ボーナスの手取り計算方法:社会保険料・所得税の引かれ方を解説

ボーナスから社会保険料・所得税が差し引かれる計算の仕組みを解説。住民税はボーナス月に増えない点も含め、賞与額別の手取り早見表と給与と異なる計算方法のポイントを整理します。

「ボーナス100万円もらえるはずなのに、振り込まれたのは80万円ほどだった」——この差にとまどう人は多いです。ボーナスには社会保険料・所得税・住民税が差し引かれますが、その計算方法は通常の給与と異なる部分があります。

この記事では、ボーナス(賞与)の手取り計算の仕組みを、具体的な数字で解説します。


1. ボーナスから差し引かれる3種類の控除

控除の種類割合(目安)計算の基準
社会保険料(健康保険)約5%(協会けんぽ・全国平均)賞与額(税込み)
社会保険料(厚生年金)約9.15%賞与額(税込み)
雇用保険料約0.5%賞与額(税込み)
所得税(源泉徴収)前月給与により異なる賞与額(社保控除後)
住民税月々の通常額と同じ月割り定額(賞与による増額なし)

健康保険料率と厚生年金保険料率は勤務地・加入保険組合によって異なります。協会けんぽ(全国健康保険協会)の2026年度の全国平均は健康保険約10%(労使折半で個人負担約5%)、厚生年金18.3%(労使折半で個人負担9.15%)です。本記事の試算例は東京都・協会けんぽの料率を用い、健康保険の個人負担は約5%(4.925%+令和8年度新設の子ども・子育て支援金0.115%=約5.04%を「約5%」として概算)で計算しています。


2. 社会保険料の計算:通常給与との違い

月額給与の場合

月給は「標準報酬月額」というクラス別の等級で計算されます(4月〜6月の平均月給を基に決定)。

ボーナスの場合

賞与は「標準賞与額」として、実際の賞与額(1,000円未満切り捨て)から計算します。

賞与額健康保険料(個人負担・約5%)厚生年金(個人負担・約9.15%)雇用保険(約0.5%)社保合計
50万円約25,000円約45,750円約2,500円約73,250円
80万円約40,000円約73,200円約4,000円約117,200円
100万円約50,000円約91,500円約5,000円約146,500円
150万円約75,000円約137,250円約7,500円約219,750円

※協会けんぽ・東京都2026年度概算(40歳未満)。健康保険の個人負担「約5%」には令和8年度新設の子ども・子育て支援金0.115%が含まれます(健康保険4.925%+支援金0.115%=約5.04%)。40歳以上は介護保険料(個人負担約0.8%)が上乗せされ、手取り率はやや下がります。

厚生年金の上限(150万円)

厚生年金保険料には1回の賞与あたりの上限(標準賞与額150万円)があります。1回のボーナス金額がこの上限を超える場合、超過分への厚生年金保険料はかかりません。


3. 所得税の計算:「賞与の源泉徴収税率表」を使う

ボーナスの所得税は「前月の給与(社会保険料控除後)」と「扶養親族等の数」を基に、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で税率を決定します。

手順

  1. 前月の給与(社会保険料控除後)を確認する
  2. 賞与から社会保険料を差し引く
  3. 前月給与(社保控除後)の金額と扶養親族等の数から、算出率の表で税率を決定する
  4. 賞与額(社保控除後)×税率=所得税

税率は通常、「前月給与(社保控除後)の金額階級」と「扶養親族等の数」だけで決まり、賞与の金額そのものは税率の決定には使いません。ただし例外として、賞与(社保控除後)が前月給与(社保控除後)の10倍を超える場合や、前月に給与がなかった場合は、賞与額を6(賞与の計算期間が半年を超えるときは12)で割った額を月額表に当てはめて計算するため、賞与額が税額に影響します(国税庁No.2523)。

具体例:前月給与30万円(社保控除後)・ボーナス80万円

計算ステップ金額
ボーナス支給額800,000円
社会保険料控除-117,200円(概算)
社保控除後のボーナス682,800円
税率(前月給与30万円・扶養0人の場合)約6.126%
所得税約41,800円

