住民税の計算方法をわかりやすく解説

住民税の計算式(所得割+均等割)を初心者向けにステップ解説。控除ごとの住民税の額、年収別の計算過程の表、年収500万円の段階計算、ふるさと納税をしたときの控除額の例まで具体例でわかりやすく紹介します。

「住民税が高い」と感じるとき、その仕組みを理解していないと削りようがありません。住民税は「所得割+均等割」の2つで構成され、前年の所得を基準に翌年6月から課税されます。計算式は複雑に見えますが、「課税所得×10%が基本」と覚えれば骨格が掴めます。

この記事は「自分の住民税を式で出す」手順に絞っています。いつから天引き額が変わるかは住民税はいつから上がる?、所得税より重く感じる理由と所得税と逆転する年収は住民税はなぜ高い?、世帯構成別の年額の目安と住民税を減らす手段の比べ方は住民税の完全解説で扱います。


1. 住民税の構成:所得割と均等割

住民税(個人住民税)は2つの部分からなります。

種類金額・税率内訳
所得割課税所得 × 10%市区町村民税6% + 都道府県民税4%(政令指定都市は市8%+道府県2%)
均等割+森林環境税年間5,000円(標準税率)均等割:市区町村民税3,000円+道府県民税1,000円/森林環境税(国税)1,000円

所得割が住民税の大半を占め、「課税所得 × 10%」で求めます。均等割は所得に関係なく、非課税基準を超える住民が一定額を負担します。2024年度から国の「森林環境税」1,000円が均等割と合わせて徴収されていますが、2023年度まで上乗せされていた復興特別税1,000円が終了したため、均等割(4,000円)と森林環境税(1,000円)の合計は年5,000円で据え置きです。

ただしこの5,000円は標準税率で、超過課税のある自治体はこれより高くなります(横浜市は横浜みどり税900円と神奈川県の水源環境保全税300円が上乗せされ、森林環境税を含めて年6,200円)。所得割の内訳も政令指定都市では市民税8%+道府県民税2%になり、合計10%だけが共通です。


2. 住民税の計算式:ステップごとの流れ

課税所得の求め方

課税所得 = 収入 − 給与所得控除 − 所得控除
市区町村民税分 = 課税所得 × 6% − 税額控除の市区町村民税分 → 100円未満切捨
都道府県民税分 = 課税所得 × 4% − 税額控除の都道府県民税分 → 100円未満切捨
住民税(所得割) = 市区町村民税分 + 都道府県民税分

所得割の10%は上表のとおり市区町村民税6%と都道府県民税4%の合計で、税額控除(調整控除など)も2つの税に分かれます。100円未満の切り捨てはそれぞれの税に別々に当たるため(地方税法20条の4の2第3項・第8項)、合計は「課税所得×10%−税額控除」より100円小さくなることがあります。

Step 1:給与所得を計算する

給与収入から「給与所得控除」を差し引きます。

給与収入給与所得控除額
220万円以下74万円(最低保障・令和8改正で65万→74万。令和8・9年分限定、給与収入220万円まで一律74万円)
220〜360万円収入×30%+8万円
360〜660万円収入×20%+44万円
660〜850万円収入×10%+110万円
850万円超195万円(上限)

上表は令和8年分・令和9年分(=令和9年度・令和10年度の住民税)の値です。最低保障の74万円は本則69万円に代えて適用されるもので、使えるのはこの2年分だけです(租税特別措置法29条の4。⚠️この条番号は2026年12月1日施行版以降のもので、それ以前の版の29条の4は別の特例です。住民税の所得計算は所得税の例によるため同じ特例が及びます=地方税法32条2項・313条2項)。令和10年分の所得=令和11年度分の住民税からは本則の69万円に戻り、最低保障が効く範囲も年収約203.3万円(203万3,333円=収入×30%+8万円が69万円に届く水準)以下まで下がります(所得税法28条3項1号。⚠️69万円は2027年1月1日施行版の条文で、現行版は65万円です)。360万円超の3区分は変わりません。

給与収入令和9・10年度の住民税(令和8・9年分の所得)令和11年度以後の住民税(令和10年分以後の所得)
約203.3万円以下74万円69万円
約203.3万〜220万円74万円収入 × 30% + 8万円
220万円超上表のとおり(変更なし)上表のとおり(変更なし)

なお令和10年分以後の最低保障額は物価の動きに応じて2年ごとに見直すことが基本とされているため、69万円は確定値ではありません。

Step 2:所得控除を合計する(主なもの)

