住民税の均等割とは?年5,000円の内訳と所得割との違いを解説

住民税は所得割と均等割の合計。どちらか一方ではありません。定額の均等割・森林環境税は標準で合計年5,000円(内訳4,000円+1,000円)、所得割は課税所得の10%で、節税が効くのはこちらだけです。

給与明細に「住民税」として記載される金額は、実は2つの要素で構成されています。「均等割」と「所得割」です。この2つを区別して理解することで、「収入がゼロの年でも住民税がかかる理由」や「iDeCoやふるさと納税で住民税がいくら下がるか」を正確に計算できるようになります。

ほとんどの人が住民税を一つの塊として認識していますが、節税や手取り計算をするなら内訳を知っておく価値があります。


1. 均等割と所得割:2つの要素の基本

住民税は「市区町村民税」と「道府県民税」の合計で、さらにそれぞれが所得に連動する「所得割」と定額の「均等割」に分かれています。

種類特性2026年現在の金額・税率
均等割+森林環境税所得に関係なく定額年間5,000円(均等割:市区町村民税3,000円+道府県民税1,000円/森林環境税(国税)1,000円)
所得割課税所得に連動課税所得の10%(市区町村6%+都道府県4%。政令指定都市は市8%+道府県2%で、合計10%は同じ)

住民税の大部分は所得割です。年収500万円の人の住民税が約24.3万円なら、そのうち約23.8万円が所得割(調整控除後)で、均等割は5,000円にすぎません。ただし均等割の存在は、収入が少ない年でも固定コストとしてかかり続けるという意味で重要です。

均等割に「森林環境税」が加わった

2024年度から、国が徴収する「森林環境税」1,000円が均等割と合わせて徴収されています。ただし2023年度まで均等割に上乗せされていた復興特別税1,000円が終了したため、均等割(4,000円)と森林環境税(1,000円)の合計は5,000円で据え置きです。

5,000円は「標準税率」で、超過課税の自治体はこれより高い

年5,000円はあくまで標準税率にもとづく額で、自治体独自の超過課税がある地域では上振れします。 たとえば横浜市は市民税均等割3,900円(横浜みどり税900円を上乗せ)+県民税均等割1,300円(神奈川県の水源環境保全税300円を上乗せ)+森林環境税1,000円で、合計年6,200円です。宮城県も「みやぎ環境税」として県民税均等割に1,200円を上乗せしています。

超過課税は所得割にもあります。神奈川県は水源環境保全税として所得割にも0.025%を上乗せしており、横浜市在住なら市民税8%+県民税2.025%です。自分の負担額は住民税決定通知書か自治体の公式ページで確認してください。


2. 所得割の計算:課税所得はどう決まるか

所得割の計算は「課税所得 × 10%」ですが、課税所得を正しく算出するには住民税独自の控除額を把握する必要があります。

課税所得 = 給与所得(年収 − 給与所得控除) − 各種所得控除

住民税の所得控除は、所得税と金額が異なるものがあります。特に重要な違いをまとめます。

控除の種類住民税での控除額所得税との比較
基礎控除43万円(合計所得2,400万円以下)所得税は令和8改正で62万円〜(令和8年分・令和9年分は合計所得489万円以下が104万円・489〜655万円が67万円)。住民税は改正前と同じで、合計所得2,400万円超は29万円・2,450万円超は15万円・2,500万円超はゼロ
配偶者控除(一般)33万円所得税は38万円(5万円低い)
扶養控除(一般)33万円所得税は38万円(5万円低い)
社会保険料控除実額(全額)所得税と同じ
iDeCo掛金(小規模企業共済等掛金控除)実額(全額)所得税と同じ
生命保険料控除(上限)新契約は各区分最大28,000円・旧契約は各区分35,000円(合計最大7万円)所得税は新契約が各区分最大4万円・旧契約5万円(合計最大12万円・旧契約だけなら10万円)

