新NISAと旧NISAの「出口戦略」|非課税期間終了後の自動移管と損しない売り時
旧NISA(一般・つみたて)の満期が来たらどうなる?ロールオーバー不可の衝撃事実、新NISAへの乗り換えタイミング、ジュニアNISAの18歳解禁ルールまで完全網羅。
執筆:しぐ ・ 更新日: 2026-05-29
2024年から始まった新NISAは非課税期間が無期限になり、制度として大きく改善されました。しかし、2023年以前に積み立てた旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)には、それぞれ固有の「終了日」があります。その終了日が来ると、資産は自動的に課税口座へ移管されます。このとき何も考えずに放置するか、あるいは計画的に動くかで、税負担に数十万円単位の差が生じることがあります。
1. 旧NISAの非課税期間終了スケジュール
まず、自分が保有している旧NISAがいつ終わるかを把握することが出発点です。
| NISA種類 | 非課税期間 | 2023年購入・積立分の終了年 |
|---|---|---|
| 一般NISA | 購入年から5年間 | 2027年12月末 |
| つみたてNISA | 積立年から20年間 | 2042年12月末 |
| ジュニアNISA | 子が18歳になる年の12月末 | 子の年齢による |
一般NISAの年度別終了スケジュール(2026年現在):
| 購入年 | 非課税終了年 | 状態 |
|---|---|---|
| 2019年以前 | 2023年末まで | 終了済み |
| 2020年 | 2024年12月末 | 終了済み |
| 2021年 | 2025年12月末 | 終了済み |
| 2022年 | 2026年12月末 | 今年末終了 |
| 2023年 | 2027年12月末 | 来年末終了 |
2026年現在、2022年購入分は今年末で非課税期間が終わります。この資産を持っている人は、2026年12月末までに売却するか、課税口座移管を受け入れるかの判断が必要です。
つみたてNISAは長期間続く:
つみたてNISAは各年の積立から20年間非課税のため、2018年積立分が2037年末、2023年積立分が2042年末まで続きます。急いで動く必要はありませんが、長期スケジュールを把握しておく価値はあります。
2. 非課税終了後の「自動移管」:取得価格の書き換えが核心
非課税期間終了後、何も手続きをしなければ資産は課税口座(特定口座または一般口座)へ自動移管されます。このとき、移管された資産の「取得価格」が、移管日の時価に書き換わります。
この取得価格の書き換えが、含み益・含み損の状況によって全く異なる結果をもたらします。
含み益がある場合
| 状況 | 詳細 |
|---|---|
| 旧NISAでの購入価格 | 100万円 |
| 移管時の時価 | 160万円 |
| 課税口座移管後の取得価格 | 160万円(書き換え) |
| その後200万円で売却した場合の課税対象 | 200万 − 160万 = 40万円 |
| NISA期間中の値上がり(60万円分) | 非課税のまま確定 |
含み益がある状態での移管は、旧NISA期間中の利益を非課税で確定させる形になります。特に急いで動く必要はなく、移管後も保有を続けるという選択も成立します。
含み損がある場合
| 状況 | 詳細 |
|---|---|
| 旧NISAでの購入価格 | 100万円 |
| 移管時の時価 | 60万円(含み損40万円) |
| 課税口座移管後の取得価格 | 60万円(書き換え) |
| その後90万円まで回復して売却した場合 | 90万 − 60万 = 30万円の利益として課税 |
| 実態 | 100万投資→90万回収で10万円の損失 |
| 発生する税金 | 約6万円(30万円 × 20.315%) |
実際には10万円損しているのに、6万円の税金が課されるという結果になります。課税口座での「取得価格の書き換え」が、NISA内での損失記録を消してしまうためです。
3. 新NISAへのロールオーバーは不可
旧・一般NISAでは、5年の非課税期間終了後に翌年のNISA枠を使ってさらに5年間延長(ロールオーバー)できました。しかし、新NISAへのロールオーバーは制度上できません。
旧NISAの非課税期間が終わったとき、選択肢は以下の2つのみです。
| 選択肢 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 売却して新NISAで買い直す | 現金化→新NISA口座で同銘柄を購入 | 新NISAの生涯枠に余裕がある場合 |
| 課税口座に自動移管させる | そのまま保有継続(以降の利益は課税) | 新NISAの枠が不足している場合 |
4. 状況別の最適判断:売却か保有継続か
旧NISA資産の処理は、含み損益の状況と新NISAの枠の残量によって判断が変わります。
含み益あり・新NISA枠に余裕がある場合
売却して新NISAで買い直すのが最も合理的です。
メリット:
- 旧NISAで得た利益は非課税で確定できる
- 新NISA口座に移れば非課税期間が無期限になる
- 以降の値上がり分もすべて非課税になる
注意点:
- 売却から買い直しまでの数日間、相場から離れるリスクがある
- 年間投資枠(最大360万円)を消費する
- 投資信託の解約・買付に数営業日かかる場合がある
計算例:160万円の資産(100万円取得・含み益60万円)を旧NISAから新NISAへ移す場合、売却→新NISA買い直し後は160万円の資産が非課税期間無期限で保有できます。
含み益あり・新NISA枠が不足している場合
旧NISAの期間中に得た利益はすでに非課税確定しているため、課税口座移管後そのまま保有するという選択も合理的です。移管後の値上がり分には課税されますが、旧NISA時代の利益には影響しません。