所得控除の種類住民税での控除額備考
基礎控除43万円(合計所得2,400万円以下)所得税は令和8改正で62万円〜(令和8年分・令和9年分は合計所得489万円以下が104万円・489〜655万円が67万円)。住民税は改正前と同じで、合計所得2,400万円超は29万円・2,450万円超は15万円・2,500万円超はゼロ
配偶者控除(一般)33万円配偶者の合計所得62万円以下(給与年収136万円以下)
扶養控除(一般)33万円16歳以上の扶養親族
扶養控除(特定:19〜22歳)45万円大学生など
社会保険料控除全額健康保険・厚生年金等
生命保険料控除各区分最大28,000円(合計最大7万円)所得税(合計最大12万円)より低め
地震保険料控除支払額の2分の1(上限25,000円)所得税は支払額の全額(上限5万円)。保険料3万円なら住民税は1.5万円。旧長期損害保険料(平成18年末までの契約)は別計算で住民税の上限1万円・所得税の上限1.5万円
iDeCo掛金控除全額小規模企業共済等掛金控除
医療費控除実額(上限200万円)年10万円(総所得200万円未満はその5%)を超えた分
ひとり親控除30万円(令和9年度分)所得税は35万円(令和8年分)。令和10年度分の住民税から33万円・令和9年分の所得税から38万円に引上げ
寡婦控除・勤労学生控除各26万円所得税は各27万円
障害者控除26万円(特別障害者30万円・同居特別障害者53万円)所得税は27万円・40万円・75万円
特定親族特別控除(19〜22歳)満額45万円(前年の合計所得95万円以下)所得税は満額63万円(合計所得85万円以下)で、満額が終わる線が1段低い

3. 年収別の住民税(所得割)計算例

条件:給与所得者・独身・賞与なし・社会保険料年間約45.8〜116.5万円(年収に応じ変動)・基礎控除43万円。所得割は調整控除2,500円を差し引いた後の額

年収給与所得控除後の所得主な控除合計(概算)課税所得所得割(×10%)
300万円約202万円約88.8万円約113.2万円約11.1万円
400万円約276万円約102.9万円約173.1万円約17.1万円
500万円約356万円約115.3万円約240.7万円約23.8万円
600万円約436万円約131.1万円約304.9万円約30.2万円
700万円約520万円約147.0万円約373.0万円約37.1万円
800万円約610万円約159.5万円約450.5万円約44.8万円

均等割・森林環境税(年5,000円)を加えた合計が年間の住民税額です。月額は「年税額÷12」が目安ですが、実際は6月から翌年5月の12回に分けて特別徴収されます。


4. 住民税が「前年所得ベース」で動く理由

住民税は前年(1月〜12月)の所得を基準に計算され、翌年6月から翌々年5月まで12回に分けて給与から天引きされます(地方税法321条の5第1項)。つまり、今年の収入でこの記事の式を解いて出てくるのは「来年6月からの天引き額」です。

どの月の収入がいつの天引きに乗るか、年の途中で昇給したときに住民税が2回に分けて上がる仕組み、退職した月による払い方の違いは住民税はいつから上がる?にまとめています。


あなたの住民税を計算する

年収・扶養・各種控除を入力すると、住民税の額と手取りへの影響が出ます。住民税は合計額で表示され、所得割と均等割に分けた内訳は出ないため、内訳は本記事の式で確認してください。


5. 住民税を合法的に減らす方法

住民税の骨格は「課税所得×10%」なので、iDeCo・医療費控除・生命保険料控除のように課税所得を減らす控除はそのまま住民税を下げます。ふるさと納税は課税所得ではなく、住民税の税額から差し引かれます(寄附金税額控除)。ただし控除を足した結果が「控除額×10%」ちょうどにならない場合があります。配偶者控除・扶養控除などがある人は、上のStep 2の後に引く調整控除も一緒に動くためです。

どの手段がどれだけ効くか、10%からずれる条件は住民税の完全解説の§7「住民税を減らす方法」にまとめています。


6. 課税所得別の具体計算例(詳細)

年収500万円・独身・ふるさと納税なし・社会保険料約72.3万円の場合:

項目金額
給与収入500万円
給与所得控除−144万円
給与所得356万円
基礎控除(住民税)−43万円
社会保険料控除−72.3万円
課税所得約240.7万円(所得割の計算では1,000円未満を切り捨てて240.6万円)
所得割・市区町村民税分: 240.6万×6% − 調整控除1,500円 → 100円未満切捨142,800円
所得割・都道府県民税分: 240.6万×4% − 調整控除1,000円 → 100円未満切捨95,200円
所得割 合計約23.8万円
均等割・森林環境税0.5万円
住民税合計(年)約24.3万円
住民税(月換算)約2.0万円