住民税の基礎控除は、合計所得2,500万円以下の帯では所得税の基礎控除より低くなります(2,500万円超は所得税・住民税とも基礎控除がゼロで、差はありません)。令和8年分・令和9年分は所得税が本則62万円・合計所得489万円以下は104万円/489〜655万円は67万円なので、住民税の基礎控除(合計所得2,400万円以下なら43万円)との差は合計所得489万円以下で61万円、489〜655万円で24万円、655万〜2,350万円で19万円です(2,350万円を超えると所得税側も48万円→32万円→16万円→ゼロと下がるので、差は5万円→3万円→1万円→0と縮みます)。令和10年分(2028年分)以後は489万円・655万円の段が無くなり、所得税の基礎控除は合計所得132万円以下が99万円・132万円超が62万円になるので、差は132万円以下で56万円、132万円超2,350万円以下で19万円の2段になります(租税特別措置法41条の16の2第1項。2,350万円を超えてからの縮み方は令和8年分・令和9年分と同じです)。同じ収入でも、住民税の方が課税所得が高くなりやすい構造です。生命保険料控除の上限も大きく違います。

所得割から引かれる「調整控除」とは

所得割は「課税所得 × 10%」で終わりではありません。ここから 調整控除という税額控除が差し引かれます。調整控除は、住民税の人的控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除など)が所得税より小さいことによる負担増を打ち消すための仕組みで、2007年の税源移譲(所得税から住民税へ税率を移した改正)の際に導入されました。手取り計算で見落とされがちですが、所得割を正確に出すには欠かせない一手間です。

計算方法は課税所得の大きさで2通りに分かれます。

課税所得調整控除の計算式
200万円以下(人的控除額の差の合計と課税所得の、いずれか小さい方)× 5%
200万円超{人的控除額の差の合計 −(課税所得 − 200万円)}× 5%(最低2,500円)

ここで使う「人的控除額の差」は、税源移譲時に定められた固定値を使う点が重要です。たとえば基礎控除の差は5万円で固定されており、令和8改正で所得税の基礎控除が104万円に引き上げられても、この差は5万円のまま変わりません。つまり調整控除の額は令和8年度(2026年度)も据え置きで、基礎控除の引き上げに連動して増えたりはしません。

このため、人的控除が基礎控除だけの人は、人的控除の差が基礎控除の5万円だけなので、課税所得が5万円以上あれば調整控除は2,500円(5万円 × 5%)になります(住民税を負担する一般的な会社員はこの水準にあり、実質的に一律2,500円です。ただし非課税ラインのすぐ上で課税所得が5万円未満のときは、上の表のとおり2,500円より小さくなります)。なお、合計所得金額が2,500万円を超える人には調整控除は適用されません。

人的控除額の差の一覧(地方税法37条・314条の6の表)

式に入れる「人的控除額の差の合計」は、5万円(基礎控除の差)に、当てはまるものを足していきます。

当てはまる区分加算される差
基礎控除(全員)5万円
障害者(本人・同一生計配偶者・扶養親族)1人につき1万円
特別障害者(同上)1人につき10万円
同居特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族1人につき22万円
寡婦、またはひとり親のうち父1万円
ひとり親のうち母5万円
勤労学生1万円
控除対象配偶者5万円(本人の合計所得900万円超950万円以下は4万円・950万円超1,000万円以下は2万円)
老人控除対象配偶者(70歳以上)10万円(同 6万円・3万円)
控除対象扶養親族(一般)1人につき5万円
特定扶養親族(19〜22歳)1人につき18万円
老人扶養親族(同居直系尊属以外)1人につき10万円
同居直系尊属である老人扶養親族1人につき13万円

たとえば配偶者控除と高校生の子1人がいる人なら、5万+5万+5万=15万円が「差の合計」です。⚠️差の合計より課税所得のほうが小さい人は、課税所得のほうで頭打ちになります(上の表の1行目が「いずれか小さい方」となっているのはこのため)=たとえば年収300万円で配偶者と大学生・高校生の子2人を扶養している人は、差の合計が33万円でも住民税の課税所得が約2.2万円しかないので、調整控除は16,500円ではなく約1,100円です。ひとり親の父母で額が違うのは調整控除だけの取り扱いで、所得控除そのもの(所得税35万円・住民税30万円)は父母で同額です(地方税法施行令7条の16の2・48条の7の2)。


