費明細)を整理する
2〜3月15日確定申告書を作成・提出・納付(e-Taxが便利)
2〜3月15日(確定申告をしない年)給与以外の副業があれば、住民税の申告書を市区町村へ出す(期限は3月15日)
5〜6月給与以外の副業で普通徴収を選んだなら、住民税決定通知書でその切り替えが反映されているか確認する

この記事の根拠(出典)

本記事の申告の要否と住民税の扱いは、以下の一次情報(2026年9月27日・28日確認)にもとづいています。制度は改正されるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。

  • 給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受け取り、その給与が源泉徴収や年末調整の対象になっている人は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告を要しないこと/給与収入が2,000万円を超える人と、同族会社の役員などでその会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人は確定申告が必要なこと/源泉徴収ありの特定口座で申告しないことを選んだ譲渡益や、申告しないことを選んだ上場株式等の配当はこの合計に入らないこと:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」/e-Gov法令検索「所得税法」第121条第1項(第1号は「第百八十三条(源泉徴収義務)又は第百九十条(年末調整)」による徴収を条件にしています)
  • 年の途中で転職した人のように、同じ時期に2か所以上から給与を受けていなければ「1か所から給与を受ける」に当たること:国税庁「所得税基本通達 法第121条《確定所得申告を要しない場合》関係」121-4
  • 確定申告を要しない20万円以下の所得でも、医療費控除のための還付申告をするなら併せて申告する必要があること:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(確定申告を要しない場合の意義)」
  • 2か所以上から給与を受ける人は、従たる給与の金額と給与以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告を要しないこと(それを超えても、給与の合計額が150万円と社会保険料控除などの合計額以下で、給与以外の所得が20万円以下なら要しないこと):e-Gov法令検索「所得税法」第121条第1項第2号
  • 給与以外の所得がある人は3月15日までに住民税の申告書を出すこと(1月1日現在で給与または公的年金等の支払を受けていて、前年に給与所得以外の所得または公的年金等に係る所得以外の所得がなかった人〔公的年金等に係る所得以外の所得がなかった人で、社会保険料控除などの一定の控除を受けようとする人を除く〕と、所得割の納税義務を負わないと認められる人のうち市町村の条例で定める人は除く):e-Gov法令検索「地方税法」第317条の2第1項
  • 給与所得にかかる住民税は特別徴収で集め、給与以外の所得にかかる住民税は、申告書に普通徴収の希望が書かれていれば特別徴収に加えないこと:e-Gov法令検索「地方税法」第321条の3第1項・第2項
  • 住民税の申告書を正当な理由なく出さないときに、条例で10万円以下の過料を定められること:e-Gov法令検索「地方税法」第317条の5

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・投資・法律などの専門的助言ではありません。内容は公的機関などの信頼できる情報をもとに作成していますが、制度や数値は変わる場合があります。実際の判断は公式情報や専門家でご確認ください(運営者情報・免責事項)。