ここにふるさと納税を上限(約5.8万円)まで行うと、翌年の住民税からおよそ56,000円が控除され(ワンストップ特例の場合)、実質負担2,000円で返礼品(調達費は寄付額の30%以内なので、5.8万円の寄付なら多くても約1.7万円相当)が受け取れます。


7. 住民税決定通知書の確認ポイント

毎年5月〜6月に職場経由で届く「住民税・特別徴収税額通知書」では以下を確認します。

確認項目注意点
総所得金額等申告漏れや控除モレがないか
所得控除の合計配偶者控除・扶養控除が正しく反映されているか
税額控除住宅ローン控除(住民税枠)が適用されているか
月次税額前年と大きく変わっていれば理由を確認

申告漏れや控除不適用が疑われる場合は、市区町村の税務課に問い合わせてください。その年の分を後から直す手続き(人によって還付申告・更正の請求・住民税の申告など)は住民税はいつから上がる?の§4にまとめています。


まとめ

  • 住民税 = 所得割(課税所得×10%)+ 均等割・森林環境税(年5,000円)
  • 課税所得 = 前年収入 − 給与所得控除 − 各種所得控除
  • 住民税の基礎控除は合計所得2,400万円以下なら43万円(所得税は令和8改正で62万円〜。住民税は改正前と同じ額)
  • 前年所得ベースで6月から翌年5月に課税(収入が変わっても翌年まで影響が続く)
  • iDeCo・医療費控除で課税所得を減らせば住民税も下がる(ふるさと納税は住民税の税額から差し引かれる)
  • 年収500万円・独身の住民税目安は年約24.3万円(月約2.0万円)(社会保険料約72.3万円・基礎控除43万円で計算)

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年収・扶養・各種控除を入力すると、住民税の額と手取りへの影響が出ます(税率を直接入れる欄はありません)。住民税は合計額で表示され、所得割と均等割に分けた内訳は出ないため、内訳は本記事の式で確認してください。


よくある質問

Q. 住民税の計算に使う「給与所得控除」は所得税と同じですか?

はい、給与所得控除の金額は住民税・所得税ともに共通です。年収500万円なら144万円、年収700万円なら180万円の給与所得控除が差し引かれます。異なるのはその後の「所得控除」の段階で、基礎控除・配偶者控除・扶養控除などが住民税の方が低く設定されています。住民税の基礎控除は合計所得2,400万円以下なら43万円(2,400万円超は29万円、2,450万円超は15万円、2,500万円超はゼロ)で、所得税は令和8改正で62万円〜です。合計所得2,500万円以下ではこの差があるため、同じ年収でも住民税の課税所得は所得税より高くなります。

Q. 年末調整だけで住民税は自動的に計算されますか?

はい。給与所得者の場合、会社が年末調整で把握した情報(給与・社会保険料・各種控除)が、会社が1月31日までに市区町村に出す給与支払報告書で伝わり、住民税が自動計算されます。確定申告が要らず、給与以外の所得もない場合は、何もしなくても毎年6月から住民税が天引きされます。医療費控除や住宅ローン控除の初年度を受けるときは確定申告で申告し、その情報が住民税にも反映されます。ふるさと納税でワンストップ特例を使わないときは、確定申告か住民税の申告で申告します(住民税の申告だけでは、所得税からの控除は受けられません。どちらが得かはワンストップ特例の記事の§5)。副業は、給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受け取り、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている会社員なら、給与以外の所得の合計が20万円を超える年に確定申告が必要です。20万円以下で確定申告をしない場合でも、副業・FX・暗号資産の所得や、家賃などの不動産所得、個人年金保険の年金、源泉徴収なしの特定口座・一般口座の株の売却益など、給与以外で源泉徴収では課税が済まない所得があれば、原則として市区町村への住民税の申告が必要です(所得割がかからない人のうち、市区町村の条例で申告不要とされている人を除く)。

Q. 転職した年の住民税はどうなりますか?

転職した年は、前職と新職それぞれから給与が支払われることが多いです。前職と新職の給与を合算した年収をもとに住民税が計算されます。転職で収入が増えた年は翌年の住民税が上がり、収入が減った年は翌年の住民税が下がります。転職で収入が増えた場合、翌年6月から住民税の天引き額が増えることを見越して家計管理を行うことが役立ちます。