3. 均等割:低所得者でもかかる固定負担

均等割は原則として、一定の所得がある住民すべてに課税されます。「収入がない年も住民税がかかる」という経験をしたことがある人は、この均等割のことです。

ただし所得が一定以下の場合は均等割も非課税になります。

状況均等割非課税の目安(自治体によって異なる)
単身者前年合計所得が約45万円以下(給与収入のみなら令和8年度は約110万円・令和9年度と令和10年度は約119万円以下)
扶養家族1人前年合計所得が約101万円以下
障害者・未成年者・寡婦・ひとり親前年合計所得が135万円以下(給与収入のみなら令和8年度は約204万円・令和9年度と令和10年度は約209万円以下)

最後の行は所得の多寡ではなく本人の属性で決まる非課税枠で、地方税法295条に定められています。所得の基準額が自治体の級地区分で動く上2行と違い、135万円は全国共通です。この場合は均等割だけでなく所得割も非課税になります。

給与収入の目安が令和9年度から広がるのは、合計所得の基準額(45万円・135万円)が動いたからではなく、給与所得控除の最低保障額が74万円に引き上げられたためです。ただしこの74万円は本則69万円に代えて適用される令和8年・令和9年の所得に限る特例で、令和10年の所得=令和11年度分の住民税からは本則の69万円に戻る予定です。戻った場合の給与収入の目安は単身で約114万円、最終行で約204万円に下がります。

会社を辞めてフリーランスになった初年度や、長期療養で収入が激減した年など、ほとんど収入がない状況でも5,000円の均等割・森林環境税は課税対象になることがあります。

均等割と所得割では非課税ラインが違う

均等割の非課税限度額と所得割の非課税限度額は別基準で、所得割の方が少し高い位置にあります。 差が出るのは扶養親族がいる場合の加算額で、均等割は21万円、所得割は32万円が上乗せされます(下の表の31万円・42万円は、この加算に令和3年度から入った10万円を足した額です)。

区分均等割の非課税限度額所得割の非課税限度額
扶養親族なし合計所得45万円以下総所得金額等45万円以下
扶養親族あり35万円 × 人数 + 31万円 以下35万円 × 人数 + 42万円 以下

人数は「本人+同一生計配偶者+扶養親族」の合計です。均等割側の基準額は自治体の級地区分で変わり、上の額は東京23区など1級地の場合です(2級地・3級地はこれより低くなります)。所得割側は全国共通です。

このズレがあるため、扶養親族がいる世帯には「均等割の5,000円はかかるが所得割はゼロ」という帯が生まれます。たとえば扶養親族1人(本人と合わせて2人)なら、均等割は合計所得101万円超で課税されますが、所得割は総所得金額等112万円以下ならゼロです。

⚠️所得割の非課税限度額を少し超えるだけの人は、所得割が「総所得金額等−所得割の非課税限度額」で頭打ちになります(地方税法附則3条の3第2項・第5項)。この帯では、所得控除を足しても頭打ちの額を下回るまで住民税は減りません(→§5)。


4. 年収別の均等割・所得割の内訳

実際の住民税がどう構成されているか、年収別に見てみましょう。

年収所得割(概算)均等割住民税合計
150万円(低所得)約0.8万円5,000円(非課税になる場合も)約1.3万円
300万円約11.1万円5,000円約11.6万円
400万円約17.1万円5,000円約17.6万円
500万円約23.8万円5,000円約24.3万円
700万円約37.1万円5,000円約37.6万円

年収が高いほど所得割の割合が大きくなり、均等割・森林環境税5,000円の比率は下がります。年収300万円で均等割は住民税全体の約4.3%ですが、年収700万円では1.4%以下です。


住民税の合計額と手取りへの影響を見る

年収・扶養・各種控除を入力すると、住民税の額と手取りへの影響が出ます。住民税は合計額で表示され、所得割と均等割に分けた内訳は出ないため、内訳は本記事の式で確認してください。