含み損あり・満期まで余裕がある場合
回復を待ちながら保有を続け、回復後に売却して新NISAで買い直す戦略が考えられます。ただし、旧NISAの非課税期間内に回復しなかった場合のリスクも考慮が必要です。
含み損あり・満期が迫っている場合
| 選択肢 | 税制上の扱い | 実質的な影響 |
|---|---|---|
| NISA口座内で損切り | 損失はゼロ扱い(通算不可) | 損失を税に活かせない |
| 課税口座移管させる | 取得価格が現在の低い時価に書き換わる | 回復後売却で"みなし利益"に課税 |
| 課税口座移管後に売却 | 損失計上→他の利益と損益通算可能 | 損失を活用できる |
含み損がある場合は、課税口座に移管した後に即座に売却し、損失を損益通算に活用する方法もあります。その後、同額を新NISAで買い直せば実質的な保有継続も可能です。
5. 新NISAへの乗り換え:枠の制約と優先順位
新NISAへの資金移動は、年間投資枠の制限を受けます。
新NISAの枠構成(2024年〜):
| 枠の種類 | 年間上限 | 対象商品 |
|---|---|---|
| 積立投資枠 | 120万円 | 投資信託(定期積立のみ) |
| 成長投資枠 | 240万円 | 投資信託・個別株・ETF |
| 合計 | 360万円 | — |
| 生涯非課税上限 | 1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) | — |
旧NISAから売却した資金を新NISAに入れ直す際は、年間360万円の枠内に収める必要があります。一度に大きな金額を移す場合は、成長投資枠(240万円)を積極的に活用するのが効率的です。
乗り換えの優先順位の目安:
- 含み損がある旧NISA資産で満期が近いもの → 最優先で判断
- 一般NISAの2022・2023年購入分(2026・2027年末終了) → 次に対処
- つみたてNISAの積立分 → 2037〜2042年まで期間があるため急がない
6. ジュニアNISA:2024年以降の大きな変更点
ジュニアNISAは2023年末で新規購入終了となりましたが、保有資産は2024年以降も非課税で運用を続けられます。制度終了に伴い、払い出し制限が大幅に緩和されました。
| 項目 | 2023年まで(制度存続中) | 2024年以降(制度終了後) |
|---|---|---|
| 払い出し制限 | 子が18歳になるまで原則不可 | 年齢に関係なくいつでも払い出し可 |
| 払い出し時の課税 | 制限外払い出しは利益に課税 | 非課税で払い出し可 |
| 保有勘定 | 通常のジュニアNISA口座 | 継続管理勘定 |
| 一部引き出し | 不可 | 不可(全額解約のみ) |
18歳以降も非課税のまま継続管理勘定で運用できます。大学進学資金として活用するなら、急いで解約せずに18歳まで非課税運用を続けるのが一般に合理的です。ただし途中で急に資金が必要になった場合は、ペナルティなく解約できます。
7. 取り崩し期の出口戦略:4%ルールとシーケンスリスク
NISAは「増やす」フェーズだけでなく、「使う(取り崩す)」フェーズの設計も重要です。新NISAは非課税期間無期限のため、取り崩し方が資産寿命に大きく影響します。
4%ルールとは
米国のトリニティスタディに基づく目安で、「毎年資産残高の4%を取り崩せば、30年以上資産が持続する確率が高い」という考え方です。
| 保有資産額 | 4%ルールでの年間取り崩し額 | 月換算(目安) |
|---|---|---|
| 2,000万円 | 80万円/年 | 約6.7万円/月 |
| 3,000万円 | 120万円/年 | 約10万円/月 |
| 5,000万円 | 200万円/年 | 約16.7万円/月 |
新NISAで保有している資産を取り崩す場合、課税口座と異なり税金(約20%)が引かれないため、同じ生活水準を維持するのに必要な取り崩し額が少なくなります。
シーケンス・オブ・リターンリスク
取り崩し開始直後の数年間に大きな暴落が発生すると、資産の回復能力が著しく損なわれます。積み立て期とは逆に、取り崩し期は「運用成績の順序」が最終的な資産残高に大きく影響するという特性があります。
| シーケンスリスク対策 | 内容 |
|---|---|
| 現金クッション | 生活費2〜3年分を現金で保有し、暴落時はNISAを取り崩さない |
| 柔軟な取り崩し | 相場が好調な年は多め、不調な年は取り崩しを抑える |
| バケツ戦略 | 短期用(現金)・中期用(債券など)・長期用(株式)に資産を分けて管理 |
新NISAは非課税期間無期限のため、暴落時に「売らなくて済む体制」を整えておくことが資産寿命を大きく左右します。暴落のたびにNISAを取り崩すのではなく、現金クッションを使う時間的余裕を持つことが、長期的な運用継続の鍵です。
まとめ
- 一般NISAの2022年購入分は2026年末に非課税終了。含み損がある場合は今年中の対処が必要
- 含み損のまま課税口座移管→回復後売却は「みなし利益」に課税される最悪のシナリオ
- 新NISAへのロールオーバーは不可。乗り換えは年間360万円の枠内で行う
- 含み益あり・新NISA枠に余裕ありなら売却→新NISAで買い直しが合理的(非課税期間無期限化)
- ジュニアNISAは2024年以降も非課税保有継続可能。18歳まで急いで解約する必要はない
- 取り崩し期は4%ルールを参考に、現金クッションでシーケンスリスクに備える
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毎月の積立額と利回りを入力して、非課税期間無期限の複利効果を確認できます。
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