※税率は国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」によります。前月給与(社保控除後)の金額階級と扶養親族等の数によって税率が決定されます。

前月給与による所得税の違い

前月の給与が多いほど、賞与に対する源泉徴収税率が上がります。同じ80万円のボーナスでも、前月給与が異なると税額が変わります。

前月給与(社保控除後)賞与80万円の源泉徴収税率目安所得税概算
20万円約4.084%約27,900円
30万円約6.126%約41,800円
40万円約12.252%約83,700円
50万円約16.336%約111,500円

※扶養親族等0人・社保控除後の賞与682,800円で計算した目安です。扶養親族等の数が増えると税率は下がります。


4. 住民税はボーナスで増えない

住民税は前年所得を基に6月に決定され、12分割されて毎月同額が天引きされます。ボーナス月だからといって住民税の天引き額が増えるわけではありません(一部の自治体・企業では特別徴収として一定額をボーナスから追加徴収するケースもありますが、一般的ではありません)。


あなたのボーナス手取りを計算する

年収とボーナスの支給月数を入力して、社会保険料・所得税を差し引いたボーナス込みの手取り額を試算できます。


5. ボーナス手取り額の試算

年収570万円(月給35万円×12ヶ月+ボーナス年2回×75万円)の会社員(独身・東京・協会けんぽ・40歳未満)のボーナス手取り試算:

項目金額
ボーナス支給額750,000円
健康保険料(約5%)-37,500円
厚生年金(約9.15%)-68,625円
雇用保険(約0.5%)-3,750円
社保控除後640,125円
前月給与(社保後)約30万円・扶養0人 → 税率約6.126%-約39,200円
住民税(月割り通常額)-約20,000円
手取り約580,925円

支給額75万円に対して手取り約58万円。控除率は約2割(住民税控除前なら約2割弱)が目安です。「ボーナスは3割引かれる」というイメージより、実際の控除はやや小さくなります。


6. ボーナス額別・手取り率の目安

ボーナス支給額社保控除額(概算)所得税概算手取り概算手取り率目安
30万円約44,000円約15,700円約240,000円80%
50万円約73,000円約26,100円約401,000円80%
80万円約117,000円約41,800円約641,000円80%
100万円約147,000円約52,300円約801,000円80%
150万円約220,000円約78,400円約1,202,000円80%

※前月給与30万円・扶養0人・協会けんぽ東京都・独身での概算。実際の金額は保険料率・前月給与・家族構成によって異なります。

賞与の源泉徴収税率は前月給与(社保控除後)の金額階級と扶養親族等の数で決まり、賞与額そのものでは変わりません。そのため前月給与が同じなら、厚生年金の上限(1回150万円)までの範囲ではボーナス額が増減しても手取り率はほぼ一定(この前提では約80%)になります。1回の賞与が150万円を超えると超過分に厚生年金がかからず、手取り率はむしろ上がります(§9参照)。手取り率を左右するのは主に前月給与の水準と扶養親族等の数です。


7. 年収別・ボーナスの年末調整の扱い

ボーナスの源泉徴収は「概算」であるため、年末調整で精算されます。

状況年末調整の結果
ボーナスで多く所得税を取られていた年末調整で還付(12月給与や翌年1月に還付)
ボーナスで少ししか所得税が取られていなかった年末調整で追加徴収

ボーナスが前月給与の水準によって高い税率で源泉徴収された場合でも、年間の所得税は年末調整で正確な金額に調整されます。


よくある質問

Q. ボーナスが出た月の住民税は増えませんか?

通常は増えません。住民税は月割りで定額を天引きするため、ボーナス月だからといって住民税が増額されることは一般的にはありません。

Q. 6月にボーナスがある場合、なぜ控除額が大きく感じますか?

6月は新しい住民税の天引きが始まる月です。前年の所得に基づいた新しい住民税額が6月から適用されるため、5月までより月々の住民税が増えることがあります。ボーナスの社保・所得税と住民税の増加が重なると、控除額が大きく感じられます。