5. 節税すると所得割がどれだけ下がるか

住民税の節税で効果があるのは「所得割」だけです。課税所得を減らす手段を使うと、人的控除が基礎控除だけの人(配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除のどれも受けていない人)なら、その減少分の10%が住民税から下がります(控除を引いた後も課税所得が5万円以上残り、かつ総所得金額等が所得割の非課税限度額を十分に上回る場合。後者は下の⚠️)。

⚠️総所得金額等が所得割の非課税限度額(§3の表の所得割の欄=同一生計配偶者も扶養親族もいない人は45万円、いる人は「35万円×人数+42万円」)を少し超えるだけの世帯は、上の10%にも下の表の割合にもなりません(0%)。所得割が「総所得金額等−非課税限度額」で頭打ちになっているため(地方税法附則3条の3第2項・第5項)、頭打ちの額を下回るまで控除を足しても住民税は減りません。⚠️これは人的控除が基礎控除だけの人にも起きます=16歳未満の子は扶養控除が付かないのに、非課税限度額だけが1人目で67万円(頭数ぶんの35万円+扶養親族がいる場合の加算32万円)、2人目以降は1人につき35万円上がるためです。例=16歳未満の子2人を扶養している給与年収224万円の人(ほかに人的控除なし・40歳未満・賞与なし)は、給与所得148.8万円に対して限度額が147万円なので所得割が約1.8万円で頭打ちになっており、医療費控除を20万円受けても住民税は1円も減りません。年収277万円で配偶者と16歳未満の子2人を扶養している人(同条件)も、給与所得約185.8万円に対して限度額が182万円なので所得割が約3.8万円(按分と100円未満の切捨て後は37,500円=§2③)で頭打ちになっており、医療費控除を約20.7万円(医療費30万円−足切り約9.3万円)受けても住民税は減りません。⚠️この帯はこのサイトのツールでは再現できません(16歳未満の子を入れる欄が無く、非課税限度額も減額措置も未実装=§2の②③)。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoの掛金は全額が所得控除になります。住民税への効果は直接的です。

iDeCoの月額掛金年間掛金住民税の削減効果(人的控除が基礎控除だけの人・掛金×10%の目安)
5,000円6万円年6,000円
12,000円14.4万円年14,400円
23,000円(企業年金のない会社員の上限)27.6万円年27,600円

上表は人的控除が基礎控除だけの人の目安です(ほかの人的控除がある人は上のCalloutのとおり変わります)。所得割は市区町村民税6%分と都道府県民税4%分をそれぞれ100円未満切り捨てて出す(§6の計算例)ため、同じ掛金でも年収によって掛金×10%から±100円ずれることがあります(掛金を引いた後も課税所得が5万円以上残る場合)。

ふるさと納税

ふるさと納税の控除は所得税と住民税に分散します。住民税に回る割合は所得税率で決まり、寄付額(自己負担2,000円を除く)のうち 100% − 所得税率×1.021 が住民税所得割から控除されます。所得税5%帯なら約95%、10%帯でも約90%が住民税側です(ワンストップ特例を使う場合は所得税分も住民税に振り替わるため、全額が住民税から控除されます)。上限内なら自己負担は原則2,000円です。ただし確定申告をする場合、所得税から実際に戻る分の税率が住民税の特例分の計算に入る所得税率より低いと、上限内でも自己負担が2,000円を超えることがあります。たとえば寄付で課税所得が所得税の税率帯の境目(195万・330万・695万・900万・1,800万・4,000万円)を割り込むと、割り込んだ分は1つ下の税率でしか戻りません(ワンストップ特例ではこの差は生じません)。

年収500万円・独身は令和8年分の基礎控除104万円で所得税5%帯に収まるため、控除のほぼ全額が住民税から出ます。

ふるさと納税の寄付額住民税からの控除(確定申告・年収500万円・独身)
2万円約17,100円
4万円約36,100円
5.8万円(上限の目安)約53,100円

年収500万円・独身の控除上限は約5.8万円です。上限を超えた分は特例分の控除が受けられず大半が自己負担になるので、6万円は「上限付近」ではなく上限超過にあたります。上限は扶養や他の控除で動くため、寄付前にシミュレーターで自分の条件を確認してください。