Q. 産休・育休の年の住民税はどうなりますか?

産休・育休中でも原則として住民税は課税されます。育休中は給与が減少または停止しますが、「前年の所得ベース」で住民税が計算されるため、育休前の収入に基づく住民税が育休中も課税され続けます。育休中は会社が住民税を立て替えて特別徴収する場合と、本人が直接納付する場合があります。いずれの場合も前年収入に基づく税額は変わりません。

Q. ふるさと納税をした年の翌年の住民税通知書には何が書いてありますか?

翌年5〜6月ごろに届く住民税通知書には、通常の住民税の計算内容に加えて「寄附金税額控除額」という欄が設けられます。ここにふるさと納税分の控除額が記載されます。また「特例控除額」として住民税所得割額から差し引かれた金額も確認できます。通知書の月次税額が前年より下がっている場合、ふるさと納税分の控除が反映されている可能性があります。


注意点

通知書で確かめる欄は上の§7のとおりです。申告内容と異なる場合は、市区町村の税務課に問い合わせることで修正が可能な場合があります。天引き額が変わる月と、変わった原因の見分け方は住民税はいつから上がる?の§5にまとめています。


ポイント整理

項目内容
住民税の計算式所得割(課税所得×10%)+均等割・森林環境税(年5,000円)
課税所得の計算給与収入−給与所得控除−所得控除(住民税基準)
基礎控除住民税43万円(合計所得2,400万円以下。所得税は令和8改正で62万円〜)
課税タイミング前年所得ベース・翌年6月〜翌々年5月に天引き
年収500万円の目安年約24.3万円(月約2.0万円)
節税手段の効果iDeCo・医療費控除で課税所得を削減。ふるさと納税は住民税の税額から控除
通知書の確認時期毎年5〜6月に届く住民税決定通知書

この記事の根拠(出典)

本記事の住民税の控除額・調整控除・天引きの時期は、以下の一次情報(2026年9月27日確認。確定申告と住民税の申告が要る人は2026年9月28日確認)にもとづいています。制度は改正されるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。

  • 住民税の基礎控除(合計所得2,400万円以下は43万円・2,450万円以下は29万円・2,500万円以下は15万円):e-Gov法令検索「地方税法」第314条の2第2項
  • 調整控除(合計課税所得金額が200万円以下か超えるかで計算が分かれる。市町村民税分の率は3%):e-Gov法令検索「地方税法」第314条の6
  • 特別徴収(給与天引き)は6月から翌年5月までの12回:e-Gov法令検索「地方税法」第321条の5第1項
  • 所得税の基礎控除(令和8年分・令和9年分は合計所得489万円以下104万円・655万円以下67万円・2,350万円以下62万円):国税庁「No.1199 基礎控除」
  • 市区町村は、特別徴収する住民税の額を5月31日までに勤務先と、勤務先を通じて本人に通知すること:e-Gov法令検索「地方税法」第321条の4第1項・第2項
  • 給与収入が2,000万円以下で、給与を1か所から受け取り、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている人は、給与所得・退職所得以外の所得の合計が20万円以下なら確定申告を要しないこと:国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」/e-Gov法令検索「所得税法」第121条第1項
  • 給与以外の所得がある人は3月15日までに住民税の申告書を出すこと(1月1日現在で給与または公的年金等の支払を受けていて、前年に給与所得以外の所得または公的年金等に係る所得以外の所得がなかった人〔公的年金等に係る所得以外の所得がなかった人で、社会保険料控除などの一定の控除を受けようとする人を除く〕と、所得割の納税義務を負わないと認められる人のうち市町村の条例で定める人は除く):e-Gov法令検索「地方税法」第317条の2第1項
  • 給与を支払う会社は、1月31日までに給与支払報告書を従業員の住所地の市区町村に出すこと:e-Gov法令検索「地方税法」第317条の6第1項
  • 住民税の申告書には寄附金税額控除の事項を書くので、確定申告をしなくても住民税の申告でふるさと納税の住民税の控除を受けられること:e-Gov法令検索「地方税法」第317条の2第1項第6号
  • 所得税の寄附金控除は年末調整では受けられないこと(年末調整で差し引く控除に寄附金控除〔第78条〕が入っていない):e-Gov法令検索「所得税法」第190条

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本記事は一般的な情報提供を目的としており、税務・投資・法律などの専門的助言ではありません。内容は公的機関などの信頼できる情報をもとに作成していますが、制度や数値は変わる場合があります。実際の判断は公式情報や専門家でご確認ください(運営者情報・免責事項)。