Q. ボーナスにiDeCoの節税効果はありますか?

iDeCoの掛金は全額が所得控除になり、年間の所得税・住民税を下げます——これが節税の本体で、最終的な節税額は年末調整・確定申告で精算される年間の税額で決まります。加えて、ボーナスの源泉徴収税率は前月給与(社保控除後)で決まるため、iDeCoで前月給与(社保控除後)の金額が下がると賞与の源泉徴収税率も下がるという副次的な効果もあります(ただし源泉は概算なので、最終的には年末調整で均されます)。


まとめ

ボーナスの手取りは、前月給与30万円・扶養0人・40歳未満の前提では支給額の約8割が目安です(前月給与や扶養親族等の数によって変わり、40歳以上は介護保険料が加わりやや下がります)。通常の給与と異なる点を理解することで、振り込み額の予測精度が上がります。

  • 社会保険料はボーナス額から直接計算する:月給の「等級」計算ではなく実額ベース
  • 所得税は「前月給与(社保控除後)と扶養親族等の数→算出率の表」で決まる:前月給与が多いほど税率が上がり、賞与額そのものでは税率は変わらない
  • 住民税はボーナス月に増えない:月割り定額の天引きが続く
  • 全体の控除率は前提条件によるが、上記前提では約2割程度:「3割減」というイメージより実際の控除はやや小さい
  • 年末調整で精算される:ボーナスの源泉徴収は概算であり、年間を通じた正確な税額に調整

8. ボーナスを受け取った後の賢い使い方

手取り後のボーナスをどう活用するかで、将来の可処分所得や老後の資産形成に大きな差が生まれます。

節税しながら活用する選択肢

活用方法概要節税・資産形成効果
iDeCoの掛金を最大化(年間単位)月々の掛金上限いっぱいまで拠出課税所得が減り、年末調整で還付を受けやすくなる
ふるさと納税の上限見直しボーナスを含めた年収で改めて上限を計算寄付額に応じた返礼品と住民税控除が受けられる
NISA(成長投資枠)の活用年間240万円まで非課税で投資可能売却益・配当が非課税
住宅ローンの繰上返済元金を減らして総利息を削減支払う予定だった利息分を軽減できる(住宅ローン控除の期間中は控除も減るため、損得は要確認)

ボーナスから手取りを計算するシンプルな方法

毎回の計算が手間であれば、前月給与30万円前後・扶養0人・40歳未満なら「支給額の約80%」を目安に手取りを大まかに見積もることが実用的です。前月給与が高い(前月給与社保控除後が40万円以上)場合は税率が上がり70〜75%程度に下がることがあり、前月給与が低い場合は80%超になることもあります。手取り率を主に左右するのは前月給与の水準と扶養親族等の数で、賞与額そのものではありません。


9. ボーナスと社会保険の知られにくいルール

同一年内の賞与上限(社会保険料)

厚生年金保険料には1回の賞与あたりの上限(150万円)があります。1回のボーナスがこの上限を超える場合、超過分には厚生年金保険料がかかりません。高額賞与を受け取る場合は、この上限に注意することで実際の手取りが試算より多くなるケースがあります。

健康保険には年間上限(年間573万円)があり、同一年内の賞与合計額がこれを超える分には健康保険料がかかりません。

賞与支給月の翌月の影響

賞与が支払われた月の給与明細には、社会保険料控除と所得税源泉徴収が通常より多く見える場合があります。しかし給与とボーナスはそれぞれ独立して計算されるため、「ボーナスが出た月の月給の手取りが減る」ということは基本的にありません。複数の控除が同時期の明細に現れることによる見た目の混乱です。


ボーナス手取りシミュレーター

年収とボーナスの支給月数を入力して、ボーナスを含む年間の手取り額を計算。


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