医療費控除

年間の医療費が10万円と総所得金額等×5%のいずれか少ない方を超えた場合、確定申告で医療費控除が申告できます。5%の方が効くのは総所得金額等が200万円未満の人で、200万円以上なら足切りは一律10万円です。住民税にも反映され、人的控除が基礎控除だけの人なら、課税所得が20万円減れば住民税は約2万円(10%分)減ります(ほかの人的控除がある人は上のCalloutのとおり変わります)。


6. 住民税の計算:まとめて計算してみる

年収500万円・独身・標準的な控除の場合を例に、実際の住民税額を計算してみます。

計算ステップ金額
年収500万円
▲ 給与所得控除▲ 144万円
給与所得356万円
▲ 基礎控除(住民税)▲ 43万円
▲ 社会保険料控除▲ 72.3万円
課税所得240.7万円(所得割の計算では千円未満を切り捨てて240.6万円)
所得割・市区町村民税分(240.6万円 × 6% − 調整控除1,500円 = 142,860円 → 100円未満切捨)142,800円
所得割・都道府県民税分(240.6万円 × 4% − 調整控除1,000円 = 95,240円 → 100円未満切捨)95,200円
均等割・森林環境税5,000円
住民税合計約24.3万円(月約20,300円)

月の手取りが想定より少ないと感じるとき、この住民税の月割り約2万円が一因になっていることが多いです。


まとめ

  • 住民税は「所得割(課税所得 × 10%)」と「均等割・森林環境税(年5,000円)」の二層構造
  • 2023年度までの復興特別税1,000円が終了し、2024年度から森林環境税1,000円に置き換わったため合計5,000円で据え置き
  • 住民税の基礎控除は合計所得2,400万円以下なら43万円(所得税は令和8改正で62万円〜。住民税は改正前と同じ額)で、課税所得が所得税計算より高くなりやすい
  • 所得割(課税所得×10%)からは調整控除が引かれる。人的控除が基礎控除だけなら令和8年度(2026年度)も原則2,500円で据え置き(課税所得5万円未満のときはこれより小さく、合計所得金額が2,500万円を超える人には適用されない)
  • 生命保険料控除の上限は住民税が合計7万円(新契約の各区分28,000円)・所得税が合計12万円(新契約の各区分4万円)と異なる
  • iDeCo・医療費控除で課税所得を減らすと所得割が下がる(ふるさと納税は住民税の課税所得を減らさず、所得割から直接引かれる)
  • 均等割・森林環境税5,000円は節税でコントロールできない固定コスト

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年収・扶養・各種控除を入力すると、住民税の額と手取りへの影響が出ます。住民税は合計額で表示され、所得割と均等割に分けた内訳は出ないため、内訳は本記事の式で確認してください。


よくある質問

Q. 均等割は所得がゼロでも必ずかかりますか?

所得がゼロであれば、多くの場合は均等割も非課税になります。非課税の基準は自治体によって若干異なりますが、単身者の場合は前年合計所得が約45万円以下であれば均等割が非課税になる自治体が多いです。扶養家族がいる場合は非課税の所得基準が高くなります。フリーランス独立1年目や長期療養で収入がごく少額の年でも、所得が非課税基準を超えていれば均等割・森林環境税(年5,000円)はかかります。

Q. 生命保険料控除の上限が住民税と所得税でこんなに違う理由は何ですか?

住民税の生命保険料控除上限(合計7万円・各区分28,000円)と所得税の上限(合計12万円・各区分4万円)の差は制度上の設計によるものです。住民税は「地域の行政サービスへの応分負担」という性格が強く、所得税より控除設計が小さめになっています。住民税側は控除額そのものが最大7万円にとどまるため、生命保険に多く加入しても住民税の軽減には限りがあります。節税の観点からは、生命保険料控除よりiDeCoやふるさと納税の方が住民税への効果が大きいです。

なお区分ごとの上限は契約時期で変わります。平成24年1月1日以後に契約した「新契約」は一般・介護医療・個人年金の3区分で各所得税4万円・住民税28,000円、平成23年12月31日以前の「旧契約」は一般・個人年金の2区分で各所得税5万円・住民税35,000円です。合計の上限は所得税12万円・住民税7万円ですが、旧契約だけで揃えている人の所得税の上限は10万円です(旧契約には介護医療の区分がなく、一般5万円+個人年金5万円が上限のため)。住民税は旧契約でも35,000円×2区分で7万円に届きます。さらに令和8年分・令和9年分の所得税に限り、23歳未満の扶養親族がいる場合は新契約の一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がります(3区分の合計12万円は据え置き)。この特例は所得税だけの措置で、住民税の上限は変わりません。

Q. iDeCoで住民税がどのくらい下がるか計算できますか?

iDeCoの掛金は全額が所得控除になります。人的控除が基礎控除だけの人(配偶者控除・扶養控除・障害者控除・寡婦控除・ひとり親控除・勤労学生控除のどれも受けていない人)なら、住民税への効果は「年間掛金×10%」が概算です(ほかの人的控除がある人は、調整控除も一緒に動くため10%より多くも少なくもなります。§5のCallout参照)。月12,000円の掛金(年144,000円)であれば、住民税の削減効果は年間約14,400円です。月23,000円の掛金(年276,000円)であれば年間約27,600円の削減になります。所得税への効果と合わせると、人的控除が基礎控除だけで年収500〜700万円の会社員の場合は掛金の約15〜27%が税金として戻ってくる計算です。ここで誤解しやすいのは、掛金は課税所得を上から順に削るため、その年収帯の税率がそのまま還付率になるわけではないという点です。月23,000円(年276,000円)の場合、40歳未満・賞与なしなら、年収500万円は掛金の全額が5%帯にかかるので還付率は約15.1%、10%で全額が効くのは年収567万円から(約20.3%)、20%で全額が効くのは年収710万円から(約30.4%)です。年収674万円で20%帯に入った直後は掛金の大半がまだ10%帯にあるため、還付率は約20.5%にとどまります。40〜64歳・賞与なしなら、10%で全額が効くのは年収573万円から、20%帯に入るのは680万円から、20%で全額が効くのは716万円からです。

Q. 住民税の「市区町村民税」と「道府県民税」は分けて計算されますか?

計算式は分かれていますが、課税所得は共通です。市区町村民税は課税所得の6%・都道府県民税は課税所得の4%です(政令指定都市は平成30年度から市民税8%・道府県民税2%で、合計10%は変わりません)。均等割は市区町村民税3,000円・道府県民税1,000円・森林環境税1,000円です。実際に届く住民税通知書では市区町村民税と道府県民税が合算されて表示されることが多く、実務上は「住民税=10%+均等割・森林環境税5,000円」と覚えておけば十分です。

Q. 調整控除とは何ですか?令和8年度で金額は変わりますか?

調整控除は、所得割(課税所得×10%)から差し引かれる税額控除です。住民税の人的控除(基礎控除など)が所得税より小さいことによる負担増を打ち消すために設けられています。計算に使う「人的控除額の差」は税源移譲時の固定値で、基礎控除の差は5万円のまま据え置かれています。そのため所得税の基礎控除が令和8改正で104万円に上がっても調整控除は変わらず、令和8年度(2026年度)も金額は据え置きです。人的控除が基礎控除だけの人は、課税所得が5万円以上あれば調整控除は2,500円(5万円×5%)です(住民税を負担する一般的な水準では実質的に一律2,500円。非課税ラインのすぐ上で課税所得が5万円未満のときはこれより小さくなります)。配偶者控除・扶養控除などがある世帯は課税所得によってはこれより大きくなります。なお、合計所得金額が2,500万円を超える人には適用されません。

Q. 所得割の計算に使う「課税所得」は所得税と同じですか?

異なります。住民税の課税所得は所得税の課税所得より一般に高くなります。主な理由は基礎控除が低い(住民税は合計所得2,400万円以下なら43万円 vs 所得税は令和8改正で62万円〜)、配偶者控除・扶養控除が5万円低い(住民税33万円 vs 所得税38万円)、生命保険料控除の上限が低い(住民税は合計7万円 vs 所得税は合計12万円)といった違いです。社会保険料控除とiDeCo掛金は住民税・所得税ともに全額控除の点は同じです。


注意点

均等割の非課税ラインの確認

均等割の非課税基準は自治体によって異なります。東京23区と地方都市では基準が若干違う場合があります。収入が少ない年(フリーランス独立初年度・育休取得年など)に住民税がかかるかどうか不安な場合は、自分が住む自治体の非課税ラインを直接確認することをお勧めします。

節税の効果が出るのは「所得割」のみ

均等割・森林環境税(年5,000円)はiDeCoやふるさと納税などの節税手段で減らすことはできません。節税の効果は所得割(課税所得×10%)の部分にのみ発生します。「節税をすれば住民税をゼロにできる」という考え方は一般に成立しません。非課税水準以下の収入になれば住民税全体がゼロになりますが、通常の会社員では現実的ではありません。


ポイント整理

種類計算方法金額・税率節税の可否
所得割課税所得×10%−調整控除(市区町村民税分6%と道府県民税分4%に分けて計算し、それぞれ100円未満を切り捨てて合計。政令指定都市は市民税分8%・道府県民税分2%)収入により異なる可能(課税所得を下げる)
均等割・森林環境税定額年5,000円(標準税率・2024年度〜。超過課税の自治体は上振れ)基本不可(非課税水準以下は除く)
市区町村民税所得割6%+均等割3,000円(政令指定都市は所得割8%)合算して徴収所得割のみ節税可
道府県民税所得割4%+均等割1,000円(政令指定都市は所得割2%)合算して徴収所得割のみ節税可
森林環境税定額(国税)年1,000円不可
節税手段住民税への効果備考
iDeCo人的控除が基礎控除だけなら掛金全額×10%が目安(ほかの人的控除があると増減。§5)所得税も同時に削減
ふるさと納税寄付額(2,000円超の部分)の約95%が住民税から控除(所得税5%帯)上限内なら実質負担は原則2,000円(確定申告で、寄付により課税所得が所得税の税率帯の境目を割り込むときなどは2,000円を超えることがある)
医療費控除人的控除が基礎控除だけなら控除額×10%が目安(ほかの人的控除があると増減。§5)年10万円と総所得金額等×5%の少ない方を超える医療費が条件
生命保険料控除人的控除が基礎控除だけなら控除額(最大70,000円)×10%が目安(ほかの人的控除があると増減。§5)控除の上限が所得税(12万円)より低い

この記事の根拠(出典)

本記事のふるさと納税の控除のしくみは、以下の一次情報(2026年9月30日確認)にもとづいています。制度は改正されるため、最新の内容は各リンク先でご確認ください。

  • ふるさと納税の寄附金控除は、所得税では総所得金額などから引く所得控除であること/所得税の税率は課税所得195万・330万・695万・900万・1,800万・4,000万円を境目に上がること(=寄付で境目を割り込むと、割り込んだ分は1つ下の税率でしか所得税が戻らない理由):e-Gov法令検索「所得税法」第78条第1項・第89条第1項
  • 住民税の特例分の割合は、住民税の課税総所得金額から人的控除差調整額(5万円に配偶者・扶養などに応じた額を足した額と、所得税の基礎控除から48万円を引いた額の合計)を引いた額で決まり、住民税ではふるさと納税は所得控除でない(税額控除)ため、寄付をしてもこの額は減らないこと(=所得税の戻りが下がっても住民税側は埋めない理由):e-Gov法令検索「地方税法」市町村民税=第314条の2(所得控除の列挙に寄附金が無い)・第314条の3第2項・第314条の6第1号イ・第314条の7第1項・第11項/道府県民税=第34条・第35条第2項・第37条の2第1項・第11項/割合の読み替え=附則第5条の6第1項・第2項
  • ワンストップ特例の申告特例控除額は、住民税の特例分に、住民税の課税総所得金額(から人的控除差調整額を引いた額)で決まる割合を掛けて出し、所得税の計算を通らないこと(=所得税の戻りとのずれが生じない理由):e-Gov法令検索「地方税法」附則第7条の2第1項・第2項(道府県民税)・第4項・第5項(市町村民税)・附則第7条の3第1項・第2項

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